コロナ感染がなかなか収まりませんが、今年は事前予約制をやめ(マスクや消毒は丁寧に続行)、毎月企画展を開催し、東京と大阪、福岡、そして久しぶりに海外(アートバーゼル・マイアミ・ビーチ)のアートフェアに出展しました。今年の活動を今日(前半)と、明日(後半)で振り返ってみます。

杉山幸一郎展 スイスのかたち、日本のかたち
2022年1月20日―1月29日
コロナで幾度も開催を延期した杉山幸一郎さんのようやく実現した初個展。


熟練した職人が素材の特性を読み、最も理にかなった形で用途を満たすものを作り出す。そうして生まれ、すでに生活の一部となった身の回りにある物たちがどう作られたのか。そのプロセスに興味があります。
アーティストが自身の作品を通して、目の前に存在しているけれど、なかなか気づくことのできない何かを表現する。それが言葉の壁を超えて共有されているという事実に心を打たれます。
最近、これらの≪あいだ≫に僕の目指す建築家像があるような気がしています。

【作家ステートメント】より)>
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<「杉山幸一郎展 スイスのかたち、日本のかたち」
大学時代の先輩、杉山さんの初個展に伺って来ました。
スイスを案内して頂いた時以来5年ぶり、思い出話やこれからの話など楽しい時間でした。
構築すること(或いは建ちかたを考えること)や輪郭を崩すこと(或いは抽象性の獲得)への興味が窺え、特にドットやストロークとその隙間で構成されたドローイングに惹かれました。
(20220125/アキヅキさんのtwitterより)>

<今日は仕事帰りに建築家・杉山幸一郎さんの個展「スイスのかたち、日本のかたち」へ。
会場は駒込にある阿部勤さん設計の「ギャラリー ときの忘れもの」。
杉山さんご本人とも少しお話し出来た。
杉山さんの雰囲気も、作品も素敵でした。
(20220125/SerADOさんのtwitterより)>

<土曜なので少し混んでるかなとは思いましたが、予想以上の大盛況で驚きました。
杉山さんに「Line & Fill 09」を購入した旨をお伝えしたところ、「それを描きながら『Museum』を考えていた」と教えていただきました。
値段もあるので帰り道に少し考えましたが、ドローイングとペアのような作品ですから、思い切って申し込みました。
いずれ杉山さんが実際の建物を建築するのを期待して、ささやかですが応援できればと思います。
(20220123/Tさんからのメールより)>

<ときの忘れもの画廊にて、建築家の杉山幸一郎くんと10年ぶりの再会を果たし、ズントーのことや建築家として独立することについて熱く語らう楽しい時間。個展は29日まで、お見逃しなく!
(20220124/光嶋裕介さんのtwitterより)>

<ときの忘れものにて杉山幸一郎展へ。
在廊中のご本人にお会いし、ズントー建築について盛り上がりました。
展覧会は29日まで。カタログも素敵です!
鉛筆削りは親近感が湧くのでいい素材だと思いました。行ってみると、わかります。
ケルンのコロンバミュージアムに大感激した、というのが二人の共通点。
そして、わたしが死ぬまでに行きたいと思っている、ノルウェー最北端にある魔女狩りの犠牲者を弔う記念館に行ったことがある人は彼以外に知りません。
(20220127/東京建築アクセスポイントNahoko Wadaさんのtwitterより)>


<本日月曜日だが開廊と言うことで、自転車で #ときの忘れもの 杉山氏も在廊だった。
ドローイングに関しては、もちろん繊細ではあるのだけれども、繊細と言う表現以上に、力強かった。見れてよかった。
設計+ αで道を開いているのが自然体。それも今日的なのかなぁと改めて感じた。
あと、ギャラリーの方がお話ししていたアイデア、杉山氏と佐藤研吾氏の対談の企画はぜひ実現して欲しい。
(20220124/行本昌史さんのtwitterより)>
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<スイスのクールに住む建築家・杉山幸一郎(1984- )さんが帰国され、「杉山幸一郎展 スイスのかたち、日本のかたち」と題した初個展が、駒込の画廊・ときの忘れもので開催されている(1月29日迄)。コロナ禍の厳しい環境の中、やっと実現できた開催と聞く。清楚なカタログを拝見しながら、特に『Line & Fill Object』に惹かれた。色と形、素材の組み合わせ、鉛筆削りの「金属らしさ」が、破壊し再生する芽吹きを秘めているようで、「サイズ感の愛おしさがこたえられない」と、観ていないのに思う。
昨秋から戦前京都のモダニズム建築を見上げ、ブラパチばかりしてきた小生には、国を背負う権威主義に胃もたれの感があり、ありがたいカンフル効果になってくれた。カタログから杉山さんの言葉を引用したい:

