上州無知亦無才
剛毅木訥易被欺
唯以正直接萬人
至誠依神期勝利

少年時代に初めて知った「心の灯台 内村鑑三」の漢詩です。
「心の灯台~」とは群馬県人なら誰でも知っている上毛歌留多の一枚。
亭主が群馬の山奥から大都会・高崎に出てきて高崎高校に入学したのが1961年春。烏川のほとりにある城址公園にこの詩碑がありました。

上州無知また無才
剛毅木訥にして欺かれやすし
ただ正直をもって萬人に接す
至誠神によって勝利を期せん

わが故郷上州群馬の画家といえば、山口薫、福沢一郎、オノサト・トシノブの三人。
福沢、オノサトの両先生には、版画を随分つくっていただきました。
お二人とも権威を嫌う、まさに上州人でした。
福沢先生は「美術年鑑」類(号いくらとか書いてある)への掲載を断固拒否して、もし勝手に掲載したら訴訟するとまで言って、ご自分の信念を貫かれました。

オノサト先生には現代版画センター時代にエディションをつくり、今でも作品をたくさん扱っています。
瑛九命の亭主ではありますが、オノサト先生の生誕100年を祝す企画が少ないのを残念に思っていました。
このたび先生が長年暮らした終焉の地・桐生の大川美術館で「生誕100年 オノサト・トシノブ」展が開催となり、とても嬉しい。
最初期の具象絵画から、1950年代後半の「ベタ丸」の時代、1960年以降の「分割円」の時代から晩年にかけての油彩・水彩作品約80点による展観とのこと。
何とか会期中に行かねば。

「生誕100年 オノサト・トシノブ」
大川美術館
会期=2012年10月5日(金)~12月16日(日)
20121005オノサトトシノブ展 表20121005オノサトトシノブ展 裏

●大川美術館の同展関連イベント
*要申込み 参加費無料。ただし入館料が必要です。
10月27日(土)18時~
 五十殿利治氏(美術史家・筑波大学教授)
  「模索時代のオノサト・トシノブについて」

11月24日(土)18時~
 小林俊介氏(画家・山形大学准教授)
  「オノサトとナンバタ -ベタ塗りのあとさき-」

11月30日(金)18時~
 オノサト・トシノブの命日にあたるこの日、桐生において交友のあった
 人々をお招きして座談会を行います。
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ときの忘れもののコレクションからオノサト・トシノブの初期作品をご紹介しましょう。
オノサト油彩1958年
オノサト・トシノブ
「二つの丸」
1958年 油彩・キャンバス
13.9×18.0cm
Singed キャンバス裏に自筆サインと年記

オノサト64-F
オノサト・トシノブ
「64-F」
1964年 リトグラフ
23.7×31.8cm
Ed.120
Singed

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