佐藤研吾さんがときの忘れもにに初めてきたのは2013年12月26日、この年の最後の企画展「ジョナス・メカスとその時代展」の最終日でした。
1989年生まれ。麻布高校から東京大学工学部建築学科卒業という絵にかいたようなエリートかと思いきや、その後、野武士軍団で名をはせた石山修武先生の早稲田大学大学院の石山研究室に進んだというから相当変人(笑)である。
佐藤さんの才能に注目したのが2016年『異形建築巡礼』を注釈するでした。
論もたつ、造型にも並々ならぬ才能を発揮している。
ときの忘れものの個展で発表した《日本からシャンティニケタンへ送る家具1》、家具というけれどこれを家具として使う人は稀だろう。
インドに送るはずがいまやときの忘れものの重要なコレクションとなり、今回のアートフェアアジア福岡2025には佐藤さんご本人とともに遠征、皆さんにお披露目いたします。


佐藤研吾
日本からシャンティニケタンへ送る家具1
2017
木、柿渋、アクリル
H110cm
サインあり

e52fa3aa.jpg (600×450)
2013年12月26日 ときの忘れもの(青山時代)の忘年会でスピーチする佐藤研吾さん(24歳)。
初々しいですね。
左から芳賀言太郎さん、佐藤さん、杉山幸一郎さん、秋葉シスイさん、深野一朗さん。
この日、石山ボスの命令で企画の打合せに来廊、そのまま忘年会に引っ張り込まれてしまったという次第、以来、ときの忘れものが最も期待する作家のひとりとなりました。


佐藤研吾
《くぐり抜けるためのハコ2》
2024
木(ケヤキ、アラスカ桧、ラワン)、アルミ、柿渋、鉄媒染
W30.0×D50.0×H155.0cm
サインあり

●作家ステートメント
リアルを確かめるために、向こう側を見つめる、向こう側を作る。ひょっとすると矛盾しているが、そんな感覚な気がしてきた。過去を視て、未来を探す。遠くの世界に思いを馳せながら、日頃の生活に取り組む。限定的な自己についてを探求し、大きな世界の構造を掴み取る。もしかすると世界はどこかで領域付けられ分断しているのかもしれないが、分断された向こう側を必死に覗き込む努力をする。その試みはおそらく、見るという光の速さでなし得るものではなく、潜る(もぐる)、あるいは潜る(くぐる)と言い表すくらいのある種の困難さもあるだろう。

ピンホールカメラの撮影にはとても時間がかかる。これが本当に光の所業なのかと思うほどに遅い。光は穴の中をズルズルとくぐり抜けているようだ。今回の制作では、カメラの前に鏡を据え置く。カメラのシャッターを開き、鏡の向こう側へとくぐり、世界を覗き込む。そうして撮影された写真もまたその世界の鏡像であるに違いない。あるいは向こう側なのか。イマージュからイマージュへ、少々の時間をかけて、くぐり抜けていく。
さとう けんご

2025年9月25日 たくましくなった佐藤研吾さん(35歳) 福岡・アートフェアアジア福岡2025

 

佐藤研吾
《遠い場所を囲い込むための空洞1》
2022
クリ、鉄媒染
20.0×25.0×20.0cm
サインあり


佐藤研吾
《くぐり抜けるためのミラー3》
2024
木(ケヤキ、アラスカ桧、クリ)、鉄、ステンレス、柿渋、鉄媒染
W35.0×D60.0×H170cm 
サインあり

20.

佐藤研吾
《くぐり2》
2024
ゼラチンシルバープリント
17.0×17.0cm
サインあり

21.

佐藤研吾
《くぐり4》
2024
ゼラチンシルバープリント
17.0×17.0cm
サインあり

22.

佐藤研吾
《湖6》
2024
画用紙に鉛筆、水彩
20.5×14.7cm
サインあり

23.

佐藤研吾
<<3>> <<4>>
2024
ゼラチンシルバープリント
各18.0×18.0cm
サインあり

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*画廊亭主敬白
九州福岡でのアートフェアが始まりました。
初日プレビューで早速ル・コルビュジエが売れたとの嬉しいニュース。
尾立、松下、陣野の強力メンバーが遠征、おかげで留守番の社長と亭主はあたふた、ばたばた。
昨日は韓国から美術史の研究者Pさんが来廊、事前にメールのやり取りがあり、あちらにルーツを持つある作家についてお調べになっているらしい。
てっきり男性と思い込んでいたら、現れたのは女性、驚きました。思い込みはいけませんね(反省)。
ここ数日ありがたいことにご注文がいくつもあり、梱包班チーフの加畑は段ボールと格闘しています。
少しお届けが遅れるかもしれませんが、なにとぞご容赦のほどお願いいたします。

◆【アートフェアアジア福岡2025】
会期:2025年9月26日(金)~ 9月28日(日)
一般公開: 9/26(金) 11:00 – 19:00
      9/27(土) 11:00 – 19:00
      9/28(日) 11:00 – 18:00
会場:マリンメッセ福岡 B館(福岡県福岡市博多区沖浜町2−1)
ブース番号: W01

ときの忘れものは、福岡で9月に開催される「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2025」に出展いたします。
会場は、昨年は福岡国際センターでお世話になりましたが、今年は一昨年と同じマリンメッセ福岡B館です。

出品作家:松本竣介瑛九瀧口修造靉嘔塩見允枝子磯崎新ジョナス・メカス元永定正佐藤研吾

ときの忘れものは今年で30周年を迎えます。開廊当初から扱ってきた作家をいくつかのテーマに分けてご紹介いたします。
日本の近現代美術史に大きな足跡を残した瑛九のフォト・デッサンや版画、松本竣介の素描を展示します。
音楽・詩・美術・映画などの領域を飛び越えた芸術運動「フルクサス」からは、女性アーティスト・塩見允枝子の新作エディションをはじめ、虹の作家として知られる靉嘔や、「日記映画」の創始者ジョナス・メカスの作品もご覧いただきます。
「具体美術協会」で活躍した元永定正の版画もご紹介。
また、当方の柱である建築家の作品では、九州に多くの建築を遺した磯崎新の版画と、大阪万博で活躍中の佐藤研吾の立体を展示します。

●ときの忘れものの建築空間(阿部勤 設計)についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
E-mail:info@tokinowasuremono.com 
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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正面外観