 何かを作り出そうとするよりは、デザインしようとするよりは、自然なふるまいからカタチが現れてくるような。デザインを考える時に、はじめに強いカタチが現れてくるのではなく、結果として最後にカタチが現れてきた。というようなプロセス。それがスイスに合っている建築の在り方だと思うようになりました。(5頁)

展覧会の様子、作品のコンセプト、オブジェやドローイングなどが画廊提供のYouTubeで紹介されている。人柄と作品の一致、杉山さんはそうしたタイプの建築家なんだろうなと、思う。楽しい動画で、画廊とクールを行き来しているみたい。
(2022-01-22 石原輝雄さんのブログ<マン・レイと余白で>より)>

杉山幸一郎展スナップ (2)

< ピーター・ズントー事務所を経て昨秋に独立したスイスに拠点を構える建築家 杉山幸一郎さんの初個展。
スイスの職人と共に作り上げた構造の美しい家具作品、角をくり抜いたフレームに飾られたドローイング作品、杉山さん自身の手によって制作されたオブジェのような鉛筆削り、和紙を糸で縫い合わせる事によりそれが柱となり自立した立体作品と、語り尽くせませんが見所の多い展示で、杉山さんの解説でより深く作品を堪能させていただきました。
会期中は在廊されるようです。
(20220125/ELEPHANTさんのfacebookより)>

・杉山幸一郎による展覧会“スイスのかたち、日本のかたち”のレビュー「師の影響を素直に受け入れた上で生まれる建築家の個性」 アーキテクチャーフォト(architecturephoto.net)に杉山幸一郎展の特別レポートが掲載されました。

戸田穣先生にレビュー「明るい影 ―― 建築家杉山幸一郎の描くドローイング」をご寄稿いただきました。


生誕100年 駒井哲郎 Part 2 駒井哲郎と瀧口修造
2022年2月8日―2月26日
生誕100年は2020年だったのですが、コロナで延期に次ぐ延期で(Part 1はほぼ無人の展示)、やっと有人の展示にこぎつけました。
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壁面:オディロン・ルドン《ベアトリーチェ》、《子供の顔と花》、駒井哲郎《時間の玩具》
テーブル:駒井哲郎 詩画集『人それを呼んで反歌という』PL.1~PL.5

<過日の記録。駒込・ときの忘れもの『生誕100年 駒井哲郎展 Part.2 駒井哲郎と瀧口修造』。駒井哲郎、瀧口修造、駒井が影響を受けたルドン、長谷川潔、恩地孝四郎、クレーの作品をあわせた展示。好きなものしかない世界。。カタログも充実、こちらには恩地孝四郎や瀧口修造との書簡も。じっくり読みます
(20200212/文庫善哉さんのtwitterより)>

<午後半休。まず、ギャラリーときの忘れもの「生誕100年 駒井哲郎展」へ。クレー、ルドン、恩地孝四郎、瀧口修造ら、彼が影響を受けた作家の作品とともに詩集の挿画(版画)ほか静謐な世界に浸る、まさに至福のとき。平日のためか、私一人だけ。スタッフの方が説明してくださる。
このために作られた図録は、関連作品や詳細な解説も素晴らしいもの。詩集の挿画は樹木など写実的なもので驚く。図録には詩画集『マルドロオルの歌』からの小品も。瀧口のドローイングなどはやや高価なものの、クレーの石版画などは人によっては手が届かないほどではない(?)価格。ぜひこの機会に(^_^;)
関係ないけれど、ギャラリーの玄関の本棚に、松家仁之さんの小説『火山のふもとで』が何冊も置いてあった。訊くと、なんとギャラリー主の綿貫さんがお好きだとのこと!! 私も大大大好きです♪
サイン入りと、ひとに貸すものと2冊持ってます(^_^)
(20220209/lentil_beansさんのtwitterより)>

20220208152410_00001初日、最初の客あがた森魚 さんでした。

<今日は、久しぶりに、東京。
文京区本駒込の「ときの忘れもの」さんで本日から始まった、「生誕100年 駒井哲郎展 Part 2 駒井哲郎と瀧口修造」へ。
瀧口修造、駒井哲郎共に大好きなのでこれはいかねばなりませぬ。
「ときの忘れもの」さんは、以前、青山にあった頃に伺ったことがあったけど、本駒込は初めて。
安東次男との詩画集『人それを呼んで反歌という』より全版画16点、瀧口修造の水彩とデカルコマニーなどの展示です。
久しぶりに、ねこ以外で展覧会に来た。背筋が伸びる思い。
今回の展示、図録もあります。
当然に、買う。
sato3rikuさんのinstagramより)>

