スタッフSの「中谷礼仁×普後均」ギャラリートーク・レポート
読者の皆様こんにちわ、皆様がこの記事をご覧になられている頃には地球の反対側で接客に勤しんでいるでありましょう、スタッフSこと新澤です。
本日の記事では、先週まで開催しておりました「普後均写真展―肉体と鉄棒―」のイベントとして2月24日(金)に行われた、建築史家・中谷礼仁先生と写真家・普後均さんのギャラリートーク・レポートをお送りします。

トーク前に内容を打ち合わせる中谷礼仁先生(左)と普後均さん(右)
恒例行事・亭主の前語り。
今回の出だしはいかにしてときの忘れものが普後さんと知り合ったのか。
作家にして写真家、当ブログの連載記事《迷走写真館》の筆者でもある大竹昭子さんに強力な推薦をいただいたのが始まりでした。大竹さんは、2013年04月01日の記事で普後さんの作品についての記事を書かれています。
今回の展覧会を開催するにあたり、普後さんには去年の8月から毎月14日に当ブログでエッセイを連載させていただいており、先月の展覧会までに全7回の記事が公開されています。本日の記事で興味を持たれた方は、是非普後均のエッセイ「写真という海」もご覧ください。
中谷先生と普後さんのお二人は、2016年にTOTO通信の連載記事「現代住宅併走 34」の取材のため、普後さんが中谷先生がご自分で設計された三ノ輪の自邸を訪れたの時に知り合ったそうで、その時の邸宅デザインや家の中に流れる空気から、取材の一回でお見限りとなることを普後さんが惜しみ、今回のギャラリートークが実現しました。
浅草・三ノ輪の自邸について、TOTO通信の記事を見せながら説明する中谷先生。
家のテーマは“葬送”で、臨終部屋と普後さんが呼んだ部屋や、そこから魂が天上に向かいやすいよう、天井の一角は鉄筋コンクリートスラブがガラスブロックになっていたりと、独自の様式がある。
中谷邸の間取りはこちらのTOTO通信のホームページで見ることができます。
この後は普後さんが今回出品している作品は、撮影した物と場所の関係を壊して新しい意味を与えてきた今までの作品とは逆に、被写体同士の関係そのものを撮りたいという欲求から生まれたものであることや、「言葉が先に来た」という今回のシリーズの構想が、実は明確な形になる以前に普後さんの中ではずっとあったのではないかという中谷先生の指摘から、中谷先生ご自身も以前から核家族化による住宅の貧困化について考えていたところに、父親から蔵付の家を作るよう依頼されたことが刺激となり自邸のデザインが出たことなどが語られました。
お二人の話題は様々な分野に及びましたが、中でも自分の興味を惹いたのは中谷先生のプレートテクトニクスに沿った旅で、先生が気付かれた建築と社会の発展性についてでした。具体例として挙げられたのは石材と用いたギリシャ建築と、レンガ(土)を用いたローマ建築で、石材を用いたギリシャ建築は壮麗だが大きく重く、しかしある一定以上のサイズの建物は作れず、逆にレンガ作りのローマ建築は悪い言い方をすれば貧乏だが、土さえあればどこでも扱いやすいサイズの建材が用意できる、つまり労働力があればどこでも都市を築ける。結果としてローマは各地の文化でレンガを作り、そのレンガでローマの都市を築き、結果ローマの版図はギリシャを上回り当時の世界を征服するに至ったという話で、中谷先生曰く「石は金持ちの限界だが、レンガは貧乏人の可能性」という言葉には大いに感じ入りました。この後は木造建築の場合、その発展には必要とされる工法から親密な社会形成が不可欠であることが語られ、各地で形成される社会による建築の違い等、今まで思ってもみなかった考え方や視点に驚かされっぱなしの1時間でした。
トーク後恒例の集合写真。
この後も飲み物片手の懇親会で多いに盛り上がりました。
参加された皆さん、ありがとうございました。
(しんざわ ゆう)
*画廊亭主敬白
サンタフェの悲劇から一年半、リベンジを期して臨んだニューヨークのアートフェアArt on Paperが始まりました。
【art on paper】本日、VIPによるプレオープニングだん。大盛況でした。4時間ずっと喋りっ放しで、作品を説明。建築家やアーティスト、編集者など、総じて好意的な反応ばかり。この感触を大切に、最終日まで駆け抜けたい!
