11月3日(金、祝日)~11日(土)まで無休で開催する「小石川植物祭2023/命名~牧野富太郎へのオマージュ」には盛岡、福島、富山、東京、沖縄、スイスの作家たちに牧野富太郎の植物図鑑からインスピレーションを受けた作品を制作していただきました。
*当初参加予定だった「佐藤敬+アレクサンドラ・コヴァレヴァ(KASA)」は、作家の事情により出品できなくなりました。お詫びして訂正します。
本日は沖縄在住の仁添まりな先生の新作とステートメントをご紹介します。
*
【作家ステートメント】
⼤学院博⼠課程では、琉球絵画の花⿃画について研究し、琉球王国時代の宗教観、美意識、⾃然に対する眼差しを追体験する⽬的で研究した。⼤学院博⼠課程修了後は、在学中より制作テーマであった「琉球絵画で描く楽園」から裾野を広げて、琉球の美意識にも通ずる現代の宗教観や⾃然観をテーマに描いている。休暇の際には⽣物学の研究者たちと⼭や海に⾏き、制作テーマとなる動植物の素材や資料を収集している。

「琉球草花図・⼀」P8 号(45.7×33.5cm)、2023 年
⾼知⿇紙、薄美濃紙、⽔⼲絵具、岩絵具、バタフライピー染液、⽮⾞染液
動植物…画⾯左上・オキナワウラボシ、画⾯右上・オキナワクジャクシダ、画⾯中央・ゲッ
トウ、画⾯右下・亜種リュウキュウハナイカダ、画⾯左下・ヤンバルタマシダ、蝶・オオゴマダラ
牧野富太郎⽒は沖縄を訪れたことはなかったとのことで、(牧野⽒の友⼈である、沖縄の動植物研究者の⿊岩亘⽒が採集した標本から学名や和名をつけたことがあるとの事なので、ほとんど知識としては沖縄の植物について知っていただろうが…)作者なりに牧野⽒が好みそうなシダ植物を中⼼に、実際に動植物の研究者たちと⼭を散策して集めた資料の中から描き起こした。オキナワウラボシは沖縄からアフリカに広く分布し、沖縄では⽐較的公園などでも⾒ることができるが、胞⼦嚢群が星のように美しく、⻭は⼤きく整った形で、瑞々しい艶のある濃い緑をしていることから、植物学者にも⼈気がある。ゲットウは沖縄の⽂化には⽋かせない有⽤植物で、ムーチー(⻤餅)などの⾏事で餅を包んだり、紙として活⽤したり、芳⾹からタンスの⾍除けなどに使われる植物である。オキナワクジャクシダは、沖縄でも⽐較的珍しく、若葉が⾚く⾊づく美しいシダである。また、ハナイカダに関しては⽇本本⼟でも⾒られるが、沖縄の亜種リュウキュウハナイカダは葉が細⻑い特徴がある。ヤンバルタマシダは伊⾖半島から熱帯アジア圏で広く⾒られるタマシダの⼤型のものを指す。根につく塊茎は⾷べることができ、形状から沖縄の⽅⾔でマヤークーガ(猫の⾦⽟)と呼ばれている。

「琉球草花図・⼆」P8 号(45.7×33.5cm)、2023 年
⾼知⿇紙、薄美濃紙、⽔⼲絵具、岩絵具、バタフライピー染液、⽮⾞染液
動植物…画⾯左上・リュウキュウルリミノキ、画⾯右上・テンニンカ、画⾯中央・⽷芭蕉、
画⾯右下・オキナワウラジロガシ、画⾯左下・リュウキュウイノモトソウ、蝶・オオゴマダラ
リュウキュウルリミノキは冬のヤンバルで⽐較的⾒ることができ、ブルーベリーに似た⾒た⽬の実をつけるが、味は薄いナシのようである。テンニンカは漢字で書くと「天⼈花」と書き、桃⾊の可憐な花を咲かせる。沖縄からインドに広く分布するが、沖縄ではあまり⾒ることができない。そのため、この花に関しては⽣物学の研究者から資料提供を頂き、描いた。沖縄に帰化している説もある。⽷芭蕉も沖縄の有⽤植物のひとつで、繊維を芭蕉布や芭蕉紙などに活⽤され、⽣活のなかで珍重されてきた植物である。⽇本最⼤のドングリである、オキナワウラジロガシの実⽣(種⼦から発芽下ばかりの状態)は、沖縄本島北部で⾒ることができた。昨年は実が豊作であった。リュウキュウイノモトソウは栄養葉と胞⼦葉がわかりやすく分かれていて、⽐較的⾒つけやすいシダである。街中の公園でも⾒ることができる。

