1995年6月に開廊してから私たちが最も力を入れて紹介してきた瑛九(本名・杉田秀夫)は、1911年4月28日に宮崎で生まれ、1960年の今日、3月10日に49歳の誕生日を目前に亡くなりました。
同い年の作家には岡本太郎、香月泰男、坂本善三らがいます。
ときの忘れものでは1996年3月6日~3月23日の会期で「第一回瑛九展」を開催して以来、昨年の「第26回瑛九展 光を求めて」までシリーズ企画として毎年瑛九展を開催しています。
またこのブログでは「美術館に瑛九を観に行く」のコーナーを設け、中村茉貴さんらに日本各地の(まだ関東周辺ばかりですが)美術館を訪ねてもらい、収蔵展示されている瑛九作品を紹介しています。
命日の今日、どこかの美術館で瑛九の作品を展示していないだろうか・・・

瑛九
「自転車」
和歌山県立近代美術館所蔵
和歌山県立近代美術館
「コレクション展 2015/16-冬」
会期:2015(平成27)年12月23日(水・祝)ー 2016(平成28)年3月13日(日)
会場:和歌山県立近代美術館 1階展示室
当館は、1963(昭和38)年に開館した和歌山県立美術館を前身として、1970(昭和45)年11月、県民文化会館内に開館しました。明治時代以降の和歌山ゆかりの作家を紹介することを中心に活動を続け、1994(平成6)年には黒川紀章の設計による現在の建物でリニューアルオープンしました。それに伴い、作品収集の範囲を国内外に広げ、現在では総数1万点を超える作品を所蔵しています。
所蔵作品を紹介するコレクション展においては、幅広い美術の表現に接していただけるよう、季節ごとに展示を替え、さまざまな観点から作品紹介を続けています。なかでも、展示の主要なテーマとしているのが、「和歌山ゆかりの作家と近現代の美術」です。
和歌山県は近代以降、すぐれた美術家を多数輩出しています。洋画では、草創期に活躍した神中糸子を始まりに、保田龍門、村井正誠のほか、アメリカに渡って活躍した石垣栄太郎や浜地清松らも注目されます。日本画では、その確立に関わった重要な画家である下村観山や川端龍子、大正期に独自の画風を展開した野長瀬晩花、また戦後日本画の革新に大きな役割を果たした稗田一穂も本県の出身です。
彫刻では、戦前に活躍した建畠大夢と保田龍門、それぞれの子息で戦後の彫刻界を切り開いた建畠覚造と保田春彦。版画では、大正初期に革新的な表現を実現した恩地孝四郎と田中恭吉、戦後を代表する版画家のひとり浜口陽三も、それぞれ本県にゆかりがあります。
名前を挙げた作家すべての作品を毎回紹介することはできませんが、こういった作家を軸として、コレクション展では、日本において展開した美術の流れを、近代から現代にわたって概観できるよう、ご紹介しています。あわせて、海外の作家や新しい世代の作家たちの作品も紹介し、現代における美術表現の広がりもご覧いただきます。
また今回は、大正時代に西洋の美術を積極的に紹介しようとした和歌山出身の編集者、北山清太郎とその周辺作家たちを集めたコーナーを設けます。美術書を通して西洋の新しい美術から刺激を受け、自らも美術雑誌を発刊することを通じて、広く一般に広めようとした北山らの活動の一端をご覧ください。
出品点数はおよそ80点の予定です。
(同館HPより転載)
--------------------
和歌山県というのは鹿児島県と同じく、近代日本の多くの画家を輩出しています。
瑛九は和歌山と縁があるわけではありませんが、今回のコレクション展紹介画像に瑛九「自転車」を使ってくれたことは瑛九ファンとして嬉しい限りです。
お近くの方、どうぞお出かけください。
瑛九が亡くなった3月10日前後のことは、山田光春さんの評伝その他に詳しく記録されていますが、瑛九の晩年を支えた福井瑛九の会、福井県大野の堀栄治さん(2011年没)が遺してくれた労作に『福井創美の歩み』(1990年10月初版、2007年5月第5版発行)という手作りの記録集があります。
福井における創造美育運動、ひいては小コレクター運動の詳細な日録です。昨年の3月10日のブログに詳しく紹介しましたので、お読みいただければ幸いです。
瑛九没後も浦和のアトリエを守り、瑛九顕彰に尽力し、他によくある「独り占め」などせずに、遺されたすべてを快く公開したのが今もご健在の都夫人です。
都夫人のご健康を心から祈っています。
3月10日はまた、亭主の故郷が誇るオーケストラ「群馬交響楽団(群響)」が敗戦の翌1946(昭和21)年に第一回定期演奏会を開いた記念すべき日でもあります。群響については<萩原朔太郎と井上房一郎>をお読みください。
●今日のお勧めは瑛九です。

