<ときの忘れもの「生誕110年 第30回瑛九展 フォト・デッサンと型紙」002
1995年の開廊以来、実に30回目となったときの忘れものの瑛九展。今回は完成したフォト・デッサンとともに、制作に用いられた型紙7点も展示。瑛九マジックの仕掛けは、それだけでひとつの作品になるうるほど美しいものでした。
(20210918/岡田昌浩さんのtwitterより)>
海外で作品(特にフォトデッサン)を発表することは瑛九(1911~1960)の夢でした。
生前から没後、海外での作品発表歴を簡単にご紹介します。
●1953年3月ニューヨーク
アメリカの有力写真展「トップス・イン・フォトグラフィー展」に瑛九のフォトデッサン5点が出品されました。
<僕も遂に米国から大きな申込みがやってきました。多分父上からそのことに就てはお聞き下さったでしょう。家内が父上へ手紙を書きましたから僕からは詳しく申上げません。
僕は今度こそ僕にとって絶好のチャンスだと思ってゐます。おそらく、僕の一生のうちで最も大きな事件となるでしょう。・・・
(1953年3月9日 兄の杉田正臣宛 瑛九書簡より)>
瑛九自らアメリカに作品(フォトデッサン)を送って、実現した海外での発表と思われますが、
2015年05月23日のブログをご参照いただきたいのですが、詳細は不明です。今後の研究課題です。
生前の海外展は上記一回だけと思われます。
以下は私たちが把握している没後の海外展の記録です。
●1980年4月~8月アメリカ・カリフォルニア
瑛九の最晩年の点描大作「田園」(1959年)を所蔵する加藤南枝さんが自らアメリカに運んで企画し、カリフォルニア州の大学などいくつかの会場で「田園」の<ライトデッサン展>を開催しました。


掲載したのはそのときの加藤さんの手作りの記録集です。
クリックすると拡大されて読みやすくなります。
記録集によれば、開催日程は以下のようなものでした。
1980年4月11日~13日:加藤氏のスタジオで展示(バークリー、カリフォルニア)
1980年4月19日:KALAインスティテュートのS.C.R.A.P.フェスティバルに参加(バークリー、カリフォルニア)
1980年5月1日~4日:インターダダ’80展に参加(ユカイア、カリフォルニア)、パラスホテルで展示
1980年5月9日:アート・グリップに参加(サンフランシスコ)
1980年8月13~15日(予定):アースラ・ピーターのスタジオで三日間展示
*なお「田園」は現在、埼玉県立近代美術館に寄託されています。
●1986年12月9日~1987年3月2日パリ ポンピドゥー・センター
海外の大規模な美術館で瑛九の作品が展示された初めての展覧会は「前衛芸術の日本 1910-1970展 Japon des Avant-gardes 1910-1970」でした。総合コミッショナーはマルセイユの総美術館館長(展覧会準備中にポンピドゥー・センターから異動)ジェルマン・ヴィアットと美術史家高階秀爾(現在は大原美術館館長)でした。
瑛九は「赤の中の小さな白」(1937年 油彩、東京国立近代美術館所蔵)はじめ、デッサン4点、フォトデッサン8点、コラージュ2点の計15点が出品されました。

美術、写真、映像、建築、工芸、デザイン、ファッションなどの日本における1910年から1970年までの歴史的展開を、700点以上の作品、資料によって提示し、 戦前と戦後の前衛芸術の連続性と断絶を一望した画期的な展覧会でした。上掲は二分冊・厚さ4.5cmの超弩級のカタログ。
同カタログ136~137ページ