「琉球草花図・三」P8 号(41.5×32.0cm)、2023 年
⽉桃紙、鉛筆、⾼知⿇紙、薄美濃紙、⽔⼲絵具、岩絵具、バタフライピー染液、⽮⾞染液
質の良い⽉桃紙が⼿に⼊ったので、実際に⽉桃紙にゲットウのデッサンを描いてみた。
(にぞえ まりな)
■仁添まりな NIZOE Marina
1993 年、沖縄県北谷町生まれ。2010 年、沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画専攻(日本画コース)に入学。日本画を学びながら、学部3 年次から琉球絵画の研究を始める。2021 年に同大学院博士課程を修了し、現在は沖縄県立芸術大学の非常勤講師として働きながら県内外で作家活動を行っている。「琉球絵画の花鳥楽園」を一貫したテーマとして扱う。中国の影響を受けた琉球絵画の花鳥画には、中国から伝来した花と鳥の吉祥を意味する組み合わせが多く取り入れられ、人々の願いを込めて描かれていたことに関心を抱き、現代に通じる吉祥画題として、自らの作品にアレンジを加えながら取り入れている。琉球絵画の描法を積極的に取り入れ、伝統的な吉祥の画題を、現代の琉球絵画で描く楽園として制作していくことで、伝統と革新を試みている。
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こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆小石川植物祭2023/命名~牧野富太郎へのオマージュ
会期:2023年11月3日(金)~11月11日(土) ※会期中無休
会場:ときの忘れもの
参加作家:大塚理司、佐藤研吾、杉山幸一郎、戸村茂樹、仁添まりな、藤江民
11月3日(金、祝日)藤江民
11月5日(日)大塚理司(12:00~17:00ごろ)
11月11日(土)戸村茂樹

文京区の小石川植物園で11月3日~5日に第二回小石川植物祭2023が開催されます。
■小石川植物祭メイン会場概要
2023年11月3日(金・祝)/4日(土)/5日(日)
9:00-16:30(入園は16:00まで。再入園可能)
※雨天時の決行の判断は11月1日(水)に行い、WEBや公式SNSで告知
小石川植物園
東京都文京区白山3丁目7番1号
都営地下鉄三田線「白山駅」A1出口 徒歩約10分
東京メトロ丸の内線「茗荷谷駅」出入口1 徒歩約15分
*画廊亭主敬白
一昨日のブログを読んだ方からメールあり。
<昨日のブログ拝見しました。
「宇部・・・ 宇部???」 なんだろう?
読んでびっくり。
実は私、宇部生まれの宇部育ち(端っこの方ですが)、18歳まで住んでいました。
週末は旧国鉄の宇部線に乗って、街中をうろうろしていました。70年代のことです。
綿貫さんが全国を行商していて、岩国のお話はお聞きしたのですが、宇部にも来ておられたとは。
渡辺翁記念会館、宇部銀行本店・・・ 懐かしい・・・。
もしかすると何処かですれ違っていたかもしれませんね。
亡くなった父は宇部興産窒素工業に勤めていました。
村野藤吾先生つながりです。
その後、北九州市戸畑で6年過ごしました。
小倉市民会館(コンサートにも行った。)、旧八幡製鉄所施設・・・。
これも村野先生・・・。
知らなかった。ありがとうございます。
知るということは、何か活力を生みますね。
(20231030/周防大島のTさんより)>
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