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左はこの直後にリスボンに移住してしまった佐藤圭多さんのご一家4人、社長、亭主、尾立麗子

IMG_6520_1280壁面:瀧口修造作品。土渕信彦さん、瀧口先生のご遺族をお迎えして。

・2月24日ブログに「駒井哲郎を追いかけて第1回~第73回総目次」を掲載しました。


Colla:J 創刊15周年記念展 コラージのフォトコラージュ 
2022年3月4日―3月12日
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塩野哲也さんが編集発行するWebマガジン コラージのバックナンバーから、1月24日ブログで2008年から2015年まで、
2月25日ブログで2016年から2021年までの、いくつかをご紹介しています。

AAA_0207_1280左から社長、塩野和子さん、コラージ11月号「私の落合物語」で案内人を務めた中村惠一さん、和服姿で来廊者にお茶をたててくださった主人の塩野哲也さん、亭主、建築家の玄・ベルト―・進来さん


ART FAIR TOKYO 2022
2022年3月10日―3月13日
03国内最大のアートフェアに倉俣史朗葉栗剛野口琢郎瑛九で出展しました。

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14野口琢郎先生(左)、葉栗剛先生(右)

13壁面:倉俣史朗版画集「カイエ」連作。倉俣美恵子さん(左)と尾立麗子


佐藤研吾展 群空洞と囲い
2022年3月25日―4月3日
大反響を呼んだ2018年の初個展から3年余、福島に移住して多彩な活動を展開する建築家の二回目の個展。


空海による教風が確立された密教を純密と呼ぶのに対して、それ以前の有象無象の密教を雑部密教、雑密と呼ぶことがある。雑密は、地場の神信仰と結合し、体系化されずに断片的かつ同時多発的に生まれ出た、私度の僧による信仰であった。
雑密の内で制作された一木彫の仏像には、当時の腐敗した仏教界、社会全体に怒りの念を表明する、屹立とした荒々しさがあった。おそらくは木彫でないと表現できないような、ドップリと大らかに構えた量感ある異様な造型感覚が注入されていた。
歴史の中では古代から中世への転形と言える束の間の造型であったのかもしれないが、正統に対する異端、中心に対する外縁が担わざるを得ない先鋭性がそこにはあった。造型の極北として、外縁から生まれ出た必然として、雑密仏は再考される必要がある。
そんな、夢想に近い、1000年前の制作への思考を、私は東北地方の片田舎で巡らせている。

【作家ステートメント】より>
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<この原稿を頼まれるまで僕は佐藤さんのことを不勉強で知らず、送ってもらった資料をチラ見しただけだったけれど、聞いてみたいことがふたつあった。ひとつはそれ自体が立体作品のようなピンホールカメラ=針穴写真機のこと。もうひとつは、ただ図面を引くだけではなくて現場で実際の建て込みにまで深く関わるスタイルと、「企業の本社とかも依頼が来るんです」という、「ふつうの建物」であればいいというクライアントとの折り合いの付けかた。「オレサマの作品に文句言うな」と言い放つ御大建築家のような世代ではないと思うので、そのあたりの精神的なコントロールにも興味があった。
都築響一「大玉村の佐藤さん」より>

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《囲い込むための空洞 3》

<BUoYに週一で通っていた私にとってとても腑に落ちる展示内容でした。佐藤研吾さんに興味ある人、阿部勤建築体験したい人オススメです..!

15角手摺子、斜め、揺れない、図面で見るとやり過ぎかなと思いそうだけど全然自然で真似したい納まりだった。コンクリート、木、鉄の関係がしっかり考えられていて勉強になります。

円形天窓を初めて体験した。図面や写真で見るとやり過ぎかなと思いそうだけど全然そんなこと無く自分の解像度の低さを感じるのでした。佐藤さんの作品を柔らかく照らしていて良かったです。元は住宅?だったと思いますが展示スペースに転用できる空間の力強さを感じました。

お時間ある人は野ざらしやBUoY見てから行くとより楽しめると思います。展示品の作り方がより理解できるはず。阿部勤さんの建築の作り方の対比も面白く、僕にはない思考でとても刺激を貰いました。

