スタッフSの海外ネットサーフィン No.21
「Singapore Art Fairレポート その2」

読者の皆様こんにちわ。なんだかんだ色々ありましたSingapore Art Fairから帰国し、諸々の作業やら手続きやらも片付いたとは言い難いのですが、そういう事にしておかないと話が進まないので片付いたと言うことにして、いよいよ年末が迫る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
前回はブースの設営が完了したところまでお伝えしましたので、今回の記事ではフェア本番の様子をご紹介します。

プレビュー当日。前日に作業は完了していたので、会場にはプレビューが始まる16:00前に行けばいいかと、午前と午後の早い時間は画廊メンバーの尾立さん、作家兼スタッフの秋葉シスイさん、作家の野口琢郎さんと一緒に昨日訪れたMarina Bay Sandsの近くにある植物園、Gardens by the Bayへ行ってきました。空中回廊のある屋外エリアや、世界各地の植物を見れるFLOWER DOME、中に入ると屋内なのにいきなり滝が視界に飛び込んでくる、インパクト抜群のCLOUD FORESTなど、個人的には十分楽しめました。空中回廊では高所恐怖症故にわき目も振らず(振れず)一直線に回廊を渡り、出口の階段に張り付いて他の皆を待つなどという恥も晒しましたが、まぁ旅の恥は何とやらということで。
Gardens bay the Bayの屋外空中回廊で記念撮影。
左から作家の野口さん、番頭の尾立さん、作家兼スタッフの秋葉さん。ちなみに自分はこの時点で足がガクガクしてました。
屋内庭園のFLOWER DOME。
空調の効いた空間に、世界各地の植物が植えられています。
クリスマスの宣伝広告用と思わしき撮影現場に遭遇。
猫鍋ならぬ赤子鉢。
FLOWER DOMEの次に入るCLOUD FOREST。
入場するといきなり目の前に滝が現れ、思わず絶句。
違う角度からもう一枚。
この中を一旦一番上までエレベーターで昇り、中と外を歩いて地下の出口へ向かいます。
で、時間も良い具合になったことだしそろそろ会場へ…と言う所で木彫作家の葉栗剛さんから「緊急事態です」との連絡が。何事!? と急いで会場に来ると、なんと葉栗さんの作品をフェア事務局が大変気に入ってくださり、ブース内に納めておくのは勿体無いから通路に展示しませんかというオファーが! 昨日の展示完了の時点では両脇にスペースこそ開いているものの、やはりブースを塞ぐような印象は否めないなぁと思っていたのですが、実にタイムリーです。このオファーに喜び勇んで事務局やら設営スタッフの間を駆けずり回った自分でしたが、間が悪いことに悉く担当者達と行き違ってしまい、最後には「ブースでじっとしてたら?」と周りに忠告される始末。とにかく、葉栗さんの大作<男気>《祭りより…》(ひょっとこ)と<男気>《祭りより…》(般若)の移動も無事開場前に終わり、「さぁ、いらっしゃるがいいお客様共!」などと我ながらワケの分からないテンションでいたのですが、フェアの出だしは非常に穏やかで盛大に肩透かしを食らいました。考えてみれば平日の午後4時なんだから、一般の方なら仕事があるに決まってますよね…。
葉栗さんの作品、移動中。
こちらの業者さんはやたら大人数で作業に取り組まれるのが印象的でした。
無事通路に設営完了。
作品の全周囲を容易に見て回れるようになり、ブースも入り易くなり言う事なし!
