日常の風景が一変してしまった一年でした。
売上はもちろん激減ですが、出張旅費や輸送費も激減しました(社長苦笑)。
ブログを読み返しながら2020年を振り返ります。
●2020年1月10日―2月1日「オノサトトシノブ展」
恒例のスタッフ全員の新年のあいさつを読み返してもコロナのコの字もありません。3月のアートバーゼル香港に向けて意気軒高でした。

なんて穏やかな表情でしょう。春のグループ展(来年に延期)の打ち合わせに盛岡から宇田義久さん(右端)が来廊、左はMORIOKA第一画廊の故・上田浩司さんのお嬢さん、り土さん、ほほさんの姉妹。マスク無し、この後の暗転をだれが想像したでしょうか。
●2020年2月5日―2月9日「LA ART SHOW 2020」
急遽きまったロスのアートフェア出展、結果的にはこれが今年最初で最後の海外出張となりました。


●2020年2月14日―2月16日「ART NAGOYA 2020」
名古屋のアートフェア出展の準備をしている最中にアートバーゼル香港の中止が伝えられショックでした。最後のフェア出展でしたが、成績は芳しくなく暗い気持ちで帰京したのを覚えています(写真も暗いねえ)。

●2020年2月19日―3月14日「銀塩写真の魅力 Ⅵ展」
日に日にウイルス感染の悲報が。万一のことを考え出したのは本展開催中の2月下旬でした(遅刻OK、安全第一)。バーゼルと並び期待していたアートフェア東京の中止が告げられたのは開催僅か二週間前でした(社長涙)。いったいこの先どうなることやら・・・

●2020年3月24日―4月4日「春の画廊コレクション展」
各国で非常事態宣言が出され、通常の営業が不可能になったと覚悟する中、バーゼルが期間限定でオンライン・ビューイング・ルームを設置。対面営業からネットへの劇的な変化を象徴するニュースでした。
画廊を閉めたのは3月28日でした(臨時休廊)。スタッフたちは在宅勤務となり、画廊への出勤は必要最小限とし、全員が自宅でパソコンを使っての業務となりました。
ホームページやブログへのアクセスが激増し、4月6日にブログへの訪問者の累計が130万人を超えました(現在は142万人余)。100万人を超えたのが2017年10月下旬ですから三年半で30万人が訪問したことになります。

事態はますます悪化、予定していた展覧会、トーク、ギャラリーコンサートなど全て中止か延期としました。毎年出席していた高村光太郎を偲ぶ連翹忌も中止となりました。亭主は必死で在庫をかき分け「一日限定! 破格の掘り出し物」をブログで紹介し続けました。ネットで(実物を見ずに)ご購入くださった皆様には感謝の言葉しかありません。
スタッフたちを心配してくださる全国のお客様からマスク、除菌ブロッカー、野菜、果物、お菓子などたくさん差し入れを送っていただきました。地獄に仏、ほんとうにありがとうございました。
楽しみにしていた世田谷美術館の「驚異の三人 !! 高松次郎・若林奮・李禹煥 ―版という場所で」展が中止となり、全国の美術館が次々と休館に追い込まれます。
●2020年5月8日―5月30日「没後60年 第29回瑛九展」
臨時休廊(在宅勤務)が40日を越し、思案に思案を重ね、WEB展と予約制での瑛九展開催を決めました。当初はスタッフが自社で(節約して)制作しようとしたのですが、アートを人々に伝えようとする以上、最良の画像、最善の技術と機器、編集を目指すべきだと考えなおし、ドローンなど機材を購入、撮影と編集は旧知の名編集者「WEBマガジン コラージ」の塩野哲也さんに全面的に委嘱しました。
WEB展でしかできない試みをと普通ではあり得ない太陽光の下での撮影を敢行しました。「実物に対面できないのは残念であるけれども、この機会を逆手にとって、瑛九の点描作品をウェブ上で、つまりパソコンの画面を通して見るという体験そのものに意識を向けてみてはどうだろう」と考えた東京国立近代美術館の大谷省吾先生が「ウェブ上で見る瑛九晩年の点描作品」を急遽執筆してくださいました。
スタッフはネットの作業に忙殺されていましたが、来廊者のないことで時間のできた亭主(機械音痴)は過去のブログの整理に傾注し、瑛九情報総目次をブログに掲載しました。
緊張が続く中で、6月2日からは一日二人出勤の体制にし、中止や延期に追い込まれた企画展を立て直す作業に入りました。ガランとした中で迎えた6月5日の開廊記念日(25周年)でしたが、ブログでの「一日限定! 破格の掘り出し物」や、藤江民、クリスト、杉山幸一郎、塩見允枝子、本田眞吾などの「特別頒布会」が好評で、今まで以上にネットで繋がる縁に希望が湧いてきました。
●2020年6月16日―7月11日「生誕100年 駒井哲郎展 Part.1 若き日の作家とパトロン」
駒井哲郎先生の生前最後の新作展をお手伝いできたことは私たちの財産ですが、生誕100年の記念展をコロナ禍で開催することは苦渋の選択でした。