ひょんなことがきっかけで「佐藤研吾展 群空洞と囲い」 のレビューを書きました。日本語が苦手な私にはとても困難な作業でしたが、BUoYに毎週通っていたときに感じていた何とも言えない佐藤さんの違和感をまとめるにはとても良い機会になりました。
稚拙な文章で恐縮ですがご笑覧頂ければ幸いです。
(昔、常山さんの不動前ハウスの写真に写り込んでいた以来にアーキテクチャフォトにのりました。時の流れの速さに驚愕..!)
展示会会期も残り僅かなので是非皆さまチェックしてみてください...!
(20220325~20220329/石村大輔さんのtwitterより)>

<阿部勤さんの納まり。よく見ないと気づかないくらいの手すりの形。
ちなみに今回のドローイングの額縁は、阿部建築の建具枠に揃えたものとしています。(新たな開口という意図
(20220326/佐藤研吾さんのtwitterより)>

<なんでカメラオブスキュラなの?と訊いたら、その答えがおもしろかった。
「仕掛けを追究しようというのではなくて、そういう設定で空間について考えてみたい」。
その気持ちよくわかる! 
佐藤研吾さんは次回の「ことばのポトラック」出演予定の歓藍社のメンバー。
(20220327/大竹昭子<カタリココ文庫>さんのtwitterより)>

<駒込ときの忘れものにて佐藤研吾さんの展示。とっても良かった。帰り道「いやぁいい展示だったねぇ~」と何回も話した。こういう建築家さんがいることは嬉しい。
4/3まで。
(20220327/しば田ゆき/オトナリ珈琲さんのtwitterより)>

<佐藤研吾展@ギャラリーときの忘れもの。東北産の栗をくり抜いて制作した空洞体=カメラオブスキュラ。印画紙を用いて実際に撮影可能。栗のタンニンと鉄イオン反応による黒。そういえば拙作でも東北産の栗と鋼材をハイブリッドに用いたことがあった。写真のものは198k円。コレクターの方、いかがですか。
(20220327/Qiang Matsuhataさんのtwitterより)>

<駒込のギャラリー、ときの忘れものでの佐藤研吾さんの個展に立ち寄りました。作品であるカメラの色がシックだったのと、ドローイングや写真それぞれに、独特の面白やすさ、とっつきやすさがありました。方々でお世話になっている佐藤さんとも話ができて良かったです。会期中にまた足を運ぼうと思う。
(20220327/金子遥洵さんのtwitterより)>
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<昨年11月に当団体の子ども向けまち歩きスケッチのイベントの講師として来て頂いた佐藤研吾さんの個展が、4月3日まで駒込で開催中です。モチモチの会かわぐちスタッフ金子も先程行ってきました。作品を間近に見られて良かったです。
(20220327/モチモチの会かわぐちさんのtwitterより)>

<今日の展示 佐藤研吾展 群空洞と囲い とてもよかった。言葉にするためにはもう少し想像して反芻してみたい。新しい 光が見えた気がする。
(20220328/渡邊織音さんのtwitterより)>

<個展、来てくれた方々へ説明を繰り出すたびに思考が整理され、かつ自分の制作について新たな発見があるのがとてもありがたい。
(20220326/佐藤研吾さんのtwitterより)>

<ときの忘れもの「佐藤研吾展 群空洞と囲い」へ。
黒い彫刻、ドローイングが並んでいる。
黒いクリ材の彫刻が針穴写真機だというのが、めちゃくちゃおもしろい。
佐藤さんのご説明もお聞きでき、充実した時間を過ごせました。ありがとうございました。
https://architecturephoto.net/141997/
https://youtu.be/tBX4XgoH76A
(20220330/須永則明 | 創造系不動産さんのtwitterより)>

<佐藤研吾さんによる空洞の展示、めちゃ良かった。
(2022030/ryotakedaさんのtwitterより)>

<佐藤研吾展「群空洞と囲い」(ときの忘れもの)。クリの木に穴が穿たれたピンホールカメラが群居する風景。
(20220331/えじりさんのtwitterより)>
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<ときの忘れもの「佐藤研吾展 群空洞と囲い」
黒い栗の彫刻がピンホールカメラだということが面白い。染色に使われるのは鉄を酢酸で煮出した水溶液で、栗材のタンニンと反応した色合い。なので染色というよりは変色という方が適当で、時間が折り込まれた仕上げであり写真機機能と重なる。
(20220329/ozakiさんのtwitterより)>

<佐藤研吾さんの建築展「群空洞と囲い」
作品写真を雪の降る大玉村と横須賀の静かな海岸で撮影しました。佐藤さんがつくる作品は「見る」よりも「会う」という表現がしっくりくる気がします。
http://tokinowasuremono.com/tenrankag/izen/tk2203/339.html
https://architecturephoto.net/141997/
(20220329/comuraさんのtwitterより)>