ただ、ブースの方は少々スペースが空き過ぎな印象も。奥行きがありすぎるのも問題ですね。
時間は進み午後7時。この時間になると流石に来場者も増え始め、自分が想像していたような賑わいを見せ始めたのですが…今度は忙しくなりすぎました。今回の出展では秋葉さん、野口さん、葉栗さんの作品の他にも具体の堀尾貞治、先日今年三回目の展覧会を行った瀧口修造、建築家の安藤忠雄と国内外で人気の草間彌生のプリントも出品していたのですが、残念な事にこちらには全日を通して殆ど興味を持った方はおらず、会場に作家がいた作品に興味が集中していました。最初の方こそ「自分、今役に立ってる…!」などと感慨に耽っていましたが、次から次へと来る作家への質問にそんな事を考える余裕は瞬く間になくなり、最後は「何か気がついたら初日が終わってた」という感じでした。
お客様相手に業務に勤しむスタッフSの図その1
シンガポールは刺青を入れている方が多く、一般の方から上流階級、美術関係者と様々な人が葉栗さんの作品に注目されていました。
お客様相手に業務に勤しむスタッフSの図その2
ブース内で接客していると外に呼ばれ、外で接客していると今度は中に…
目の回る忙しさというものを実感させられるひと時でした。
そんな中でも忘れられない事が一つ。なんと初日にして葉栗さんの<男気>《祭りより…》(般若)が売約となりました! 何かと理由を付けられてかなり値切られてしまいましたが、苦労して持ち込んだこの作品が最初に売れた事は、それ以上の喜びでした。ちなみに購入されたのはシンガポールの中心地、オーチャードロードに居を構えるギャラリーの方だったのですが、今回の作品は気に入ったので売り物にはせず、お客に見せびらかすとのこと。興味を持ったお客がいたら、葉栗さんのより小さいサイズの作品を紹介する計画だそうで、今後も良いお付き合いが出来そうです。
納品先のギャラリーで記念撮影。
作品の両隣に作家の葉栗剛さん(左の一番前)と彩色を担当された長崎美希さん(右の後)。
周りにいるのは納品先のギャラリーの皆さん。
ちなみにこの写真、ギャラリーの入り口です。
通りすがりにふと視線を向けると全身刺青の大男が自分を見下ろしている…分かっていてもインパクト抜群ですね。このギャラリーはデパートの中にあるのですが、夜の見回りは遠慮したい所です。
盛況な内に終わったプレビューに続く一般公開。プレビューを思い返して結構人が来るんじゃないかと期待していたのですが、あれは夢だったんじゃないかと思えるほどの空きっぷり。耳を澄ませば閑古鳥の大合唱が聞こえてきそう、とは言い過ぎですが、悪い意味で驚かされたのは確かです。そんな中でも葉栗さんの作品を筆頭に秋葉さん、野口さんの作品は通りすがる来場者の足を確実に止めさせ、秋葉さんの《次の嵐を用意している》(9)と《次の嵐を用意している》(11)が間を置かずに売約! 不敗伝説に新たな1ページを綴りました。ついでに安藤忠雄の《光の教会》も、フラリと来られた方がほぼ即決でご購入。
一般公開日の入り口の風景。
ちょっと心配になってくる人の入りでしたが、結果から言うと数は少なくとも購買意欲旺盛な方が多いという、こちらとしてはありがたい状況でした。
次から次へと売れてくれて嬉しいなー等と喜ぶ自分でしたが、一方穏やかでないのがKIAF/14ではボウズだった野口さん。興味を持ってくれる、作風を気に入ってくださる方は数おれど、決定的な一言には至らない。「展示の仕方が…」「ライティングが…」「やはり厄年が近いから…」と、心穏やかにはいられませんでしたが、最終日に新作にして大作、"I Unleash"が売約! 来週火曜日から始まる野口琢郎展への良い弾みとなりました。
次から次へと作品が売れていく中、気になるのはやはり一体残った葉栗さんの<男気>《祭りより…》(ひょっとこ)。とはいえ、サイズ的にも価格的にも一般に売れようなものじゃないよなぁ…これまた木箱に積み込んで持って帰らにゃいかんのかぁ…と作品を見上げていた所、最終日前日にアッサリ売れてしまいました。お買い上げになったのは、娘さんと8ヶ月になるお孫さんと一緒に来場されていたマレーシアの女性だったのですが、話を聞くとフェアの主催者の一人で、作品は何と自宅の玄関に設置するとのこと。「これ置いてまだ余裕のある玄関てどれだけ広いの!?」と驚愕した自分はおかしくないハズ。何はともあれ、葉栗剛先生、初の海外出展で作品完売となりました! バンザーイ! …この後作品の配送方法やら梱包やらで喧々諤々あったワケですが、まぁそこいらは蛇足なのでカットさせていただきます。
初の開催となるアートフェアに、今まで扱ったことのない規模の出展作品、実際はそうでもありませんでしたが、自分がお客様に対応せねばというプレッシャー。始まる前は色々と不安もありましたが、終わってみれば大作は売れ、その後のお問い合わせも上々と、大成功…とまでは言わずとも、上手く行ったと言えるアートフェアでした。とはいえ、これでシンガポールでのときの忘れものに対するイメージもある程度固まってしまったでしょうから、来年は葉栗さんと長崎さんには益々頑張っていただかなければなりません。自分も今回は「英語が話せる」という一点で活躍できましたが、次回は話の内容に磨きを掛けねば!
何やらやたらと長くなってしまいましたが、今回はこの辺りで筆を置かせていただきます。
次回は12/26のスタッフSの海外ネットサーフィン No.22にてまたお目汚しさせていただきますので、お時間のある方はまたお付き合いください。
(しんざわ ゆう)
●今日のお勧め作品は、今回のフェアで大金星を挙げた、葉栗剛先生の作品です。
葉栗剛 Takeshi HAGURI
《龍虎次郎》
2011年
木彫 楠木、アクリル
H52cm
サインあり
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※お問合せには、必ず「件名」「お名前」「連絡先(住所)」を明記してください。
「Singapore Art Fairレポート その2」

読者の皆様こんにちわ。なんだかんだ色々ありましたSingapore Art Fairから帰国し、諸々の作業やら手続きやらも片付いたとは言い難いのですが、そういう事にしておかないと話が進まないので片付いたと言うことにして、いよいよ年末が迫る今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか?
