去る1月23日、筑波大学で開催された瑛九ワークショップの様子はこのブログでも紹介しましたが、先般それが一冊にまとめられ、五十殿研究室から送っていただきました。
ワークショップを開催し、交互の討論をきちんと記録し、公刊する。こういう蓄積が瑛九の評価をさらに正確に進めていくことになると思います。

『石井コレクション研究1:瑛九』表紙
平成22年3月31日 筑波大学芸術学系発行
21×14.8cm 98頁


左)同書14~15頁
右)同書18~19頁
瑛九作品をめぐるワークショップ(本書7ページより再録)
五十殿利治 寺門臨太郎 田中佐代子
このワークショップは、石井コレクションのひとつの焦点を形成している瑛九をめぐって、本学芸術教育研究組織の教員と院生が行った石井コレクション作品を中心にした基礎的な研究の成果を発表し、さらにその内容について外部の専門家からの教示を得て、あらためて石井コレクション作品の位置づけを確認するとともに、広く近代日本美術史の研究にも寄与することを目的をするものであった。
瑛九は今年でちょうど歿後50年となり、大規模な展覧会の企画が進められていると聞いている。これまでにも瑛九展は時折開催されてきたが、全国を巡回するような大規模な企画とはいえないものであった。フォト・デッサン展(たとえば、東京国立近代美術館フィルムセンター、1997年、国立国際美術館、2005年)あるいは「デモクラート 1951-1957 開放された戦後美術」展(宮崎県立美術館ほか、1999年)のように、瑛九研究も各論の段階に入ったようにもみられるが、歿後50年を記念した本格的な回顧展により、50歳を前にして逝ったこの作家の遺した芸術的な遺産が何であったのかを確認できることが期待されるところである。
本ワークショップは規模としては、こうした展覧会に比してみれば小さいものといわざるを得ないものの、収穫は規模とは関係なく、少なくないと感じたといえば我田引水が過ぎるといえようか。とくにふたりの版画制作者による研究発表は、このような企画にありがちな批評家や美術史研究者による偏った視点とは異なる側面を浮き彫りにすることで、今回の討論の幅を広げることになった。
当日は二部構成となっており、午前中は非公開のワークショップであり、午後から発表を行う者と討議でコメントを加える討論者によって、収蔵庫内と筑波大学ギャラリーにおける石井コレクションの瑛九作品を熟覧し、それぞれの立場からの意見交換を行う場を設けた。午後は、公開形式の研究発表ならびに討議の場となった。なお、それぞれの発表内容と討議内容は、すべて本冊に収められるところとなっている。
『石井コレクション研究Ⅰ:瑛九』目次
007 瑛九作品をめぐるワークショップ
五十殿利治 寺門臨太郎 田中佐代子
009 特集展示「瑛九」 寺門臨太郎
作品図版
012 作品
013 鳥
014 地表
015 都会
016 家族(B)
017 カメラ
018 街
論文
019 作品《街》から見る瑛九のリトグラフ制作プロセス 城山萌々
033 一制作者から見た瑛九銅版画―その制作工程と刷りについて 田島直樹
051 瑛九作品におけるリトグラフ―媒体の横断と「デッサン」的技法 栗原真未
060 瑛九の晩年における油彩画作品
―アンフォルメルとの関連性についての考察 大塚真穂
069 瑛九とセリグマン―長谷川三郎を介した芸術的「前衛」の出会い 五十殿利治
討議記録
087 瑛九作品をめぐるワークショップ討議
小林美紀 坂本雅美 綿貫不二夫 田島直樹 五十殿利治
*****************
若干の部数がありますので、ご希望の方は「ときの忘れもの」宛お申し込みください。送料(切手可)390円はご負担ください。
希望者多数の場合は抽選とさせていただきます。
ときの忘れものの瑛九コレクションから2点ご紹介します。

瑛九「作品B」
1935年 油彩

瑛九「着陸」
1957年 リトグラフ
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ワークショップを開催し、交互の討論をきちんと記録し、公刊する。こういう蓄積が瑛九の評価をさらに正確に進めていくことになると思います。

『石井コレクション研究1:瑛九』表紙
平成22年3月31日 筑波大学芸術学系発行
21×14.8cm 98頁


左)同書14~15頁
右)同書18~19頁
瑛九作品をめぐるワークショップ(本書7ページより再録)
五十殿利治 寺門臨太郎 田中佐代子
このワークショップは、石井コレクションのひとつの焦点を形成している瑛九をめぐって、本学芸術教育研究組織の教員と院生が行った石井コレクション作品を中心にした基礎的な研究の成果を発表し、さらにその内容について外部の専門家からの教示を得て、あらためて石井コレクション作品の位置づけを確認するとともに、広く近代日本美術史の研究にも寄与することを目的をするものであった。
瑛九は今年でちょうど歿後50年となり、大規模な展覧会の企画が進められていると聞いている。これまでにも瑛九展は時折開催されてきたが、全国を巡回するような大規模な企画とはいえないものであった。フォト・デッサン展(たとえば、東京国立近代美術館フィルムセンター、1997年、国立国際美術館、2005年)あるいは「デモクラート 1951-1957 開放された戦後美術」展(宮崎県立美術館ほか、1999年)のように、瑛九研究も各論の段階に入ったようにもみられるが、歿後50年を記念した本格的な回顧展により、50歳を前にして逝ったこの作家の遺した芸術的な遺産が何であったのかを確認できることが期待されるところである。
本ワークショップは規模としては、こうした展覧会に比してみれば小さいものといわざるを得ないものの、収穫は規模とは関係なく、少なくないと感じたといえば我田引水が過ぎるといえようか。とくにふたりの版画制作者による研究発表は、このような企画にありがちな批評家や美術史研究者による偏った視点とは異なる側面を浮き彫りにすることで、今回の討論の幅を広げることになった。
当日は二部構成となっており、午前中は非公開のワークショップであり、午後から発表を行う者と討議でコメントを加える討論者によって、収蔵庫内と筑波大学ギャラリーにおける石井コレクションの瑛九作品を熟覧し、それぞれの立場からの意見交換を行う場を設けた。午後は、公開形式の研究発表ならびに討議の場となった。なお、それぞれの発表内容と討議内容は、すべて本冊に収められるところとなっている。
『石井コレクション研究Ⅰ:瑛九』目次
007 瑛九作品をめぐるワークショップ
五十殿利治 寺門臨太郎 田中佐代子
009 特集展示「瑛九」 寺門臨太郎
作品図版
012 作品
013 鳥
014 地表
015 都会
016 家族(B)
017 カメラ
018 街
論文
019 作品《街》から見る瑛九のリトグラフ制作プロセス 城山萌々
033 一制作者から見た瑛九銅版画―その制作工程と刷りについて 田島直樹
051 瑛九作品におけるリトグラフ―媒体の横断と「デッサン」的技法 栗原真未
060 瑛九の晩年における油彩画作品
―アンフォルメルとの関連性についての考察 大塚真穂
069 瑛九とセリグマン―長谷川三郎を介した芸術的「前衛」の出会い 五十殿利治
討議記録
087 瑛九作品をめぐるワークショップ討議
小林美紀 坂本雅美 綿貫不二夫 田島直樹 五十殿利治
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若干の部数がありますので、ご希望の方は「ときの忘れもの」宛お申し込みください。送料(切手可)390円はご負担ください。
希望者多数の場合は抽選とさせていただきます。
ときの忘れものの瑛九コレクションから2点ご紹介します。

瑛九「作品B」
1935年 油彩
瑛九「着陸」
1957年 リトグラフ
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