「駒井哲郎を追いかけて第1回~第68回目次」や、栗田秀法先生のエッセイ前編、後編をお読みいただきたいのですが、今回の初期作品群は超のつく稀少かつ重要なコレクションでした。幸いも四国のコレクターM氏ご夫妻が一括して購入してくださり、安堵しました。
●2020年7月21日―8月8日「開廊25周年 第1回ときの忘れものエディション展―建築家たち」
無人のギャラリーで植田実先生、戸田譲先生に5人の建築家たちの版画について論じていただきました。今更ですが専門家の知見の深さ、作品を前にその魅力を語ることのできる力量に感嘆いたしました。展覧会が終了してもWEB展はアーカイブとして残る。ギャラリーの新たな可能性を見出した思いです。
建築史家・戸田穣先生インタビュー
建築評論家・植田 実先生 特別インタビュー
一方で在宅勤務のスタッフたちは亭主の雑音に悩まされることなく自分の担当仕事に専念できるばかりでなく、持ち帰った資料を丁寧に読む時間もできました。盲蛇に怖じず、大胆にも作品解説(安藤忠雄)まで手がけてくれました。
●2020年8月28日―9月12日「ジョナス・メカス展」
例年と同じくお盆の時期に夏季休廊としましたが、スタッフたちは束の間、緊張感から解放されたようです。当初は春にNY在住の宮森敬子さんの個展、夏にスイス在住の杉山幸一郎さんの個展の予定でしたが、お二人とも帰国がかなわず、宮森さんは秋に順延、杉山さんは思い切って来年夏に延期しました。代わりに開いたのが「ジョナス・メカス展」でした。
メカス日本日記の会・木下哲夫さん 特別インタビュー 〈ジョナス・メカスとの40年〉
●2020年9月25日―10月17日「宮森敬子展 — Surfaces of Time 集められた時間と空間の表面たち」
NYから帰国した宮森さんを迎えて今年初めての現存作家の個展を開催しました。大掛かりな工事を伴うインスタレーションでしたが、予約制にも関わらず連日多くの方が来廊され(時間調整にスタッフはてんてこ舞いでした)、詩人の大崎清夏さんにレビューを執筆していただけたことも嬉しい出来事でした。
無観客ギャラリートーク 宮森敬子さん・小泉晋弥さん 前編
無観客ギャラリートーク 宮森敬子さん・小泉晋弥さん 後編
●2020年11月6日―11月28日「平嶋彰彦写真展 — 東京ラビリンス」
宮森展に続いて平嶋彰彦さんの初個展を開催しました。数年がかりで取り組んだエディションの刊行記念展で、平嶋彰彦さんの連載エッセイ「 ”東京ラビリンス”のあとさき 」、監修の大竹昭子さんの「東京上空に浮遊する幻の街 平嶋彰彦写真展に寄せて」、森山大道さんの「平嶋彰彦展~写真を支える多様なレイヤー」をお読みください。

