ときの忘れものは、明日2月10日より「ジョナス・メカス写真展」を開催します。
メカス展
会期=2012年2月10日[金]―2月25日[土] 
12:00-19:00 ※会期中無休
会場=ときの忘れもの
初めての方は迷うので、青山3丁目の交差点あたりからお電話ください。ご案内します。
出品=「this side of paradise」シリーズより日本初公開の13点

●イベントの御案内
ギャラリートーク:2月18日(土)17時~18時
今回、メカスさんは来日しませんが、昨秋刊行されたばかりのジョナス・メカスメカスの難民日記』(みすず書房)の翻訳者である飯村昭子さんをニューヨークから迎え、同じく飯村訳の『メカスの映画日記』(1974年、フィルムアート社)の装幀者である植田実さんとのギャラリートークを開催します。
参加費1,000円 
要予約(ときの忘れもの電話03-3470-2631/メールinfo@tokinowasuremono.com)
定員になり次第、締め切ります。

レセプション:2月18日(土)18時~20時
ギャラリートークの後に、メカス日本日記の会の木下哲夫さんらを囲みレセプションを開催します。予約不要で、どなたでも参加できますので、ぜひお出かけください。

●ジョナス・メカスの映像作品
 故郷リトアニアをソ連、ドイツに相次いで占領され、強制収容所そして難民キャンプを転々とする生活を経て1949年、アメリカに亡命したジョナス・メカス。リトアニアでは詩人そして新聞や文学雑誌の編集に携わっていましたが、渡米後、言葉も通じないブルックリンで機械工や清掃員などの仕事をする傍ら、一台の16ミリ・カメラを手にします。そして、自分の住む場所やリトアニア系移民の日々の生活を日記のように撮り始めます。その後は、詩人として、そして戦後アメリカのインディペンデント映画や実験映画をリードした映像作家として映画を志す若い人々に大きな影響を与えています。
 メカスは、日常的な記録の断片を集積し、再構成する独特のスタイル「日記映画」の創始者であり、独特の言葉の響きをもつナレーションや、選択された音楽の効果、それらが相まって醸し出されるメランコリックでノスタルジックなニュアンスに富む映像は、他にはない魅力を放っています。映画に写し出される人々は、メカスの家族や友人達ですが、観客にとっても、かけがえのない肉親なのではないかと思わせます。粗い粒子の画面のなかで、笑ったり踊ったりする人々はとても愛しく、彼等を愛してしまうことを止められません。郷愁、愛情、魂、どんな言葉を使っても観客が感じてしまう心の動きを伝えることは不可能に思えます。胸を切り裂き、何かを感じて脈打つ心臓を、ここに差し出してみせるしかないのかもしれません。
 近年、メカスが精力的にとりくんでいる仕事の一つに、彼自身が撮影した 16mmフィルムより、3コマ程度の部分を抜粋し、写真として焼きつける「フローズン・フィルム・フレームズ-静止した映画」と呼ばれる仕事があります。
 本展では、その中の「this side of paradise」シリーズより日本未発表の大判作品13点を展示します。
mekas_21_Anthony_Radziwill_Montauk_
ジョナス・メカス Jonas MEKAS
"Anthony Radxiwill. Montauk, August 1972"
1972年 (Printed in 1999)
Type-Cプリント
イメージサイズ:49.0x32.3cm
シートサイズ :50.6x40.5cm
Ed.10 サインあり

mekas_17_Dallesandro_carries_John
ジョナス・メカス Jonas MEKAS
"Dallesandro (star of several of Warhol movies... carries John Kennedy jr., South Hampton beach. 1971"
1972年 (Printed in 1999)
Type-Cプリント
イメージサイズ:49.1x32.4cm
シートサイズ :50.7x40.7cm
Ed.10 サインあり

 「this side of paradise」の元になった映像は、1960年代末から70年代始め、ジョン・F・ケネディの未亡人であったジャッキー・ケネディに請われ、子息のジョン・ジュニアやキャロラインといとこたちに映画を教えていた時期に撮影されたフィルムです。悲劇的な父親の死から程ない頃、父親のいない暮らしに慣れるまでの、心の準備が少しでも楽にできるよう、子供たちが何かすることをみつけてやりたいと考えたジャッキーが、子供たちに美術史を教えていたピーター・ビアードを通じて、メカスに頼みました。アンディ・ウォーホルから借り受けたモントークの古い家で、ジャッキーとその妹家族、子供達、メカス、週末にはウォーホルやビアードが加わり、皆で過ごした夏の日々の、ある時間、ある断片が作品には切り取られています。
 大統領夫人がポップアートの作家の別荘を借り、実験映画のアーティストたちを家庭教師に頼み、子供達とひと夏をモントークで過ごす。ある家族の日常に記録ですが、それがそのまま60~70年代のアメリカを象徴する映像となっています。

「それは友と共に、生きて今ここにあることの幸せと歓びを、いくたびもくりかえし感ずることのできた夏の日々。楽園の小さなかけらにも譬えられる日々だった」  ジョナス・メカス

■ジョナス・メカス Jonas MEKAS
1922年リトアニア生まれ。ソ連次いでナチス・ドイツがリトアニアを占領。強制収容所に送られるが、45年収容所を脱走、難民キャンプを転々とし、49年アメリカに亡命。16ミリカメラで自分の周りの日常を日記のように撮り始める。65年『営倉』がヴェネツィア映画祭で最優秀賞受賞。83年初来日。89年NYにアンソロジー・フィルム・アーカイヴズを設立。2005年ときの忘れものの個展のために4度目の来日。

ジョナス・メカスさんの新作映画《スリープレス・ナイツ・ストーリーズ 眠れぬ夜の物語》が東京都写真美術館他での「第4回 恵比寿映像祭――映像のフィジカル」で上映されます。

こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから

2月のWEB展は「靉嘔展」です。