佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」第86回
窓はないわけではない
3月7日から10日まで開催されるアートフェア東京に向けてピンホールカメラの立体群<仮面と連担>を制作した。ステートメントにも書いたが、今回は複数のカメラであるとともに、それらが集まることで円座の場を作り出そうとしている。人が座っていなくとも、あるいは人が座っていないからこそ、これまでのあるいはこれからの人の訪れを予感させるような、不在を介したコミュニケーションを目論む装置的な形式を考えていた。

<仮面と連担>の一つの椅子と鉄の架台。(photo: comuramai)
そして、そんな不在=そこにはいないことを記録するために、立体の中に組み込まれた複数のカメラで同時に撮影を行った。室内で撮影したために光は限られていたので、およそ朝から夕方までずっとカメラのシャッターを開いて露光させていた。
そうして撮影できた写真の中から30枚を選び、一つの小さめの本にまとめた。一枚の写真だけでは成り立たない、複数の写真の並びによってあり得る風景を描こうという試みだった。
タイトルは「窓はないわけではない」(英表記は「Non-Windowless」)。不在であったとしても、不在であるからこそかすかな他者との接続の可能性があるような、アンビバレントな感触を言葉にしたものである。






『窓はないわけではない』
(本はアートフェア東京2024会場内で販売予定です。本のデザインと出版はDOOKSの相島大地さんに依頼しました。)
これまで個展を二回ほどやってきて、毎回、制作したカメラで撮影した写真も展示してきたが、今回作った写真は特に組写真となることを意識したものだった。いつも立体を作ってばかりいるのでどうしても立体=実体の複数性について考えることが多いのだが、今回の写真制作をきっかけにイメージが複数あること=イマージュ?についての興味が高まっている。引き続き考究していきたい。

<仮面と連担>のカメラシャッター部分(photo: comuramai)

<仮面と連担>のカメラシャッターが中央に集まった様子(シャッターが開いているのでこの時も撮影している。)(photo: comuramai)

<仮面と連担>の一部(photo: comuramai)
(さとう けんご)
■佐藤研吾(さとう けんご)
1989年神奈川県横浜生まれ。2011年東京大学工学部建築学科卒業。2013年早稲田大学大学院建築学専攻修士課程(石山修武研究室)修了。同専攻嘱託研究員を経て、2014年よりスタジオGAYA。2015年よりインドのVadodara Design AcademyのAssistant Professor、および東京大学工学系研究科建築学専攻博士課程在籍。福島・大玉村で藍染の活動をする「歓藍社」所属。インドでデザインワークショップ「In-Field Studio」を主宰。「一般社団法人コロガロウ」設立。2022年3月ときの忘れもので二回目となる個展「佐藤研吾展 群空洞と囲い」を開催。
・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
●本日のお勧め作品は佐藤研吾です。
《仮面と連担》
2024年
鉄、木(クリ)、アルミ、柿渋、鉄媒染
各36.0×97.9×H170.0cm 5台組
サインあり
Photo by comuramai
作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆ときの忘れものは「ART FAIR TOKYO 2024」に出展します。
会期:2024年3月7日(木)ー3月10日(日)
会場:東京国際フォーラム
ときの忘れものブース番号:N057
出品作家:倉俣史朗、佐藤研吾、葉栗剛
詳しくはこちらをご参照ください。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
窓はないわけではない
3月7日から10日まで開催されるアートフェア東京に向けてピンホールカメラの立体群<仮面と連担>を制作した。ステートメントにも書いたが、今回は複数のカメラであるとともに、それらが集まることで円座の場を作り出そうとしている。人が座っていなくとも、あるいは人が座っていないからこそ、これまでのあるいはこれからの人の訪れを予感させるような、不在を介したコミュニケーションを目論む装置的な形式を考えていた。

<仮面と連担>の一つの椅子と鉄の架台。(photo: comuramai)
そして、そんな不在=そこにはいないことを記録するために、立体の中に組み込まれた複数のカメラで同時に撮影を行った。室内で撮影したために光は限られていたので、およそ朝から夕方までずっとカメラのシャッターを開いて露光させていた。
そうして撮影できた写真の中から30枚を選び、一つの小さめの本にまとめた。一枚の写真だけでは成り立たない、複数の写真の並びによってあり得る風景を描こうという試みだった。
タイトルは「窓はないわけではない」(英表記は「Non-Windowless」)。不在であったとしても、不在であるからこそかすかな他者との接続の可能性があるような、アンビバレントな感触を言葉にしたものである。






『窓はないわけではない』
(本はアートフェア東京2024会場内で販売予定です。本のデザインと出版はDOOKSの相島大地さんに依頼しました。)
これまで個展を二回ほどやってきて、毎回、制作したカメラで撮影した写真も展示してきたが、今回作った写真は特に組写真となることを意識したものだった。いつも立体を作ってばかりいるのでどうしても立体=実体の複数性について考えることが多いのだが、今回の写真制作をきっかけにイメージが複数あること=イマージュ?についての興味が高まっている。引き続き考究していきたい。

<仮面と連担>のカメラシャッター部分(photo: comuramai)

<仮面と連担>のカメラシャッターが中央に集まった様子(シャッターが開いているのでこの時も撮影している。)(photo: comuramai)

<仮面と連担>の一部(photo: comuramai)
(さとう けんご)
■佐藤研吾(さとう けんご)
1989年神奈川県横浜生まれ。2011年東京大学工学部建築学科卒業。2013年早稲田大学大学院建築学専攻修士課程(石山修武研究室)修了。同専攻嘱託研究員を経て、2014年よりスタジオGAYA。2015年よりインドのVadodara Design AcademyのAssistant Professor、および東京大学工学系研究科建築学専攻博士課程在籍。福島・大玉村で藍染の活動をする「歓藍社」所属。インドでデザインワークショップ「In-Field Studio」を主宰。「一般社団法人コロガロウ」設立。2022年3月ときの忘れもので二回目となる個展「佐藤研吾展 群空洞と囲い」を開催。
・佐藤研吾のエッセイ「大地について―インドから建築を考える―」は毎月7日の更新です。
●本日のお勧め作品は佐藤研吾です。
《仮面と連担》2024年
鉄、木(クリ)、アルミ、柿渋、鉄媒染
各36.0×97.9×H170.0cm 5台組
サインあり
Photo by comuramai
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆ときの忘れものは「ART FAIR TOKYO 2024」に出展します。
会期:2024年3月7日(木)ー3月10日(日)会場:東京国際フォーラム
ときの忘れものブース番号:N057
出品作家:倉俣史朗、佐藤研吾、葉栗剛
詳しくはこちらをご参照ください。

ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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