ご紹介がすっかり遅くなってしまいましたが、横浜市山手町にある神奈川近代文学館で「生誕110年 吉田健一展 文學の樂み」が5月22日まで開催されています。
ときの忘れものも少しお手伝いしました。
ただいま画廊では「生誕110年 松本竣介展」を開催中(5月28日まで)、鎌倉の神奈川県立近代美術館 鎌倉別館でも「生誕110年 松本竣介」が開催されています(5月29日まで)。
竣介と同い歳の1912年生まれには、親友だった舟越保武をはじめ、オノサト・トシノブ、髙山辰雄、佐藤忠良らがいますが、文学者の吉田健一も1912年生まれです。
そういえば、吉田健一と同い歳の舟越保武先生は吉田茂像も制作しています。

生誕110年 吉田健一展 文學の樂み
会期:2022年4月2日~5月22日 *休館日:月曜日
会場:神奈川近代文学館
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吉田健一(1912~1977)は、当時外交官で、敗戦後内閣総理大臣を務めた吉田茂の長男として生まれ、海外の父の任地で過ごした幼少期に流暢な英語を身につけました。日本の中学を卒業後、ケンブリッジ大学に学び、その伝統と風土のなかでヨーロッパの文学に魅了されながらも、約半年後には、日本で文士として生きてゆく決意を固め帰国します。その後、長い修業時代を経て、磨き上げられた独特の文体で、文学研究、批評、翻訳、随筆、小説の間を自在に往来しながら「英国の文学」「乞食王子」「舌鼓ところどころ」「金沢」「時間」など個性あふれる作品を次々と世に送り出しました。
 当館では2016年にご遺族から吉田健一資料約5,700点を受贈し、「吉田健一文庫」として保存してきました。本展ではそれらの資料を中心に、酒、旅、友人たちを愛し、「文學の樂み」について繰り返し私たちに語りかけたその生涯と作品を辿ります。
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20220504_1吉田健一
『交遊録』
1974年
246頁
発行:新潮社
*装幀に使われたのは吉田健一邸を描いた木村茂の銅版画です。
主催の神奈川近代文学館は、著書とともに木村茂先生の銅版画集「吉田健一邸」連作を展示したいと希望され、ときの忘れもののコレクションからお貸ししました。
残り少ない会期ですが、どうぞお出かけください。

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●本日のお勧めは木村茂先生がヨーロッパの旅をまとめられた銅版画集です。
木村茂「ヨーロッパ紀行」01木村茂 銅版画集「ヨーロッパ紀行」
銅版画6点組(作家自刷り、限定50部)
刊行:1975年8月1日
発行:現代版画センター
上掲の吉田健一の『交遊録』と同時期の現代版画センターの初期のエディションですが、木村先生には「日本の街」というシリーズも制作していただきました。


スペイン・太陽の門
木村茂「ヨーロッパ紀行」03《スペイン・太陽の門》

スイス・ピラトス山麓風景
木村茂「ヨーロッパ紀行」04《スイス・ピラトス山麓風景》

ドイツ・ハイデルベルグ城
木村茂「ヨーロッパ紀行」05《ドイツ・ハイデルベルグ城》

ベルギー・グラン プラス
木村茂「ヨーロッパ紀行」06《ベルギー・グラン プラス》

オランダ・運河
木村茂「ヨーロッパ紀行」07《オランダ・運河》

デンマーク・藁屋根
木村茂「ヨーロッパ紀行」08《デンマーク・藁屋根》

木村茂「ヨーロッパ紀行」02

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●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com
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