そういえば、今日、会場でニューヨーク在住の日本人の方に「テレビ出てますよね?」と聞かれ、なんとNHKワールド《J-Architects》のファンの方でした!びっくり。(光嶋裕介さんのtwitterより)
今まで主にアジア圏のアートフェアに色々と参加させて頂いた経験では、VIPプレビューはそれほど混雑しないイメージだったのですが、このart on peparはまだ新しいフェアなのでとにかくスタートを盛り上げる為に集客優先で、VIPチケットをかなり多く撒いたそうで、6時のオープンと同時にもの凄い勢いで来場され、あっという間に大混雑状態でした。
大規模なフェアに比べると会場がそれほど広くないのもありますがとても活気がありました。
自分の作品は3点展示していて、スペースの都合上縦積みの展示で少し位置が高めなのですが、そこに光によっては暗めに見えてしまう青い海空の作品を展示したので、ちょうどライトに反射して美しく輝き、これは遠くからでも目に着きやすいかなと思っていたら見事的中、さらに入り口からの人の流れが自分の作品が目に入る方向だったので、「歩きながら美しいブルーが目に入ったよ」というお客様が多くおられ、嬉しい言葉もたくさん頂けました。
明日から三日間は一般公開で、来場者は例年この初日プレビューが最多だそうですが、土日はまた多くなるそうなので、明日もがんばります。(野口琢郎さんのfacebookより)
プレビューの結果がスタッフから連絡があったのは時差の関係で昨日のお昼ごろでした。
どうやら滑り出し好調のようです。ほっ!
現地のスタッフも大変ですが、留守番のこちらも胃がきりきりします。
◆ときの忘れものはArt on Paperに出展しています。

会期:2017年3月2日[木]~3月5日[日]
VIPプレビュー:2017年3月2日(木)
一般公開:2017年3月3日(金)~5日(日)11:00~19:00
(5日は12:00から18:00まで)
会場:Pier 36 New York
299 South St, New York, NY 10002
ときの忘れものブースナンバー:G15
公式サイト:http://thepaperfair.com/ny
出品作家:瑛九、磯崎新、安藤忠雄、内間安瑆、野口琢郎、光嶋裕介、細江英公、植田正治、堀尾貞治、ジョナス・メカス、草間彌生、マイケル・グレイヴス、他
読者の皆様こんにちわ、皆様がこの記事をご覧になられている頃には地球の反対側で接客に勤しんでいるでありましょう、スタッフSこと新澤です。
本日の記事では、先週まで開催しておりました「普後均写真展―肉体と鉄棒―」のイベントとして2月24日(金)に行われた、建築史家・中谷礼仁先生と写真家・普後均さんのギャラリートーク・レポートをお送りします。

トーク前に内容を打ち合わせる中谷礼仁先生(左)と普後均さん(右)
恒例行事・亭主の前語り。今回の出だしはいかにしてときの忘れものが普後さんと知り合ったのか。
作家にして写真家、当ブログの連載記事《迷走写真館》の筆者でもある大竹昭子さんに強力な推薦をいただいたのが始まりでした。大竹さんは、2013年04月01日の記事で普後さんの作品についての記事を書かれています。
今回の展覧会を開催するにあたり、普後さんには去年の8月から毎月14日に当ブログでエッセイを連載させていただいており、先月の展覧会までに全7回の記事が公開されています。本日の記事で興味を持たれた方は、是非普後均のエッセイ「写真という海」もご覧ください。
中谷先生と普後さんのお二人は、2016年にTOTO通信の連載記事「現代住宅併走 34」の取材のため、普後さんが中谷先生がご自分で設計された三ノ輪の自邸を訪れたの時に知り合ったそうで、その時の邸宅デザインや家の中に流れる空気から、取材の一回でお見限りとなることを普後さんが惜しみ、今回のギャラリートークが実現しました。
浅草・三ノ輪の自邸について、TOTO通信の記事を見せながら説明する中谷先生。家のテーマは“葬送”で、臨終部屋と普後さんが呼んだ部屋や、そこから魂が天上に向かいやすいよう、天井の一角は鉄筋コンクリートスラブがガラスブロックになっていたりと、独自の様式がある。
中谷邸の間取りはこちらのTOTO通信のホームページで見ることができます。
