テレビがないので、まったく疎いのですが、BSフジ『ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~』という人気番組があるようです。
12月5日(火)21:55~22:00 BSフジで放送中の『ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~』にときの忘れもののエース光嶋裕介さんが出演します。わずか5分ですが丁寧につくられているそうで、ぜひご覧になってください。
私たちみたいなテレビ無い族は、数週間するとユーチューブにそれが公開されるとのことです。楽しみです。
さて本日11月30日はオノサト・トシノブ先生の命日です。
亡くなられたのは31年前の1986年11月30日でした。お元気ならばいま105歳、亡くなって30年が一つの区切りと良く言われます。
作家は亡くなると市場での価格は必ず下がります。よく「死ぬと高くなる」と思い込んでいる人が多いのですが、間違いです。
どんな作家でも生きているときのオーラが最高で、亡くなればオーラが消え、やがて忘れられていきます。
どんな作家でも逃れられない記憶と忘却というものの宿命です。
例えば、20世紀の日本の代表的画家を10人挙げろと言われれば、このブログをお読みになる方ならほとんどが答えられるでしょう。では19世紀の10人は? 18世紀の10人は? 17世紀の10人は? となったら専門の学者でもない限り無理です。
亭主だって答えに詰まる。
ときの忘れものの二枚看板、瑛九とオノサトですが(二人は生涯の盟友でした)、ほぼ同年で瑛九に比べ、オノサトは市場の評価も、美術界での評価もいまいちですが、どうやらだんだん近づいてきたようです。

《二つの丸 黒と赤》 1958年 油彩、キャンバス 16.2x23.2cm サイン・年記あり

1963年 油彩・キャンバス 45.4×53.0cm(10号) サイン・年記あり
上は典型的な「べた丸」の傑作、1958年ですから、べた丸の絶頂期ですね。
下は「べた丸」の時代から「丸の分割」に進んだ1963年の制作。前年の1962年に久保貞次郎先生の紹介で志水楠男さんを知り、南画廊で一回目の個展を開き注目されます。この年1963年の第7回日本国際美術展で「相似」(福岡シティ銀行所蔵)が最優秀賞(グランプリ)を受賞し、一躍現代美術の最前線に躍り出ました。
それまで日本国際美術展でグランプリを獲得したのは、安井曽太郎、脇田和、鳥海青児、岡鹿之助、福沢一郎、海老原喜之助、斎藤義重の7名だけで、前回第6回は受賞者無しでした。いかにオノサト先生の登場が衝撃的だったかがわかります。
べた丸の時代を過ぎ、大きな円(丸)を精緻な正方形で分割し、埋め尽くす、「円の分割」の時代の最高潮の時期の作品です。
この頃から志水さんの尽力で海外に作品が多く売られていきます。この時期の秀作が国内に少ないのはそのためと思われます。
10号サイズの堂々たるこの時期の作品が市場に出るのは珍しく、私も驚きました。
2015年のシンワオークションに、同時期の作品(1961年、30号)が出たことがあるのですが、コンディションが最悪(剥落、ひび割れ)で、専門家から修復不能と言われたほどでしたが、なんと1千万円を超える落札でした。
シンワアートミュージアム 2015年11月20日開催
ロットNO.242 オノサト・トシノブ 72.8x90.0cm キャンバス、油彩 額装
1961年 裏にサイン、年代 「オノサト・トシノブ展」1962年(南画廊)出品作品
その作品は前述の1962年南画廊の個展に出たもので、出品作品の多くが美術館や海外に収蔵されてしまったため、市場に出てくるのは珍しく、希少と思われたのでしょう。「あんなひどい状態の作品を誰が一千万も出して買ったのか」と業界が騒然となりました。
これがひとつのきっかけでしょう。それまで「べた丸」ばかりが高額で、「丸の分割」時代の作品にはそう高い評価は出ませんでしたが、最近では「丸の分割」の名品には海外からも、国内からも引き合いがあるようです。
残された作品点数は圧倒的にオノサト先生の方が多い。
瑛九の油彩は600点前後、おそらく今後の新発見があっても700点は超えないだろうと、調査にあたった宮崎の学芸員さんは証言しています。
オノサトの油彩は、故・藤岡時彦さん(オノサトのコレクター)の推定では3,000点は優に超すだろうとのことです。
作品数が多いほうが市場では有利です。
さてこれから、オノサト先生の評価はどのように推移して行くでしょうか。鍵は若い世代のコレクターの出現、そして海外での評価です。
果報は寝て待て、といいますが、寝てられるほど優雅でもないし、寿命もある、何とか早いうちに嫁入り先を探したいものです。ぜひご注文ください。
◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催しています。
今回は予想を超える多くの方から予約申し込みをいただきました。ほとんどの作品が抽選となり、結果のご報告が遅れてしまい申し訳ありません。
メールのある方にはご連絡は完了しています。
ファックス、郵便の方には昨日から順次お送りしていますので、しばらくお待ちください。

会期:2017年11月28日(火)~12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
「宮脇愛子展 last works(2013~14)」
会期=2017年11月20日[月]~12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。
●書籍のご案内
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。
『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。
六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]~12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