無観客ギャラリートーク 平嶋彰彦さん・大竹昭子さん
撮影の瞬間だけマスクを外し、取材にいらした毎日新聞学芸部の高橋咲子さんを囲んで、右から二人目が平嶋彰彦さん。実は亭主も含め全員が毎日新聞社員・OBです。2020年唯一の同窓会(?)。
ネットではフルクサスの塩見允枝子先生の作品発表とエッセイの連載が予想を超える反響で、直接作品を見に来る方も。右から深野一朗さん、宮津大輔さん、お二人とも現代美術のコレクターとして著名です。応対する塩見作品担当の伊丹千春も完全武装。
●2020年11月16日ー11月28日「倉俣史朗展 ―Shiro Kuramata Cahier 刊行記念展」
今年から2024年にかけてエディションする「倉俣史朗―Shiro Kuramata Cahier」(全6集、各集シルクスクリーン10点組)の1集・2集刊行記念展を3月に大阪のNii Fine Artsで、11月に銀座のギャラリーせいほうで、12月に銀座の蔦屋で開催していただきました。
左から大谷京子さん(石田了一工房)、田中譲さん(ギャラリーせいほう)、尾立副社長、植田実先生、倉俣美恵子さん、石田了一さん、社長、亭主
●2020年12月11日ー12月26日「オディロン・ルドン展ー『聖アントワーヌの誘惑』」
最後はルドンの版画展。今年は駒井哲郎先生の生誕100年、ルドンの生誕180年の記念すべき年でした。駒井先生が敬愛したのがルドン、長谷川潔、恩地孝四郎、瀧口修造たちでした。厳しい一年でしたが『聖アントワーヌの誘惑』第三集などルドンの代表作で締められたのは画商として本望であります。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨年末、アフガニスタンで銃弾に倒れた中村哲医師のことがいつも頭にありました。
私たちの商売は平和で安全な社会だからこそ成り立ちます。
未曽有の災害ともいえるコロナウイルス禍でも、ペシャワール会の人々は営営とアフガニスタンの地に緑を復興しようと尽力されています。
「中村哲医師とペシャワール会を支援する頒布会」では、今年も毎月数点の作品を無償提供し、48点を頒布、435,680円全額をペシャワール会に送金しました。累計の送金額は3,499,736円となりました。参加してくださった皆さんには心より御礼申し上げます。
お世話になった皆さんが幾人も去って行かれました。
ご冥福をお祈りするとともに、いただいた御恩を忘れずにこれからも精進したいと思います。
奈良原一高 先生(1月19日)
堀川とんこう さん(3月28日)は故郷も同じ、高校も同じ、大学時代の県人寮の先輩でした。
秋山祐徳太子 先生(4月3日)
岡本信治郎 先生(4月8日)
菊畑茂久馬 先生(5月21日)
クリスト 氏(5月31日)
安齊重男 先生(8月13日)
鬼海弘雄 先生(10月19日)
照井栄 先生(11月8日)
池田龍雄 先生(11月30日)
都城市民会館(2020年3月解体完了)
時代の変わり目でしょうか、閉めた画廊も少なくないようです。
京橋のINAXギャラリー(LIXILギャラリー)、岩手のMORIOKA第一画廊についてはそれぞれブログで書きました。
亡き上田浩司さんが主宰したMORIOKA第一画廊の閉鎖はことのほかこたえました。
友達のゐぬ転校生われがふと迷ひ入りたる盛岡画廊
背伸びして爪先立ちて若きわれ画廊の会話を聴きてゐたりき
靉光を瑛九を見るうれしさに画廊の階段駆け上りし日
長身を折り曲げ語りかくるとき鼻濁音おほき盛岡ことば
上田さんのゐる心地せり中津川の風に吹かれて画廊に来れば
(上田さんを偲んでの吉田史子さんの短歌より)
画廊はただの物売りではない、そこに集う人たちの心を温め、純な心で作品と向き合う空間なのだということを身をもって教えてくれました。
今年一年、たいへんお世話になりました。
たくさんのご声援、ご愛顧、ご愛読をありがとうございました。
皆様、良いお年を!
●年末年始ご案内
2020年12月27日(日)~2021年1月4日(月)までは冬季休廊いたします。
新年の営業は1月5日(火)からです。
ブログは年中無休、毎日更新しますのでお楽しみください。
*2020年にブログに寄稿された50人の皆さんのご紹介は12月30日のブログをご参照ください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
売上はもちろん激減ですが、出張旅費や輸送費も激減しました(社長苦笑)。
ブログを読み返しながら2020年を振り返ります。
●2020年1月10日―2月1日「オノサトトシノブ展」
恒例のスタッフ全員の新年のあいさつを読み返してもコロナのコの字もありません。3月のアートバーゼル香港に向けて意気軒高でした。