同カタログ138~139ページ。
このカタログは古本屋でも高額ですが、日本の20世紀前衛芸術研究には欠かせない基本文献です。
●2014年9月24日~29日 韓国ソウル
ソウルのCOEX HALL で開催されたアートフェア「KIAF(The 13th Korea International Art Fair)」に、ときの忘れものが出展。
瑛九の油彩「風景」を出品展示しました。
●2016年5月20日~5月23日 韓国・釜山
プサンのBEXCO で開催されたアートフェア「ART BUSAN 2016(INTERNATIONAL ART FAIR 2016 KOREA)」に、ときの忘れものが出展。
瑛九の油彩「手」(現在は埼玉県立近代美術館所蔵)と、吹きつけ「作品 題不詳」の計2点を出品展示しました。
●2017年12月5日~12月10日 アメリカ・マイアミ
マイアミのOne Miami Herald Plaza で開催されたアートフェア「ART MIAMI 2017」にときの忘れものが出展。
瑛九のフォトデッサン3点を出品展示しました。
左から「作品 題不詳」「三人」「作品 題不詳」
●2018年3月8日~3月11日 アメリカ・ニューヨーク
ニューヨークのPier 36 で開催されたアートフェア「art on paper 2018」にときの忘れものが出展。
瑛九のフォトデッサン2点を出品展示しました。
左側3点は瀧口修造。右端はマン・レイ。
中央2点が瑛九、上から「作品 題不詳」「バイオリン」
そして2019年、初の海外個展が実現しました。
●2019年3月27日~31日 香港
香港のConvention & Exhibition Centreで開催中の「ART BASEL HONG KONG 2019」にときの忘れものが出展し「瑛九展」を開催。油彩7点、フォトデッサン10点の計17点を出品しました。
瑛九の生前、没後を通じて初の海外での個展でした。
ART BASEL HONG KONG 2019ときの忘れものブースナンバー:3D27
公式サイト:https://www.artbasel.com/hong-kong/
アートバーゼル香港2019には、35の国と地域から242軒のギャラリーが参加。
2019年3月26日 宮崎日日新聞朝刊
『第28回 瑛九展』(アートバーゼル香港)図録
2019年 ときの忘れもの
B5版 36頁 作品17点、参考図版27点掲載
執筆:大谷省吾(東京国立近代美術館)
編集:尾立麗子(ときの忘れもの)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
翻訳:Polly Barton、勝見美生(ときの忘れもの)
上記の海外展の記録は、私たちが把握しているものだけです。
これ以外にも海外で作品が展示されたこともあるでしょう。今後は専門研究者の力を借りて詳しい記録を調査したいと考えています。
●瑛九の資料・カタログ等については2019年1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
●本日のお勧めは瑛九です。
瑛九 Q Ei
《題不詳》
1936~39年頃
フォト・デッサン
30.3×25.2cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆生誕110年 第30回瑛九展 フォト・デッサンと型紙 開催中(予約は不要です)
会期=2021年9月3日(金)―9月25日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝休

『生誕110年 第30回瑛九展 フォトデッサンと型紙』カタログ
2021年 B5版 28P
執筆:ワーグナー浅野智子(美術博士)、飯沢耕太郎(写真評論家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
発行:ときの忘れもの
税込価格 880円、送料250円
カタログと展示風景は(9月8日ブログを参照)。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
1995年の開廊以来、実に30回目となったときの忘れものの瑛九展。今回は完成したフォト・デッサンとともに、制作に用いられた型紙7点も展示。瑛九マジックの仕掛けは、それだけでひとつの作品になるうるほど美しいものでした。
(20210918/岡田昌浩さんのtwitterより)>
海外で作品(特にフォトデッサン)を発表することは瑛九(1911~1960)の夢でした。
生前から没後、海外での作品発表歴を簡単にご紹介します。
●1953年3月ニューヨーク
アメリカの有力写真展「トップス・イン・フォトグラフィー展」に瑛九のフォトデッサン5点が出品されました。
<僕も遂に米国から大きな申込みがやってきました。多分父上からそのことに就てはお聞き下さったでしょう。家内が父上へ手紙を書きましたから僕からは詳しく申上げません。
僕は今度こそ僕にとって絶好のチャンスだと思ってゐます。おそらく、僕の一生のうちで最も大きな事件となるでしょう。・・・
(1953年3月9日 兄の杉田正臣宛 瑛九書簡より)>
瑛九自らアメリカに作品(フォトデッサン)を送って、実現した海外での発表と思われますが、
2015年05月23日のブログをご参照いただきたいのですが、詳細は不明です。今後の研究課題です。
生前の海外展は上記一回だけと思われます。
以下は私たちが把握している没後の海外展の記録です。
●1980年4月~8月アメリカ・カリフォルニア
瑛九の最晩年の点描大作「田園」(1959年)を所蔵する加藤南枝さんが自らアメリカに運んで企画し、カリフォルニア州の大学などいくつかの会場で「田園」の<ライトデッサン展>を開催しました。


掲載したのはそのときの加藤さんの手作りの記録集です。クリックすると拡大されて読みやすくなります。
記録集によれば、開催日程は以下のようなものでした。
1980年4月11日~13日:加藤氏のスタジオで展示(バークリー、カリフォルニア)
1980年4月19日:KALAインスティテュートのS.C.R.A.P.フェスティバルに参加(バークリー、カリフォルニア)
1980年5月1日~4日:インターダダ’80展に参加(ユカイア、カリフォルニア)、パラスホテルで展示
1980年5月9日:アート・グリップに参加(サンフランシスコ)
1980年8月13~15日(予定):アースラ・ピーターのスタジオで三日間展示
*なお「田園」は現在、埼玉県立近代美術館に寄託されています。
●1986年12月9日~1987年3月2日パリ ポンピドゥー・センター
海外の大規模な美術館で瑛九の作品が展示された初めての展覧会は「前衛芸術の日本 1910-1970展 Japon des Avant-gardes 1910-1970」でした。総合コミッショナーはマルセイユの総美術館館長(展覧会準備中にポンピドゥー・センターから異動)ジェルマン・ヴィアットと美術史家高階秀爾(現在は大原美術館館長)でした。
瑛九は「赤の中の小さな白」(1937年 油彩、東京国立近代美術館所蔵)はじめ、デッサン4点、フォトデッサン8点、コラージュ2点の計15点が出品されました。