この後は普後さんが今回出品している作品は、撮影した物と場所の関係を壊して新しい意味を与えてきた今までの作品とは逆に、被写体同士の関係そのものを撮りたいという欲求から生まれたものであることや、「言葉が先に来た」という今回のシリーズの構想が、実は明確な形になる以前に普後さんの中ではずっとあったのではないかという中谷先生の指摘から、中谷先生ご自身も以前から核家族化による住宅の貧困化について考えていたところに、父親から蔵付の家を作るよう依頼されたことが刺激となり自邸のデザインが出たことなどが語られました。
お二人の話題は様々な分野に及びましたが、中でも自分の興味を惹いたのは中谷先生のプレートテクトニクスに沿った旅で、先生が気付かれた建築と社会の発展性についてでした。具体例として挙げられたのは石材と用いたギリシャ建築と、レンガ(土)を用いたローマ建築で、石材を用いたギリシャ建築は壮麗だが大きく重く、しかしある一定以上のサイズの建物は作れず、逆にレンガ作りのローマ建築は悪い言い方をすれば貧乏だが、土さえあればどこでも扱いやすいサイズの建材が用意できる、つまり労働力があればどこでも都市を築ける。結果としてローマは各地の文化でレンガを作り、そのレンガでローマの都市を築き、結果ローマの版図はギリシャを上回り当時の世界を征服するに至ったという話で、中谷先生曰く「石は金持ちの限界だが、レンガは貧乏人の可能性」という言葉には大いに感じ入りました。この後は木造建築の場合、その発展には必要とされる工法から親密な社会形成が不可欠であることが語られ、各地で形成される社会による建築の違い等、今まで思ってもみなかった考え方や視点に驚かされっぱなしの1時間でした。
トーク後恒例の集合写真。この後も飲み物片手の懇親会で多いに盛り上がりました。
参加された皆さん、ありがとうございました。
(しんざわ ゆう)
*画廊亭主敬白
サンタフェの悲劇から一年半、リベンジを期して臨んだニューヨークのアートフェアArt on Paperが始まりました。
【art on paper】本日、VIPによるプレオープニングだん。大盛況でした。4時間ずっと喋りっ放しで、作品を説明。建築家やアーティスト、編集者など、総じて好意的な反応ばかり。この感触を大切に、最終日まで駆け抜けたい!
そういえば、今日、会場でニューヨーク在住の日本人の方に「テレビ出てますよね?」と聞かれ、なんとNHKワールド《J-Architects》のファンの方でした!びっくり。(光嶋裕介さんのtwitterより)
今まで主にアジア圏のアートフェアに色々と参加させて頂いた経験では、VIPプレビューはそれほど混雑しないイメージだったのですが、このart on peparはまだ新しいフェアなのでとにかくスタートを盛り上げる為に集客優先で、VIPチケットをかなり多く撒いたそうで、6時のオープンと同時にもの凄い勢いで来場され、あっという間に大混雑状態でした。
大規模なフェアに比べると会場がそれほど広くないのもありますがとても活気がありました。
自分の作品は3点展示していて、スペースの都合上縦積みの展示で少し位置が高めなのですが、そこに光によっては暗めに見えてしまう青い海空の作品を展示したので、ちょうどライトに反射して美しく輝き、これは遠くからでも目に着きやすいかなと思っていたら見事的中、さらに入り口からの人の流れが自分の作品が目に入る方向だったので、「歩きながら美しいブルーが目に入ったよ」というお客様が多くおられ、嬉しい言葉もたくさん頂けました。
明日から三日間は一般公開で、来場者は例年この初日プレビューが最多だそうですが、土日はまた多くなるそうなので、明日もがんばります。(野口琢郎さんのfacebookより)
プレビューの結果がスタッフから連絡があったのは時差の関係で昨日のお昼ごろでした。
どうやら滑り出し好調のようです。ほっ!
現地のスタッフも大変ですが、留守番のこちらも胃がきりきりします。
◆ときの忘れものはArt on Paperに出展しています。

会期:2017年3月2日[木]~3月5日[日]
VIPプレビュー:2017年3月2日(木)
一般公開:2017年3月3日(金)~5日(日)11:00~19:00
(5日は12:00から18:00まで)
会場:Pier 36 New York
299 South St, New York, NY 10002
ときの忘れものブースナンバー:G15
公式サイト:http://thepaperfair.com/ny
出品作家:瑛九、磯崎新、安藤忠雄、内間安瑆、野口琢郎、光嶋裕介、細江英公、植田正治、堀尾貞治、ジョナス・メカス、草間彌生、マイケル・グレイヴス、他
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