なんて穏やかな表情でしょう。春のグループ展(来年に延期)の打ち合わせに盛岡から宇田義久さん(右端)が来廊、左はMORIOKA第一画廊の故・上田浩司さんのお嬢さん、り土さん、ほほさんの姉妹。マスク無し、この後の暗転をだれが想像したでしょうか。●2020年2月5日―2月9日「LA ART SHOW 2020」
急遽きまったロスのアートフェア出展、結果的にはこれが今年最初で最後の海外出張となりました。


●2020年2月14日―2月16日「ART NAGOYA 2020」
名古屋のアートフェア出展の準備をしている最中にアートバーゼル香港の中止が伝えられショックでした。最後のフェア出展でしたが、成績は芳しくなく暗い気持ちで帰京したのを覚えています(写真も暗いねえ)。

●2020年2月19日―3月14日「銀塩写真の魅力 Ⅵ展」
日に日にウイルス感染の悲報が。万一のことを考え出したのは本展開催中の2月下旬でした(遅刻OK、安全第一)。バーゼルと並び期待していたアートフェア東京の中止が告げられたのは開催僅か二週間前でした(社長涙)。いったいこの先どうなることやら・・・

●2020年3月24日―4月4日「春の画廊コレクション展」
各国で非常事態宣言が出され、通常の営業が不可能になったと覚悟する中、バーゼルが期間限定でオンライン・ビューイング・ルームを設置。対面営業からネットへの劇的な変化を象徴するニュースでした。
画廊を閉めたのは3月28日でした(臨時休廊)。スタッフたちは在宅勤務となり、画廊への出勤は必要最小限とし、全員が自宅でパソコンを使っての業務となりました。
ホームページやブログへのアクセスが激増し、4月6日にブログへの訪問者の累計が130万人を超えました(現在は142万人余)。100万人を超えたのが2017年10月下旬ですから三年半で30万人が訪問したことになります。