美術、写真、映像、建築、工芸、デザイン、ファッションなどの日本における1910年から1970年までの歴史的展開を、700点以上の作品、資料によって提示し、 戦前と戦後の前衛芸術の連続性と断絶を一望した画期的な展覧会でした。上掲は二分冊・厚さ4.5cmの超弩級のカタログ。
同カタログ136~137ページ
同カタログ138~139ページ。
このカタログは古本屋でも高額ですが、日本の20世紀前衛芸術研究には欠かせない基本文献です。
●2014年9月24日~29日 韓国ソウル
ソウルのCOEX HALL で開催されたアートフェア「KIAF(The 13th Korea International Art Fair)」に、ときの忘れものが出展。
瑛九の油彩「風景」を出品展示しました。●2016年5月20日~5月23日 韓国・釜山
プサンのBEXCO で開催されたアートフェア「ART BUSAN 2016(INTERNATIONAL ART FAIR 2016 KOREA)」に、ときの忘れものが出展。
瑛九の油彩「手」(現在は埼玉県立近代美術館所蔵)と、吹きつけ「作品 題不詳」の計2点を出品展示しました。●2017年12月5日~12月10日 アメリカ・マイアミ
マイアミのOne Miami Herald Plaza で開催されたアートフェア「ART MIAMI 2017」にときの忘れものが出展。
瑛九のフォトデッサン3点を出品展示しました。左から「作品 題不詳」「三人」「作品 題不詳」
●2018年3月8日~3月11日 アメリカ・ニューヨーク
ニューヨークのPier 36 で開催されたアートフェア「art on paper 2018」にときの忘れものが出展。
瑛九のフォトデッサン2点を出品展示しました。左側3点は瀧口修造。右端はマン・レイ。
中央2点が瑛九、上から「作品 題不詳」「バイオリン」
そして2019年、初の海外個展が実現しました。
●2019年3月27日~31日 香港
香港のConvention & Exhibition Centreで開催中の「ART BASEL HONG KONG 2019」にときの忘れものが出展し「瑛九展」を開催。油彩7点、フォトデッサン10点の計17点を出品しました。
瑛九の生前、没後を通じて初の海外での個展でした。
ART BASEL HONG KONG 2019ときの忘れものブースナンバー:3D27公式サイト:https://www.artbasel.com/hong-kong/
アートバーゼル香港2019には、35の国と地域から242軒のギャラリーが参加。
2019年3月26日 宮崎日日新聞朝刊
『第28回 瑛九展』(アートバーゼル香港)図録2019年 ときの忘れもの
B5版 36頁 作品17点、参考図版27点掲載
執筆:大谷省吾(東京国立近代美術館)
編集:尾立麗子(ときの忘れもの)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
翻訳:Polly Barton、勝見美生(ときの忘れもの)
上記の海外展の記録は、私たちが把握しているものだけです。
これ以外にも海外で作品が展示されたこともあるでしょう。今後は専門研究者の力を借りて詳しい記録を調査したいと考えています。
●瑛九の資料・カタログ等については2019年1月11日ブログ「瑛九を知るために」をご参照ください。
●本日のお勧めは瑛九です。
瑛九 Q Ei《題不詳》
1936~39年頃
フォト・デッサン
30.3×25.2cm
サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆生誕110年 第30回瑛九展 フォト・デッサンと型紙 開催中(予約は不要です)
会期=2021年9月3日(金)―9月25日(土) 11:00-19:00 ※日・月・祝休

『生誕110年 第30回瑛九展 フォトデッサンと型紙』カタログ2021年 B5版 28P
執筆:ワーグナー浅野智子(美術博士)、飯沢耕太郎(写真評論家)
デザイン:岡本一宣デザイン事務所
発行:ときの忘れもの
税込価格 880円、送料250円
カタログと展示風景は(9月8日ブログを参照)。
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。もともと住宅だった阿部勤設計の建物LAS CASASを使って、毎月展覧会(Web展)を開催し、美術書の編集事務所としても活動しています。
WEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>の特集も是非ご覧ください。
ときの忘れものはJR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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