前回はブースの設営が完了したところまでお伝えしましたので、今回の記事ではフェア本番の様子をご紹介します。

プレビュー当日。前日に作業は完了していたので、会場にはプレビューが始まる16:00前に行けばいいかと、午前と午後の早い時間は画廊メンバーの尾立さん、作家兼スタッフの秋葉シスイさん、作家の野口琢郎さんと一緒に昨日訪れたMarina Bay Sandsの近くにある植物園、Gardens by the Bayへ行ってきました。空中回廊のある屋外エリアや、世界各地の植物を見れるFLOWER DOME、中に入ると屋内なのにいきなり滝が視界に飛び込んでくる、インパクト抜群のCLOUD FORESTなど、個人的には十分楽しめました。空中回廊では高所恐怖症故にわき目も振らず(振れず)一直線に回廊を渡り、出口の階段に張り付いて他の皆を待つなどという恥も晒しましたが、まぁ旅の恥は何とやらということで。
Gardens bay the Bayの屋外空中回廊で記念撮影。左から作家の野口さん、番頭の尾立さん、作家兼スタッフの秋葉さん。ちなみに自分はこの時点で足がガクガクしてました。
屋内庭園のFLOWER DOME。空調の効いた空間に、世界各地の植物が植えられています。
クリスマスの宣伝広告用と思わしき撮影現場に遭遇。猫鍋ならぬ赤子鉢。
FLOWER DOMEの次に入るCLOUD FOREST。入場するといきなり目の前に滝が現れ、思わず絶句。
違う角度からもう一枚。この中を一旦一番上までエレベーターで昇り、中と外を歩いて地下の出口へ向かいます。
で、時間も良い具合になったことだしそろそろ会場へ…と言う所で木彫作家の葉栗剛さんから「緊急事態です」との連絡が。何事!? と急いで会場に来ると、なんと葉栗さんの作品をフェア事務局が大変気に入ってくださり、ブース内に納めておくのは勿体無いから通路に展示しませんかというオファーが! 昨日の展示完了の時点では両脇にスペースこそ開いているものの、やはりブースを塞ぐような印象は否めないなぁと思っていたのですが、実にタイムリーです。このオファーに喜び勇んで事務局やら設営スタッフの間を駆けずり回った自分でしたが、間が悪いことに悉く担当者達と行き違ってしまい、最後には「ブースでじっとしてたら?」と周りに忠告される始末。とにかく、葉栗さんの大作<男気>《祭りより…》(ひょっとこ)と<男気>《祭りより…》(般若)の移動も無事開場前に終わり、「さぁ、いらっしゃるがいいお客様共!」などと我ながらワケの分からないテンションでいたのですが、フェアの出だしは非常に穏やかで盛大に肩透かしを食らいました。考えてみれば平日の午後4時なんだから、一般の方なら仕事があるに決まってますよね…。
葉栗さんの作品、移動中。こちらの業者さんはやたら大人数で作業に取り組まれるのが印象的でした。
無事通路に設営完了。作品の全周囲を容易に見て回れるようになり、ブースも入り易くなり言う事なし!