瑛九《面影》
1936年
フォトデッサン
イメージサイズ:29.0x22.6cm
シートサイズ:30.2x25.0cm
作品裏面に都夫人の署名あり
※『瑛九作品集』(日本経済新聞社、1997年)140ページ所収
瑛九
「逓信博物館 A」
1941年
油彩
46.0x61.1cm
※『瑛九作品集』(日本経済新聞社、1997年)42ページ所収
瑛九
《花々》
1950年
油彩
45.5×38.2cm(F8)
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆「アートブックラウンジ Vol.01“版画挿入本の世界”」
会期:2016年3月9日[水]~3月17日[木] ※日・月・祝日は休廊

今回より日・月・祝日は休廊しますので、実質7日間の会期です。
短い会期ですが、ご来廊のうえ実物(版画挿入本)を手にとってご覧ください。
同時開催:文承根展
●出品作品(版画挿入本)の一部をご紹介します
・李禹煥『李禹煥全版画 1970-1998』1998
・大竹伸朗『倫敦/香港 1980 (限定版)』1986
・ジャスパー・ジョーンズ『The Seasons』1991
・ジャスパー・ジョーンズ『Technics and Creativity: Gemini GEL』1971
・アンディ・ウォーホル『アンディ・ウォーホル展 1983-1984』1983
・アンディ・ウォーホル「KIKU」1983
・ENZO CUCCHI『Enzo Cucchi Scultura 1982-1988』1988
・靉嘔『GQ/5 1974』1974
・磯崎新『The Prints of ARATA ISOZAKI 1977-1983』1983
・堀内正和・磯崎新『堀内正和 磯崎新展』1982
・文承根『版画芸術19』1977
・WOLS『WOLS ヴォルス展/南画廊カタログ』1964
・木村光佑オリジナル版画「OUT OF TIME K」 「十人の版画家 」木村光佑オリジナル版画「OUT OF TIME K」、川合昭三、池田満寿夫、吉原英雄、永井一正、木村光佑黒崎彰署名1971
・難波田龍起『抽象』1979
・LAWRENCE WEINER『SKIMMING THE WATER [MENAGE A QUATRE』2010
・Park Seo-Bo『Enzo Esquisse - Drawing 1996-2001』2001
・李禹煥『版画芸術21』1977
・Sam Francis『Sam Francis』1992
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内
第1回「独奏チェロによるJ.S.バッハと現代の音楽~ガット(羊腸)弦の音色で~」
日時:2016年3月19日(土)18時~19時
出演:富田牧子(チェロ)、木田いずみ(歌)
プロデュース:大野幸
曲目予定:J.S.バッハ、クルターク・ジェルジュ、ジョン・ケージ、尾高惇忠
*要予約=料金:1,000円
予約:メールにてお申し込みください。
info@tokinowasuremono.com
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します。
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
同い年の作家には岡本太郎、香月泰男、坂本善三らがいます。
ときの忘れものでは1996年3月6日~3月23日の会期で「第一回瑛九展」を開催して以来、昨年の「第26回瑛九展 光を求めて」までシリーズ企画として毎年瑛九展を開催しています。
またこのブログでは「美術館に瑛九を観に行く」のコーナーを設け、中村茉貴さんらに日本各地の(まだ関東周辺ばかりですが)美術館を訪ねてもらい、収蔵展示されている瑛九作品を紹介しています。
命日の今日、どこかの美術館で瑛九の作品を展示していないだろうか・・・

