本日2月23日は伝説の大画商ハインツ・ベルグラン(Heinz Berggruen ハインツ・ベルクグリューン 1914~2007)の命日です。
ベルリンでの葬儀にはいまポピュリズムの台頭に悩むメルケル独首相など各界の著名人が参列しその死を悼みました。ユダヤ系ドイツ人として生まれたベルグランはナチスを逃れアメリカに渡り生き延びただけでなく、コレクター、画商として20世紀の美術史に大きな足跡を残しました。
移民の国、多様性を重んじるアメリカだからこそ、彼の成功がありました。戦後パリに開いたギャラリーは一時代を象徴する大画廊でした。彼が母国に寄贈したシャルロッテンブル宮殿のピカソクレーなどの名作は、ドイツの誇りであるだけでなく、彼を受け容れたアメリカの偉大さの反映でもあります。
私たちの親しいジョナス・メカスさんもリトアニアからアメリカへ亡命し、今日があります。

トランプ大統領の偏狭なアメリカファーストの言動を悲しく思うこのごろですが、貧乏画商の老夫婦は2月16日に名古屋に向かい、三年ぶりに「ART NAGOYA 2017」に出展参加してきました。
17日[金]~19日[日]までがフェア、三日間の入場者は1,334名(事務局発表)。
名古屋城の目の前というロケーションは抜群なのですが、交通の便があまりよくないらしく、静かなフェアでした。
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部屋からの眺め

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何やら不思議な建物が(詳細は不明)。

展示作業は地元の作家、葉栗剛さん、長崎美希さん、真弓美砂さんにお手伝いしていただきました。
フェア事務局の心配りも丁寧で、今回は同じホテルに宿泊したのでときどき部屋に戻り昼寝も。おかげでとても快適な5日間を過ごすことができました。
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ホテルの好意でずいぶんと豪華なレセプションが初日の夕刻ありました。

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レセプションで挨拶する名古屋ボストン美術館館長の馬場駿吉先生。

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アートフェアは作品の売り買いの場ですが、また新たな出会いの場でもあります。
いまや海外のアートフェアの常連となった葉栗剛先生ともこのレセプションでめぐり会ったのでした。
今年もいろいろな出会いがありました。

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ときの忘れもののブース。
入り口にはマン・レイの写真作品

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瀧口修造、葉栗剛などのカタログ類

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左2点)秋葉シスイ
右)瑛九

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葉栗剛の最新作2点

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上)秋葉シスイ
下)菅井汲

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上)瑛九下)オノサト・トシノブ

若い画商さん、そして若い作家たちの出品が多かったせいで、老兵には良い刺激を与えていただきました。
それにしても時代の移り変わりは凄い。
大阪から来た若くて美しい作家に「梅田画廊の~~」と話し出したら、きょとんとされてしまいました。梅田画廊はもう死語か(笑)。
東大大学院に在籍する切れ者(らしい)研究者に「嗚呼玉杯に、の向丘寮に~~」と話し出したら、きょとんとされてしまいました。一高寮歌はもう死語か(笑)。
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瑛九の油彩(左)とフォトデッサン(右)

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中央)松本竣介「少女」

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左)ウィン・バロック、右)松本竣介

アートフェアは有料(入場料)です。お金をいただく以上、私たちが最も良いと思う作品を展示するのが画廊のつとめだと考えています。
今までお付き合いの無かった他のブースの画廊さんが若い人をぞろぞろ連れてきてくれて(ご自分の出品でもないのに)「松本竣介は、・・・・。瑛九は、・・・」と熱心に講義(宣伝)してくださいました。感謝です!!
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左)オノサト・トシノブ
右)五味彬

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左から馬場駿吉先生、森本悟郎さん、社長

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亭主の後ろは瑛九の作品

売上げは三度目の正直(黒字達成)とはならず、あえなく撃沈(涙)。
例によって、浮きまくっていたときの忘れものブースでしたが、思いもかけずいろいろな人たちに声をかけていただき、売上げのかわりに名刺をたくさんいただいての帰京でした(留守番のスタッフたちには何と言い訳をしようか)。

ご来場の皆さん、マン・レイ、元永定正靉嘔はじめ大枚はたいてお買い上げいただいた皆様には心より御礼申し上げます。
ありがとうございました。
ご上京の折にはぜひ青山にもお立ち寄りください。

●本日のお勧め作品は普後均です。
肉体と鉄棒 12-1《〈肉体と鉄棒〉より 12》
2013年撮影(2016年プリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:44.8×35.8cm
シートサイズ:50.8×40.6cm
Ed.15
サインあり

肉体と鉄棒 14-1《〈肉体と鉄棒〉より 14》
2012年撮影(2016年プリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:44.8×35.8cm
シートサイズ:50.8×40.6cm
Ed.15
サインあり

肉体と鉄棒 15-1《〈肉体と鉄棒〉より 15》
2003年撮影(2016年プリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:35.8×44.8cm
シートサイズ:40.6×50.8cm
Ed.15
サインあり

肉体と鉄棒 16-1《〈肉体と鉄棒〉より 16》
2012年撮影(2016年プリント)
ゼラチンシルバープリント
イメージサイズ:44.8×35.8cm
シートサイズ:50.8×40.6cm
Ed.15
サインあり

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◆ニューヨークで開催されるArt on Paperに出展します。
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会期:2017年3月2日[木]~3月5日[日]
VIPプレビュー:2017年3月2日(木)
一般公開:2017年3月3日(金)~5日(日)11:00~19:00
(5日は12:00から18:00まで)
会場:Pier 36 New York
299 South St, New York, NY 10002
ときの忘れものブースナンバー:G15
公式サイト:http://thepaperfair.com/ny
出品作家:磯崎新安藤忠雄内間安瑆野口琢郎光嶋裕介細江英公植田正治堀尾貞治ジョナス・メカス草間彌生マイケル・グレイヴス