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<佐藤研吾「群空洞と囲い」ギャラリーときの忘れもの
http://tokinowasuremono.com/tenrankag/izen/tk2203/339.html
栗の木をくり抜いたピンホールカメラの立体作品が並ぶ。鉄の溶液をかけると、鉄が栗のタンニンに反応して黒く染まる。その色が焼け焦げたか土中で長い時をかけて変色したような、自然の変化を想起させる。
「群空洞と囲い」②
ピンホールカメラはすなわちカメラ・オブスクラだが、建築家である佐藤はこの光学機器がヨーロッパで普及した時代まで遡り、それがもとは建築、つまり人が中に入れる大きさを持った箱であったことに注目する。ギャラリーに並ぶ黒い立体は建築群なのだ。
ここで彫刻と建築の違いについて考える。友人の批評家の言葉を借りれば、彫刻とは空間の美術である。空間に作用する作品なら木彫であれ音響であれ彫刻に含まれる。そこでは空間を占める量(ヴォリューム)に眼目が置かれ、銅像のように中が空洞であることは問われない。
方、建築は空間を囲う。住居であれ倉庫であれ、中に空洞を有する。するとそこには内と外という区別が生じる。以上の通り乱暴に分類すれば、彫刻は内部に空間がなく(あるいは空間の有無が問われず)、建築は内部に空間を有するのである。この分類に従えば佐藤の作品は建築といえる。
建築は中の空間と同時に外観を有する。カメラの構造に導かれて必然的に、時に偶然的に、佐藤は作品の外観を決める。あるものは安定して光を取り入れるために脚を本体から削り出し、あるものは高さを与えるために鉄の台を作る。蓋を閉じた黒い箱は光を吸収する日を待っている。
個展は4月3日まで。
(20220331/安井海洋さんのtwitterより)>

<佐藤研吾展@ときの忘れものへ。ピンホールカメラなのだけど、建築でもあるような、黒い何かが並んでいる。佐藤さんは高山建築学校のOBでもある。
(20220401/磯達雄さんのtwitterより)>

<佐藤研吾さんの個展へ
制約があることで他の部分での自由さに集中できるといった考えは現在取り組んでる身体の扱いと近しく、ドローイングと立体の行き来をみてもおもしろい
物理的に起こってしまった事象の受け入れの潔さ
感覚的であることは間違いなく手の動かし方が今更すごい参考になった
(20220401/豊島彩花さんのtwitterより)>

<佐藤研吾展に行って来ました
展示の全スケッチをする中で、手の運びや空間の質感、方向性っぽいものが段々見えてきて、誤読的に解釈。
在廊されてたので質問して、誤読と佐藤さんの思考(試行)を頭の中でアナロジカルに反応させることで身体的な思考ができました
(20220330/葛谷寧鵬さんのtwitterより)>

<「ときの忘れもの」で佐藤研吾さんの個展。だべる。
大玉村から駒込までの作品移動キャラバンを想像するだに、やさしい百鬼夜行というかんじで微笑ましい。
http://tokinowasuremono.com/tenrankag/izen/tk2203/339.html
パンフレットに写るむこうと実作がこっちにあることのあいだをすごく想像させる。
(20220331/EMOTO Hさんのtwitterより)>
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大竹昭子さんの「3.11から10年/藍ではじめる~福島県大玉村の試み」を3月28日ブログに掲載しました。
・建築と社会の関係を視覚化する新しいメディアとして注目されているarchitecturephotoで佐藤研吾展が特集されました。


特集展示:尾形一郎・尾形優とル・コルビュジエ
2022年2022年4月6日―4月9日 
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中村潤展 うろうろをへて こつこつのはて
2022年4月15日―4月24日 


紙や糸くずなどを素材に大,小,様々な立体物をつくります。
気になる素材を手に取り,手触りを確かめたり,光にあてて眺めたり。手の中で遊ぶように始まる作品制作の主な技法は,編む,折る,ねじる,縫う等,生活に親しみにある手の技法です。
積み重なり,繰り返されるだけでふつふつと沸くおかしみのような色や形を期待して,手を動かします。
無理矢理ではない「へー」とか「ほー」とか「きれい」とか「なんでー」の形を見たいのです。
何かを表すためでも,考えるためでも無い色や形の結実がポンと置かれると,空間がすっと広がってのびやかになる。そんなことになればいいなと思います。春を楽しみに,こつこつと冬を過ごします。
作家ステートメント】より>
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《オレキエッテ》