*当初参加予定だった「佐藤敬+アレクサンドラ・コヴァレヴァ(KASA)」は、作家の事情により出品できなくなりました。お詫びして訂正します。
本日は沖縄在住の仁添まりな先生の新作とステートメントをご紹介します。
*
【作家ステートメント】
⼤学院博⼠課程では、琉球絵画の花⿃画について研究し、琉球王国時代の宗教観、美意識、⾃然に対する眼差しを追体験する⽬的で研究した。⼤学院博⼠課程修了後は、在学中より制作テーマであった「琉球絵画で描く楽園」から裾野を広げて、琉球の美意識にも通ずる現代の宗教観や⾃然観をテーマに描いている。休暇の際には⽣物学の研究者たちと⼭や海に⾏き、制作テーマとなる動植物の素材や資料を収集している。

「琉球草花図・⼀」P8 号(45.7×33.5cm)、2023 年
⾼知⿇紙、薄美濃紙、⽔⼲絵具、岩絵具、バタフライピー染液、⽮⾞染液
動植物…画⾯左上・オキナワウラボシ、画⾯右上・オキナワクジャクシダ、画⾯中央・ゲッ
トウ、画⾯右下・亜種リュウキュウハナイカダ、画⾯左下・ヤンバルタマシダ、蝶・オオゴマダラ
牧野富太郎⽒は沖縄を訪れたことはなかったとのことで、(牧野⽒の友⼈である、沖縄の動植物研究者の⿊岩亘⽒が採集した標本から学名や和名をつけたことがあるとの事なので、ほとんど知識としては沖縄の植物について知っていただろうが…)作者なりに牧野⽒が好みそうなシダ植物を中⼼に、実際に動植物の研究者たちと⼭を散策して集めた資料の中から描き起こした。オキナワウラボシは沖縄からアフリカに広く分布し、沖縄では⽐較的公園などでも⾒ることができるが、胞⼦嚢群が星のように美しく、⻭は⼤きく整った形で、瑞々しい艶のある濃い緑をしていることから、植物学者にも⼈気がある。ゲットウは沖縄の⽂化には⽋かせない有⽤植物で、ムーチー(⻤餅)などの⾏事で餅を包んだり、紙として活⽤したり、芳⾹からタンスの⾍除けなどに使われる植物である。オキナワクジャクシダは、沖縄でも⽐較的珍しく、若葉が⾚く⾊づく美しいシダである。また、ハナイカダに関しては⽇本本⼟でも⾒られるが、沖縄の亜種リュウキュウハナイカダは葉が細⻑い特徴がある。ヤンバルタマシダは伊⾖半島から熱帯アジア圏で広く⾒られるタマシダの⼤型のものを指す。根につく塊茎は⾷べることができ、形状から沖縄の⽅⾔でマヤークーガ(猫の⾦⽟)と呼ばれている。

「琉球草花図・⼆」P8 号(45.7×33.5cm)、2023 年
⾼知⿇紙、薄美濃紙、⽔⼲絵具、岩絵具、バタフライピー染液、⽮⾞染液
動植物…画⾯左上・リュウキュウルリミノキ、画⾯右上・テンニンカ、画⾯中央・⽷芭蕉、
画⾯右下・オキナワウラジロガシ、画⾯左下・リュウキュウイノモトソウ、蝶・オオゴマダラ
リュウキュウルリミノキは冬のヤンバルで⽐較的⾒ることができ、ブルーベリーに似た⾒た⽬の実をつけるが、味は薄いナシのようである。テンニンカは漢字で書くと「天⼈花」と書き、桃⾊の可憐な花を咲かせる。沖縄からインドに広く分布するが、沖縄ではあまり⾒ることができない。そのため、この花に関しては⽣物学の研究者から資料提供を頂き、描いた。沖縄に帰化している説もある。⽷芭蕉も沖縄の有⽤植物のひとつで、繊維を芭蕉布や芭蕉紙などに活⽤され、⽣活のなかで珍重されてきた植物である。⽇本最⼤のドングリである、オキナワウラジロガシの実⽣(種⼦から発芽下ばかりの状態)は、沖縄本島北部で⾒ることができた。昨年は実が豊作であった。リュウキュウイノモトソウは栄養葉と胞⼦葉がわかりやすく分かれていて、⽐較的⾒つけやすいシダである。街中の公園でも⾒ることができる。