瑛九
「自転車」
和歌山県立近代美術館所蔵
和歌山県立近代美術館
「コレクション展 2015/16-冬」
会期:2015(平成27)年12月23日(水・祝)ー 2016(平成28)年3月13日(日)
会場:和歌山県立近代美術館 1階展示室
当館は、1963(昭和38)年に開館した和歌山県立美術館を前身として、1970(昭和45)年11月、県民文化会館内に開館しました。明治時代以降の和歌山ゆかりの作家を紹介することを中心に活動を続け、1994(平成6)年には黒川紀章の設計による現在の建物でリニューアルオープンしました。それに伴い、作品収集の範囲を国内外に広げ、現在では総数1万点を超える作品を所蔵しています。
所蔵作品を紹介するコレクション展においては、幅広い美術の表現に接していただけるよう、季節ごとに展示を替え、さまざまな観点から作品紹介を続けています。なかでも、展示の主要なテーマとしているのが、「和歌山ゆかりの作家と近現代の美術」です。
和歌山県は近代以降、すぐれた美術家を多数輩出しています。洋画では、草創期に活躍した神中糸子を始まりに、保田龍門、村井正誠のほか、アメリカに渡って活躍した石垣栄太郎や浜地清松らも注目されます。日本画では、その確立に関わった重要な画家である下村観山や川端龍子、大正期に独自の画風を展開した野長瀬晩花、また戦後日本画の革新に大きな役割を果たした稗田一穂も本県の出身です。
彫刻では、戦前に活躍した建畠大夢と保田龍門、それぞれの子息で戦後の彫刻界を切り開いた建畠覚造と保田春彦。版画では、大正初期に革新的な表現を実現した恩地孝四郎と田中恭吉、戦後を代表する版画家のひとり浜口陽三も、それぞれ本県にゆかりがあります。
名前を挙げた作家すべての作品を毎回紹介することはできませんが、こういった作家を軸として、コレクション展では、日本において展開した美術の流れを、近代から現代にわたって概観できるよう、ご紹介しています。あわせて、海外の作家や新しい世代の作家たちの作品も紹介し、現代における美術表現の広がりもご覧いただきます。
また今回は、大正時代に西洋の美術を積極的に紹介しようとした和歌山出身の編集者、北山清太郎とその周辺作家たちを集めたコーナーを設けます。美術書を通して西洋の新しい美術から刺激を受け、自らも美術雑誌を発刊することを通じて、広く一般に広めようとした北山らの活動の一端をご覧ください。
出品点数はおよそ80点の予定です。
(同館HPより転載)
--------------------
和歌山県というのは鹿児島県と同じく、近代日本の多くの画家を輩出しています。
瑛九は和歌山と縁があるわけではありませんが、今回のコレクション展紹介画像に瑛九「自転車」を使ってくれたことは瑛九ファンとして嬉しい限りです。
お近くの方、どうぞお出かけください。
瑛九が亡くなった3月10日前後のことは、山田光春さんの評伝その他に詳しく記録されていますが、瑛九の晩年を支えた福井瑛九の会、福井県大野の堀栄治さん(2011年没)が遺してくれた労作に『福井創美の歩み』(1990年10月初版、2007年5月第5版発行)という手作りの記録集があります。
福井における創造美育運動、ひいては小コレクター運動の詳細な日録です。昨年の3月10日のブログに詳しく紹介しましたので、お読みいただければ幸いです。
瑛九没後も浦和のアトリエを守り、瑛九顕彰に尽力し、他によくある「独り占め」などせずに、遺されたすべてを快く公開したのが今もご健在の都夫人です。
都夫人のご健康を心から祈っています。
3月10日はまた、亭主の故郷が誇るオーケストラ「群馬交響楽団(群響)」が敗戦の翌1946(昭和21)年に第一回定期演奏会を開いた記念すべき日でもあります。群響については<萩原朔太郎と井上房一郎>をお読みください。
●今日のお勧めは瑛九です。

瑛九《面影》
1936年
フォトデッサン
イメージサイズ:29.0x22.6cm
シートサイズ:30.2x25.0cm
作品裏面に都夫人の署名あり
※『瑛九作品集』(日本経済新聞社、1997年)140ページ所収
瑛九「逓信博物館 A」
1941年
油彩
46.0x61.1cm
※『瑛九作品集』(日本経済新聞社、1997年)42ページ所収
瑛九《花々》
1950年
油彩
45.5×38.2cm(F8)
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆「アートブックラウンジ Vol.01“版画挿入本の世界”」
会期:2016年3月9日[水]~3月17日[木] ※日・月・祝日は休廊

今回より日・月・祝日は休廊しますので、実質7日間の会期です。
短い会期ですが、ご来廊のうえ実物(版画挿入本)を手にとってご覧ください。
同時開催:文承根展
●出品作品(版画挿入本)の一部をご紹介します
・李禹煥『李禹煥全版画 1970-1998』1998
・大竹伸朗『倫敦/香港 1980 (限定版)』1986
・ジャスパー・ジョーンズ『The Seasons』1991
・ジャスパー・ジョーンズ『Technics and Creativity: Gemini GEL』1971
・アンディ・ウォーホル『アンディ・ウォーホル展 1983-1984』1983
・アンディ・ウォーホル「KIKU」1983
・ENZO CUCCHI『Enzo Cucchi Scultura 1982-1988』1988
・靉嘔『GQ/5 1974』1974
・磯崎新『The Prints of ARATA ISOZAKI 1977-1983』1983
・堀内正和・磯崎新『堀内正和 磯崎新展』1982
・文承根『版画芸術19』1977
・WOLS『WOLS ヴォルス展/南画廊カタログ』1964
・木村光佑オリジナル版画「OUT OF TIME K」 「十人の版画家 」木村光佑オリジナル版画「OUT OF TIME K」、川合昭三、池田満寿夫、吉原英雄、永井一正、木村光佑黒崎彰署名1971
・難波田龍起『抽象』1979
・LAWRENCE WEINER『SKIMMING THE WATER [MENAGE A QUATRE』2010
・Park Seo-Bo『Enzo Esquisse - Drawing 1996-2001』2001
・李禹煥『版画芸術21』1977
・Sam Francis『Sam Francis』1992
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
●ときの忘れもの・拾遺 ギャラリーコンサートのご案内
第1回「独奏チェロによるJ.S.バッハと現代の音楽~ガット(羊腸)弦の音色で~」
日時:2016年3月19日(土)18時~19時
出演:富田牧子(チェロ)、木田いずみ(歌)
プロデュース:大野幸
曲目予定:J.S.バッハ、クルターク・ジェルジュ、ジョン・ケージ、尾高惇忠
*要予約=料金:1,000円
予約:メールにてお申し込みください。
info@tokinowasuremono.com
●ときの忘れものは2016年3月より日曜、月曜、祝日は休廊します。
従来企画展開催中は無休で営業していましたが、今後は企画展を開催中でも、日曜、月曜、祝日は休廊します。
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