<今日は天気がよさそうだったので、駒込のときの忘れものに「中村潤(なかむらめぐ)展 うろうろをへて こつこつのはて」を見に行った。
トイレットペーパーを編んで作った立体作品がメイン。紙でできている軽やかさと見た感じのずっしり感があって柔らかく明るく楽しい作品だった。
トイレットペーパーを編んだ大きい作品は大胆だけど、糸くずなどを使った小品はとても繊細だった。どちらも楽しんで作っているのが伝わってくる。
ときの忘れものの空間にマッチしていた。
ときの忘れもののスタッフの方が出てきていろいろ説明したりしてくださった。お茶も出していただきゆっくりできた。展示の話しだけでなく近くのランチ情報まで伺ってボリューミーなランチにありついた。楽しかった。
(20220422/YaYaさんのtwitterより)>
中村潤展展示作業展示作業中の中村潤さん
・9月21日ブログに日比谷安希子先生(横浜市民ギャラリーあざみ野)にレビュー「うろうろをへて、こつこつの果て 展評」をご寄稿いただきました。


生誕110年 松本竣介展
2022年5月10日―5月28日 
07松本竣介《コップを持つ子ども》1942年 板に油彩

<ギャラリー ときの忘れもの「誕生110年 松本竣介展」へ。
めったに出ないという油絵とデッサン、人物像を中心に。
竣介の油絵はあちこちで得たスケッチをパーツに、再構築したデッサンを繰り返し、決まった構図をハトロン紙から転写し、絵の具を塗り重ねていったものらしい。
それだけしっかりプロセスを重ねているので、なんか堅牢というか、古びない魅力があるのだなー、と思いました。
いつまでも、ハッと人の心を打つ。
たまたまオーナーの綿貫ご夫妻もいらして歓談。
美術界のことはなんでもご存知なので、話は尽きず。
竣介の製作プロセスの話に始まり、旧蔵者から名品を手に入れるスリリングなプロセス、それに思い切った値をつけ展示会で勝負する時の高揚感、といった画商世界の裏表も聞けてたのしいひととき。
興味のある方、ぜひどーぞ。
(20220513/渡邊隆史さんのfacebookより)>

<ときの忘れもの さんで開催中の「生誕110年松本竣介展」、素晴らしかったです。油彩《コップを持つ子ども》ほか、貴重な素描を間近にじっくり鑑賞できます。お話も伺えて楽しい時間でした。
http://tokinowasuremono.com/tenrankag/izen/tk2205/341.html
本日28日が最終日です!
画像は本展のカタログの表紙です。
(20220528/堀江 栞さんのtwitterより)>
堀江栞さんtwitter画像

AAA_0581_1280ちょうど神奈川県立近代美術館鎌倉館で竣介展と同時に「堀江 栞 ー 触れえないものたちへ」展を開催していた堀江栞さんと、いつもtwitterで展覧会の様子を克明にレポートしてくださる岡田昌浩さん(右)

<生誕110年 松本竣介展@ときの忘れもの~2022/5/28(土)11時~19時 日月祝休
#松本竣介 の肖像画をまとめて観たのは初めてかも。油彩は風景画とは異なるようでいてやはり色味が暗いけど、素描の簡潔な線は印象が変わる。
カタログに中野孝次氏の文章が載ってると知り入手。
(20220527/magrittianさんのtwitterより)>

<「生誕110年 松本竣介展」atときの忘れもの 自分が松本竣介を知ったのは中学の時、美術の教科書に「カップを持つ少年」とされて載ってた「コップを持つ子ども」の鉛筆画だった。何回も見てるけど再び間近にみられるとうれしいものだ。図録掲載の大谷省吾氏の絵画プロセス検証も興味深く読む。本日まで
(20220528/佐藤柿杵さんのtwitterより)>

<ときの忘れもの「生誕110年 松本竣介展」に行きました。気になっていたギャラリー、良かったです。今日28日までです。神奈川県立近代美術館鎌倉別館の展示は明日まで。堀江栞さんの作品とゆるやかにつながる展覧会もあと少しとなりました。
(20220528/栗原幸治さんのtwitterより)>