12月5日(火)21:55~22:00 BSフジで放送中の『ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~』にときの忘れもののエース光嶋裕介さんが出演します。わずか5分ですが丁寧につくられているそうで、ぜひご覧になってください。
私たちみたいなテレビ無い族は、数週間するとユーチューブにそれが公開されるとのことです。楽しみです。
さて本日11月30日はオノサト・トシノブ先生の命日です。
亡くなられたのは31年前の1986年11月30日でした。お元気ならばいま105歳、亡くなって30年が一つの区切りと良く言われます。
作家は亡くなると市場での価格は必ず下がります。よく「死ぬと高くなる」と思い込んでいる人が多いのですが、間違いです。
どんな作家でも生きているときのオーラが最高で、亡くなればオーラが消え、やがて忘れられていきます。
どんな作家でも逃れられない記憶と忘却というものの宿命です。
例えば、20世紀の日本の代表的画家を10人挙げろと言われれば、このブログをお読みになる方ならほとんどが答えられるでしょう。では19世紀の10人は? 18世紀の10人は? 17世紀の10人は? となったら専門の学者でもない限り無理です。
亭主だって答えに詰まる。
ときの忘れものの二枚看板、瑛九とオノサトですが(二人は生涯の盟友でした)、ほぼ同年で瑛九に比べ、オノサトは市場の評価も、美術界での評価もいまいちですが、どうやらだんだん近づいてきたようです。

《二つの丸 黒と赤》 1958年 油彩、キャンバス 16.2x23.2cm サイン・年記あり

1963年 油彩・キャンバス 45.4×53.0cm(10号) サイン・年記あり
上は典型的な「べた丸」の傑作、1958年ですから、べた丸の絶頂期ですね。
下は「べた丸」の時代から「丸の分割」に進んだ1963年の制作。前年の1962年に久保貞次郎先生の紹介で志水楠男さんを知り、南画廊で一回目の個展を開き注目されます。この年1963年の第7回日本国際美術展で「相似」(福岡シティ銀行所蔵)が最優秀賞(グランプリ)を受賞し、一躍現代美術の最前線に躍り出ました。
それまで日本国際美術展でグランプリを獲得したのは、安井曽太郎、脇田和、鳥海青児、岡鹿之助、福沢一郎、海老原喜之助、斎藤義重の7名だけで、前回第6回は受賞者無しでした。いかにオノサト先生の登場が衝撃的だったかがわかります。
べた丸の時代を過ぎ、大きな円(丸)を精緻な正方形で分割し、埋め尽くす、「円の分割」の時代の最高潮の時期の作品です。
この頃から志水さんの尽力で海外に作品が多く売られていきます。この時期の秀作が国内に少ないのはそのためと思われます。
10号サイズの堂々たるこの時期の作品が市場に出るのは珍しく、私も驚きました。
2015年のシンワオークションに、同時期の作品(1961年、30号)が出たことがあるのですが、コンディションが最悪(剥落、ひび割れ)で、専門家から修復不能と言われたほどでしたが、なんと1千万円を超える落札でした。
シンワアートミュージアム 2015年11月20日開催
ロットNO.242 オノサト・トシノブ 72.8x90.0cm キャンバス、油彩 額装
1961年 裏にサイン、年代 「オノサト・トシノブ展」1962年(南画廊)出品作品
その作品は前述の1962年南画廊の個展に出たもので、出品作品の多くが美術館や海外に収蔵されてしまったため、市場に出てくるのは珍しく、希少と思われたのでしょう。「あんなひどい状態の作品を誰が一千万も出して買ったのか」と業界が騒然となりました。
これがひとつのきっかけでしょう。それまで「べた丸」ばかりが高額で、「丸の分割」時代の作品にはそう高い評価は出ませんでしたが、最近では「丸の分割」の名品には海外からも、国内からも引き合いがあるようです。
残された作品点数は圧倒的にオノサト先生の方が多い。
瑛九の油彩は600点前後、おそらく今後の新発見があっても700点は超えないだろうと、調査にあたった宮崎の学芸員さんは証言しています。
オノサトの油彩は、故・藤岡時彦さん(オノサトのコレクター)の推定では3,000点は優に超すだろうとのことです。
作品数が多いほうが市場では有利です。
さてこれから、オノサト先生の評価はどのように推移して行くでしょうか。鍵は若い世代のコレクターの出現、そして海外での評価です。
果報は寝て待て、といいますが、寝てられるほど優雅でもないし、寿命もある、何とか早いうちに嫁入り先を探したいものです。ぜひご注文ください。
◆ときの忘れものは「メキシコ地震被災地支援・チャリティー頒布会」を開催しています。
今回は予想を超える多くの方から予約申し込みをいただきました。ほとんどの作品が抽選となり、結果のご報告が遅れてしまい申し訳ありません。
メールのある方にはご連絡は完了しています。
ファックス、郵便の方には昨日から順次お送りしていますので、しばらくお待ちください。

会期:2017年11月28日(火)~12月2日(土)
出品100点のリストは11月11日ブログに掲載しました。
全作品、一律8,000円で頒布し、売上金全額を被災地メキシコに送金します。
◆銀座のギャラリーせいほうで宮脇愛子展が開催されています。
「宮脇愛子展 last works(2013~14)」会期=2017年11月20日[月]~12月2日[土] ※日・祝日休廊
会場=ギャラリーせいほう
〒104-0061 東京都中央区銀座8丁目10-7 東成ビル1F
電話:03-3573-2468
最後の新作である油彩を中心に立体(ガラス、真鍮)、ドローイング、版画など。
●書籍のご案内
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別)*送料別途250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。
『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
(NA建築家シリーズ 特別編 日経アーキテクチュア)
価格:2,700円+税 *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
安藤先生のサイン本をときの忘れもので扱っています。
六本木の国立新美術館では「安藤忠雄展―挑戦―」が開催されています。
会期:2017年9月27日[水]~12月18日[月]
番頭おだちのオープニング・レポートはコチラを、光嶋裕介さんのエッセイ「安藤忠雄展を見て」と合わせてお読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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