<樹木の良材に恵まれた日本では、世界に類例を見ないほど木彫が独自の発展を遂げた。もちろん石、粘土、乾漆、金属、陶やテラコッタ、近年は合成樹脂などを材料とする作品も少なくないが、国内にある古代から現代までの彫刻の大多数(その多くは仏像)は木彫であり、葉栗剛はその木彫を唯一の手段とするアーティストである。>
森本悟郎
(本展カタログより)

名古屋で活動している木彫作家・葉栗剛による彫刻展を開催します。
葉栗剛展DM600
第250回企画展 
葉栗剛展
会期=2014年5月14日(水)ー5月31日(土) 
12:00-19:00 会期中無休

ときの忘れものは1995年の開廊以来、秋山祐徳太子(ブリキ彫刻)、北郷悟(テラコッタ、ブロンズ)、井桁裕子(桐塑)、宮脇愛子(真鍮、ガラス)など幾人かの立体の展覧会を開催したことはありますが、木彫による個展を開催するのは初めてです。
本展では、2体の大作〈男気〉シリーズを中心に、9点の木彫作品をご覧いただきます。

狭い会場、扱い経験のほとんどない木彫作品とあって、開催を躊躇する気持ちもあったのですが、それを上回る魅力と面白さに私たちは取り付かれました。
作家と知り合ったのも偶然で、昨年8月のアートフェア「ART NAGOYA」のレセプション会場で森本悟郎さんに紹介されました。あの夜は「あいちトリエンナーレ」のオープニングと重なり、愛知の美術関係者はほとんどそちらに流れ、レセプション会場にいた森本さんはよほどのへそ曲がりなのか(笑)と思ったほどでした。
その場でタブレット(?)で葉栗さんに作品画像を見せてもらい興味をいだきました。ちょうどノリタケの森で個展があるというので名古屋滞在を一日延ばして実作をまとめて拝見することができ、その場で二体の木彫作品を購入したのでした。

2メートルを超す大作には皆さん圧倒されるでしょう。
木造のギャラリー空間にくすのきの香りが漂う素晴らしい展示です。
どうぞお出かけください。

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葉栗剛
1. 〈男気〉 《祭りより・・・》
‘Otokogi (Chivalry)’ "“From a Matsuri(Festival)..."

木彫(寄木つくり)楠木、彩色
H210.0cm
2013 Signed

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葉栗剛
2. 〈男気〉 《祭りより・・・》
‘Otokogi (Chivalry)’ “From a Matsuri(Festival)...”

木彫(寄木つくり)楠木、彩色
H180.0cm
2013 Signed

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葉栗剛
3. 〈男気〉 (ひょっとこ)
"Otokogi (Chivalry)" (Hyottoko (Clownish mask))

木彫 楠木、彩色
H47.0cm
2012 Signed

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葉栗剛
4. 〈男気〉 (天狗)
"Otokogi (Chivalry) " (Tengu (Long‐nosed goblin mask))

木彫 楠木、彩色
H50.0cm
2012 Signed

かうらいや_34A8527
葉栗剛
5. 《かうらいや》
歌川豊国画「役者舞台之姿絵 かうらいや」より
"Kauraiya"
from Toyokuni Utagawa's "Kauraiya - Portrait of an actor on stage"

木彫 楠木、彩色
H63.0cm
2014 Signed

花和尚_34A8592
葉栗剛
6. 《花和尚》
歌川国芳画「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達」より
"Kaosho (Tattooed Priest)"
from Kuniyoshi Utagawa's "Lu Zhishen, the Tattooed Priest - from One of the One Hundred and Eight Heroes of the Popular Suikoden"

木彫 楠木、彩色
H42.0cm
2014 Signed

張順_34A8645
葉栗剛
7. 《張順》
歌川国芳画「通俗水滸伝豪傑百八人之一人 浪裡白跳張順」より
"Chojun (Zhang Shun)"
from Kuniyoshi Utagawa's "Zhang Shun in the white streak of waves - from One of the One Hundred and Eight Heroes of the opular Suikoden"

木彫 楠木、彩色
H39.0cm
2014 Signed

1~7の作品は長崎美希による彩色
写真:二塚一徹


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●イベントのご案内
5月17日(土)17時より葉栗剛さんと森本悟郎さん(表現研究・批評)を迎えてギャラリートークを行ないます(※要予約/参加費1,000円)。
※必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記の上、メールにてお申込ください。

E-mail. info@tokinowasuremono.com
トーク終了後の18時より開催するレセプションにはどなたでも参加できますので、お誘いあわせのうえお出かけください。
葉栗さんの在廊予定日は、5月14日(水)、17日(土)、18日(日)、19日(月)、29日(木)、30日(金)、31日(土)です。


●ときの忘れものより展覧会カタログを刊行します。
catalogue『葉栗剛展』カタログ
ときの忘れもの 発行
2014年
25.7x18.3cm 16P
執筆:森本悟郎
本体価格864円(税込) 送料別途250円

葉栗剛 Takeshi HAGURI(1957-)
1957年名古屋市に生まれる。1982年に愛知県立芸術大学彫刻科を卒業し、1984年に愛知県立芸術大学大学院を修了。卒業後は木彫を主に制作しているが、野外作品はアルミニウム素材を使用する。主な個展は1996年・1998年 村松画廊(東京)、2006年 中京大学 C・スクエア(名古屋)、2009年千葉県アンデルセン公園こども美術館など多数。主なグループ展は1996年 神戸具象彫刻大賞展、2000年 フォクトランド国際彫刻シンポジウム(ドイツ)、2001年 富獄ビエンナーレ展(静岡県立美術館)、2013年 第16回岡本太郎現代 芸術賞」展 ほか。愛知県立日進西高等学校、ふれあい公園(静岡県春野町)、伊自良村総合運動公園(岐阜県)、愛知県立西春高等学校 愛西市立佐屋小学校(愛知県)、長久手町立北小学校(愛知県) に作品が設置されている。

森本悟郎 Goro MORIMOTO(1948-)

1948年愛知県に生まれる。1971年武蔵野美術大学造形学部美術学科卒業。
1972年同専攻科修了。小学校から大学までの教職を経て、1994年から2014年3月末日まで中京大学アートギャラリーキュレーター。展評、作品解説、作家論など多数。