ただ、ブースの方は少々スペースが空き過ぎな印象も。奥行きがありすぎるのも問題ですね。時間は進み午後7時。この時間になると流石に来場者も増え始め、自分が想像していたような賑わいを見せ始めたのですが…今度は忙しくなりすぎました。今回の出展では秋葉さん、野口さん、葉栗さんの作品の他にも具体の堀尾貞治、先日今年三回目の展覧会を行った瀧口修造、建築家の安藤忠雄と国内外で人気の草間彌生のプリントも出品していたのですが、残念な事にこちらには全日を通して殆ど興味を持った方はおらず、会場に作家がいた作品に興味が集中していました。最初の方こそ「自分、今役に立ってる…!」などと感慨に耽っていましたが、次から次へと来る作家への質問にそんな事を考える余裕は瞬く間になくなり、最後は「何か気がついたら初日が終わってた」という感じでした。
お客様相手に業務に勤しむスタッフSの図その1シンガポールは刺青を入れている方が多く、一般の方から上流階級、美術関係者と様々な人が葉栗さんの作品に注目されていました。
お客様相手に業務に勤しむスタッフSの図その2ブース内で接客していると外に呼ばれ、外で接客していると今度は中に…
目の回る忙しさというものを実感させられるひと時でした。
そんな中でも忘れられない事が一つ。なんと初日にして葉栗さんの<男気>《祭りより…》(般若)が売約となりました! 何かと理由を付けられてかなり値切られてしまいましたが、苦労して持ち込んだこの作品が最初に売れた事は、それ以上の喜びでした。ちなみに購入されたのはシンガポールの中心地、オーチャードロードに居を構えるギャラリーの方だったのですが、今回の作品は気に入ったので売り物にはせず、お客に見せびらかすとのこと。興味を持ったお客がいたら、葉栗さんのより小さいサイズの作品を紹介する計画だそうで、今後も良いお付き合いが出来そうです。
納品先のギャラリーで記念撮影。作品の両隣に作家の葉栗剛さん(左の一番前)と彩色を担当された長崎美希さん(右の後)。
周りにいるのは納品先のギャラリーの皆さん。
ちなみにこの写真、ギャラリーの入り口です。
通りすがりにふと視線を向けると全身刺青の大男が自分を見下ろしている…分かっていてもインパクト抜群ですね。このギャラリーはデパートの中にあるのですが、夜の見回りは遠慮したい所です。
盛況な内に終わったプレビューに続く一般公開。プレビューを思い返して結構人が来るんじゃないかと期待していたのですが、あれは夢だったんじゃないかと思えるほどの空きっぷり。耳を澄ませば閑古鳥の大合唱が聞こえてきそう、とは言い過ぎですが、悪い意味で驚かされたのは確かです。そんな中でも葉栗さんの作品を筆頭に秋葉さん、野口さんの作品は通りすがる来場者の足を確実に止めさせ、秋葉さんの《次の嵐を用意している》(9)と《次の嵐を用意している》(11)が間を置かずに売約! 不敗伝説に新たな1ページを綴りました。ついでに安藤忠雄の《光の教会》も、フラリと来られた方がほぼ即決でご購入。
一般公開日の入り口の風景。ちょっと心配になってくる人の入りでしたが、結果から言うと数は少なくとも購買意欲旺盛な方が多いという、こちらとしてはありがたい状況でした。
次から次へと売れてくれて嬉しいなー等と喜ぶ自分でしたが、一方穏やかでないのがKIAF/14ではボウズだった野口さん。興味を持ってくれる、作風を気に入ってくださる方は数おれど、決定的な一言には至らない。「展示の仕方が…」「ライティングが…」「やはり厄年が近いから…」と、心穏やかにはいられませんでしたが、最終日に新作にして大作、"I Unleash"が売約! 来週火曜日から始まる野口琢郎展への良い弾みとなりました。
次から次へと作品が売れていく中、気になるのはやはり一体残った葉栗さんの<男気>《祭りより…》(ひょっとこ)。とはいえ、サイズ的にも価格的にも一般に売れようなものじゃないよなぁ…これまた木箱に積み込んで持って帰らにゃいかんのかぁ…と作品を見上げていた所、最終日前日にアッサリ売れてしまいました。お買い上げになったのは、娘さんと8ヶ月になるお孫さんと一緒に来場されていたマレーシアの女性だったのですが、話を聞くとフェアの主催者の一人で、作品は何と自宅の玄関に設置するとのこと。「これ置いてまだ余裕のある玄関てどれだけ広いの!?」と驚愕した自分はおかしくないハズ。何はともあれ、葉栗剛先生、初の海外出展で作品完売となりました! バンザーイ! …この後作品の配送方法やら梱包やらで喧々諤々あったワケですが、まぁそこいらは蛇足なのでカットさせていただきます。
初の開催となるアートフェアに、今まで扱ったことのない規模の出展作品、実際はそうでもありませんでしたが、自分がお客様に対応せねばというプレッシャー。始まる前は色々と不安もありましたが、終わってみれば大作は売れ、その後のお問い合わせも上々と、大成功…とまでは言わずとも、上手く行ったと言えるアートフェアでした。とはいえ、これでシンガポールでのときの忘れものに対するイメージもある程度固まってしまったでしょうから、来年は葉栗さんと長崎さんには益々頑張っていただかなければなりません。自分も今回は「英語が話せる」という一点で活躍できましたが、次回は話の内容に磨きを掛けねば!
何やらやたらと長くなってしまいましたが、今回はこの辺りで筆を置かせていただきます。
次回は12/26のスタッフSの海外ネットサーフィン No.22にてまたお目汚しさせていただきますので、お時間のある方はまたお付き合いください。
(しんざわ ゆう)
●今日のお勧め作品は、今回のフェアで大金星を挙げた、葉栗剛先生の作品です。
葉栗剛 Takeshi HAGURI《龍虎次郎》
2011年
木彫 楠木、アクリル
H52cm
サインあり
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