「琉球草花図・三」P8 号(41.5×32.0cm)、2023 年
⽉桃紙、鉛筆、⾼知⿇紙、薄美濃紙、⽔⼲絵具、岩絵具、バタフライピー染液、⽮⾞染液
質の良い⽉桃紙が⼿に⼊ったので、実際に⽉桃紙にゲットウのデッサンを描いてみた。
(にぞえ まりな)
■仁添まりな NIZOE Marina
1993 年、沖縄県北谷町生まれ。2010 年、沖縄県立芸術大学美術工芸学部絵画専攻(日本画コース)に入学。日本画を学びながら、学部3 年次から琉球絵画の研究を始める。2021 年に同大学院博士課程を修了し、現在は沖縄県立芸術大学の非常勤講師として働きながら県内外で作家活動を行っている。「琉球絵画の花鳥楽園」を一貫したテーマとして扱う。中国の影響を受けた琉球絵画の花鳥画には、中国から伝来した花と鳥の吉祥を意味する組み合わせが多く取り入れられ、人々の願いを込めて描かれていたことに関心を抱き、現代に通じる吉祥画題として、自らの作品にアレンジを加えながら取り入れている。琉球絵画の描法を積極的に取り入れ、伝統的な吉祥の画題を、現代の琉球絵画で描く楽園として制作していくことで、伝統と革新を試みている。
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
◆小石川植物祭2023/命名~牧野富太郎へのオマージュ
会期:2023年11月3日(金)~11月11日(土) ※会期中無休
会場:ときの忘れもの
参加作家:大塚理司、佐藤研吾、杉山幸一郎、戸村茂樹、仁添まりな、藤江民
11月3日(金、祝日)藤江民
11月5日(日)大塚理司(12:00~17:00ごろ)
11月11日(土)戸村茂樹

文京区の小石川植物園で11月3日~5日に第二回小石川植物祭2023が開催されます。
■小石川植物祭メイン会場概要
2023年11月3日(金・祝)/4日(土)/5日(日)
9:00-16:30(入園は16:00まで。再入園可能)
※雨天時の決行の判断は11月1日(水)に行い、WEBや公式SNSで告知
小石川植物園
東京都文京区白山3丁目7番1号
都営地下鉄三田線「白山駅」A1出口 徒歩約10分
東京メトロ丸の内線「茗荷谷駅」出入口1 徒歩約15分
*画廊亭主敬白
一昨日のブログを読んだ方からメールあり。
<昨日のブログ拝見しました。
「宇部・・・ 宇部???」 なんだろう?
読んでびっくり。
実は私、宇部生まれの宇部育ち(端っこの方ですが)、18歳まで住んでいました。
週末は旧国鉄の宇部線に乗って、街中をうろうろしていました。70年代のことです。
綿貫さんが全国を行商していて、岩国のお話はお聞きしたのですが、宇部にも来ておられたとは。
渡辺翁記念会館、宇部銀行本店・・・ 懐かしい・・・。
もしかすると何処かですれ違っていたかもしれませんね。
亡くなった父は宇部興産窒素工業に勤めていました。
村野藤吾先生つながりです。
その後、北九州市戸畑で6年過ごしました。
小倉市民会館(コンサートにも行った。)、旧八幡製鉄所施設・・・。
これも村野先生・・・。
知らなかった。ありがとうございます。
知るということは、何か活力を生みますね。
(20231030/周防大島のTさんより)>
●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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