<今日、駒込に行ったのは、ギャラリー"ときの忘れもの"で開催していた《生誕110年松本竣介展》を観るためでしたが、いや~、行って良かったぁ。写真は息子の莞を描いた作品。
http://tokinowasuremono.com/tenrankag/izen/tk2205/341.html
さまざまな作品や資料があり、時間を忘れて見入ってしまいました。残念ながら会期は本日5/28まで。ただ、中野孝次のエッセイや大谷省吾(東近美)のテキストが掲載された本展のカタログが制作されています(郵送購入可)。
《生誕110年松本竣介展》
《コップを持つ子ども》
1枚目と同名の作品ですが、こちらは油彩。写真ではわかりませんが実際に見ると複雑で微妙な色合いでした。油彩画を制作する過程のデッサンが多数展示されており非常に興味深かった。詳しくは、東近美 大谷副館長のテキストを。http://blog.livedoor.jp/tokinowasuremono/archives/53485974.html
(20220528/neueuraさんのtwitterより)>

<ときの忘れもの「生誕110年 松本竣介展」
ときの忘れもので開かれている今回の松本竣介展はとにかくスゴイ! 竣介の作品としてはほぼ未公開(のようなもの)の《コップを持つ子ども』を観に、日々日本全国から松竣ファンが嵐のように駒込に集まってきています! 必見‼︎(えっ、今日まで😱)
これがその油絵《コップを持つ子ども》と、下絵=トレースに使われた素描。なんと数日前には御歳88歳となる宇野亜喜良さんが、この作品を観るためお一人で麻布十番から電車を乗り継いでやって来られたとか!(宇野さんとは最近いつもニアミスなんだよなぁ😢)
僕が訪れた日は、現在神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開かれている「生誕110年 松本竣介」展で、竣介と共に作品が展示されている画家の堀江栞さん(堀江栞-触れえないものたちへ)が来廊されていて、綿貫ご夫妻と4人で写真を撮っていただきました。
ウクライナでは人類による侵略戦争が再び起こり多くの子供達がロシア兵によって殺されている。戦時中大観や藤田ら多くの芸術家が国威発揚に協力する中、(諸説はあるがとりあえずそれは脇に置いておいて)孤高の道を歩んだ松本竣介の絵に今触れる事の大切さ。
すっかり松本竣介を堪能し、みなさんとのお話も堪能して、そろそろおいとましようとしたところ、スタッフの方から先ほど撮ったばかりの記念写真をお土産にいただきました。早っ! まるでディズニーランドのビッグサンダーマウンテンみたい😄
(20220528/岡田昌浩さんのtwitterより)>
s-AAA_0280左から船橋純一郎さん(せりか書房)と原田光先生(元岩手県立美術館館長)。竣介が少年時代を過ごした盛岡の岩手県美は竣介の油彩51点、水彩・素描152点を所蔵しています。

IMG_9409竣介の油彩18点、水彩素描50点を所蔵する桐生・大川美術館館長の田中淳先生

AAA_0368_1280福井県勝山から荒井由泰さん

AAA_0464_1280新潟県長岡から酒井実通男さん、右は画家の料治幸子さん

AAA_0418_1280松本竣介・禎子夫妻が眠る松江から柳原一徳先生(島根県立美術館)

AAA_0457_1280新春1月14日から「生誕110年記念 松本竣介デッサン50」展を開催する桐生・大川美術館の小此木美代子先生

AAA_0464_1280左から中村惠一さん、太田岳人先生

AAA_0464_1280難波田武男さん(竣介の友人・難波田龍起先生の三男)

AAA_0466_1280宇野亞喜良先生

AAA_0465_1280水沢勉先生(神奈川県立近代美術館館長)、同館は竣介の油彩15点、水彩素描26点あまりを所蔵しており、同時期に鎌倉別館で「生誕110年 松本竣介」展と「堀江栞―触れえないものたちへ」展を開催していました。

AAA_0482_1280左から三上豊先生、大竹昭子さん

AAA_0472_1280左から亭主、絵のモデルの松本莞さん、寺山偏陸さん(寺山修司の義弟)、建築家の松本浩介さん(竣介の孫)

IMG_9853_1280鴫原悠先生(埼玉県立近代美術館)

AAA_0583_1280清水智世先生(京都府京都文化博物館)は、東京と京都で開催された「さまよえる絵筆—東京・京都戦時下の前衛画家たち」展を担当されました。

AAA_0598_1280たまたま居合わせたアーティゾン美術館、国立西洋美術館、原爆の図丸木美術館など各地の学芸員の皆さん

・2022年05月28日ブログで大谷省吾先生(東京国立近代美術館副館長)にレビュー「松本竣介《コップを持つ子ども》について」をご寄稿いただきました。


伊藤公象作品集刊行記念展―ソラリスの襞
2022年6月3日―6月12日 

「ときの忘れもの」での個展のタイトル「ソラリスの襞」は、詩人hiroya(磯崎寛也氏)の初詩集のタイトルを共有した。
ARTS ISOZAKIでの個展「ソラリスの海《回帰記憶》のなかで」(昨年9月から今年3月までの長期開催)のタイトルは小泉晋弥氏の発案で、約50年間のぼくの「襞」を根底にした作品を俯瞰されたのだと思う。個展開催に際し、惑星ソラリスから降り注ぐ襞のコンセプトを磯崎氏も共感され、会期中磯崎氏から幾度となく詩が届けられた。そして詩集を出すのでドローイングを描いて欲しい、とお話があった。ドローイングと言えば、かつて金沢美術工芸大学大学院の専任担当時、芸術学領域の小松崎拓男教授の企画で同大学主催の個展をしたとき、“伊藤さんのドローイングを見たい”と言われたのを思い出した。興味があったので “やってみたいですね” とは言ったものの、独学の身でデッサンの経験がない。しかしドローイングとは何か?と思索していたし、長年土を素材にしてきたからか、紙と土で独自なモノをと思い立った。出品したド ローイングやコラージュは襞の概念を基に拍車が掛かった。作り出すと面白くて止まらない。夢中で製作に没頭した。「ときの忘れもの」はコンクリートの壁面が多い独特な展示スペースを持つので、壁面を主体にした展示には魅力がある。と同時に展示スペース全体を独自な空間にするインスタレーションの感覚は消せない。新たな作品を発表する。
「ときの忘れもの」のブログには故、瀧口修造氏をはじめ著名な詩人、建築家、美術関係者が登場する。歴史有る「場」での個展で、土を主な素材にした50年の作品集の出版記念展「ソラリスの襞」をぜひご高覧いただきたい。

【作家ステートメント】
50右から伊藤公象先生、ご夫人の伊藤知香さん、綿貫令子、綿貫不二夫、尾立麗子

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20220603スナップ (24)美術評論家連盟会長という火中の栗を拾われご多忙の四方幸子先生(右)にはレビュー「ソラリスの襞―蠢くエネルギーのエロス~」をご寄稿いただきました。

<「伊藤公象作品集刊行記念展―ソラリスの襞」2022/6/3-12 @ときの忘れもの(駒込)。旧個人宅のそこここに散りばめられ構成された新旧の作品たち...時を超えて一貫してラディカル、そして自然の作用を引き出した繊細なエロスをしみじみと堪能。新作からもエネルギーをもらった。
2022年の新作2シリーズも!その一つがこちらのコラージュ作品。卵の内部から突き出て溢れてくる公象さんの「襞」...! (作品集は今月末刊行予定)。公象さんについては『美術手帖』2022年2月号に記事を執筆しているので、ぜひ!
今日も昔の知人との「出会い直し」が...!伊藤公象展開催の「ときの忘れもの」で、すでに8年スタッフとして勤務し頼もしい存在となっている松下賢太さんは、10年前多摩美情報デ学科での学生、そして2012年にはhttp://Ubermorgen.comの展覧会を手伝ってもらいお世話になった!
http://yukikoshikata.com/%e3%82%a6%e3%83%bc%e3%83%90%e3%83%bc%e3%83%a2%e3%83%ab%e3%82%b2%e3%83%b3%ef%bd%9c%e3%82%a8%e3%83%8d%e3%83%ab%e3%82%ae%e3%83%bc%e3%81%ae%e5%ad%a6%e6%a0%a1/
(20220603/Shikatouchさんのtwitterより)>

AAA_0605_1280左から伊藤美穂さん、遠平さん夫妻、『ITO KOSHO 伊藤公象作品集』を監修された小泉晋弥先生


ガウディ生誕170年 細江英公写真展
2022年6月23日―7月9日 
今年はスペインの建築家アントニ・ガウディ(1852-1926)の生誕170年記念の年です。写真家・細江英公(b. 1933)は1964年にバルセロナでガウディ建築と衝撃的な出会いをします。その13年後、1977年から数度に亘って「サグラダファミリア」「グエル公園」「カサバトリョ」などガウディ建築の撮影を行ない、〈ガウディへの讃歌〉を発表しました。40年以上も前に撮影・プリントされたヴィンテージプリントを20点を展示しました。
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・2014年10月12日ブログに細江英公先生のエッセイ<「ガウディ」の肉体と霊性>を掲載しています(再録)。

・6月29日ブログに原茂のエッセイ「ヴィンテージ・プリントについて」(再録)を掲載しました。

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2022年1月~6月までの企画展、アートフェアをご紹介しました。
明日は2022年後半を振り返ります。

12月28日(水)~2023年1月4日(水)まで冬季休廊いたします。
新年の営業は2023年1月5日(木)からです。