事態はますます悪化、予定していた展覧会、トーク、ギャラリーコンサートなど全て中止か延期としました。毎年出席していた高村光太郎を偲ぶ連翹忌も中止となりました。亭主は必死で在庫をかき分け「一日限定! 破格の掘り出し物」をブログで紹介し続けました。ネットで(実物を見ずに)ご購入くださった皆様には感謝の言葉しかありません。
スタッフたちを心配してくださる全国のお客様からマスク、除菌ブロッカー、野菜、果物、お菓子などたくさん差し入れを送っていただきました。地獄に仏、ほんとうにありがとうございました。
楽しみにしていた世田谷美術館の「驚異の三人 !! 高松次郎・若林奮・李禹煥 ―版という場所で」展が中止となり、全国の美術館が次々と休館に追い込まれます。
●2020年5月8日―5月30日「没後60年 第29回瑛九展」
臨時休廊(在宅勤務)が40日を越し、思案に思案を重ね、WEB展と予約制での瑛九展開催を決めました。当初はスタッフが自社で(節約して)制作しようとしたのですが、アートを人々に伝えようとする以上、最良の画像、最善の技術と機器、編集を目指すべきだと考えなおし、ドローンなど機材を購入、撮影と編集は旧知の名編集者「WEBマガジン コラージ」の塩野哲也さんに全面的に委嘱しました。
WEB展でしかできない試みをと普通ではあり得ない太陽光の下での撮影を敢行しました。「実物に対面できないのは残念であるけれども、この機会を逆手にとって、瑛九の点描作品をウェブ上で、つまりパソコンの画面を通して見るという体験そのものに意識を向けてみてはどうだろう」と考えた東京国立近代美術館の大谷省吾先生が「ウェブ上で見る瑛九晩年の点描作品」を急遽執筆してくださいました。スタッフはネットの作業に忙殺されていましたが、来廊者のないことで時間のできた亭主(機械音痴)は過去のブログの整理に傾注し、瑛九情報総目次をブログに掲載しました。
緊張が続く中で、6月2日からは一日二人出勤の体制にし、中止や延期に追い込まれた企画展を立て直す作業に入りました。ガランとした中で迎えた6月5日の開廊記念日(25周年)でしたが、ブログでの「一日限定! 破格の掘り出し物」や、藤江民、クリスト、杉山幸一郎、塩見允枝子、本田眞吾などの「特別頒布会」が好評で、今まで以上にネットで繋がる縁に希望が湧いてきました。
●2020年6月16日―7月11日「生誕100年 駒井哲郎展 Part.1 若き日の作家とパトロン」
駒井哲郎先生の生前最後の新作展をお手伝いできたことは私たちの財産ですが、生誕100年の記念展をコロナ禍で開催することは苦渋の選択でした。

「駒井哲郎を追いかけて第1回~第68回目次」や、栗田秀法先生のエッセイ前編、後編をお読みいただきたいのですが、今回の初期作品群は超のつく稀少かつ重要なコレクションでした。幸いも四国のコレクターM氏ご夫妻が一括して購入してくださり、安堵しました。
●2020年7月21日―8月8日「開廊25周年 第1回ときの忘れものエディション展―建築家たち」
無人のギャラリーで植田実先生、戸田譲先生に5人の建築家たちの版画について論じていただきました。今更ですが専門家の知見の深さ、作品を前にその魅力を語ることのできる力量に感嘆いたしました。展覧会が終了してもWEB展はアーカイブとして残る。ギャラリーの新たな可能性を見出した思いです。
建築史家・戸田穣先生インタビュー
建築評論家・植田 実先生 特別インタビュー
一方で在宅勤務のスタッフたちは亭主の雑音に悩まされることなく自分の担当仕事に専念できるばかりでなく、持ち帰った資料を丁寧に読む時間もできました。盲蛇に怖じず、大胆にも作品解説(安藤忠雄)まで手がけてくれました。
●2020年8月28日―9月12日「ジョナス・メカス展」
例年と同じくお盆の時期に夏季休廊としましたが、スタッフたちは束の間、緊張感から解放されたようです。当初は春にNY在住の宮森敬子さんの個展、夏にスイス在住の杉山幸一郎さんの個展の予定でしたが、お二人とも帰国がかなわず、宮森さんは秋に順延、杉山さんは思い切って来年夏に延期しました。代わりに開いたのが「ジョナス・メカス展」でした。
メカス日本日記の会・木下哲夫さん 特別インタビュー 〈ジョナス・メカスとの40年〉
●2020年9月25日―10月17日「宮森敬子展 — Surfaces of Time 集められた時間と空間の表面たち」
NYから帰国した宮森さんを迎えて今年初めての現存作家の個展を開催しました。大掛かりな工事を伴うインスタレーションでしたが、予約制にも関わらず連日多くの方が来廊され(時間調整にスタッフはてんてこ舞いでした)、詩人の大崎清夏さんにレビューを執筆していただけたことも嬉しい出来事でした。
無観客ギャラリートーク 宮森敬子さん・小泉晋弥さん 前編
無観客ギャラリートーク 宮森敬子さん・小泉晋弥さん 後編
●2020年11月6日―11月28日「平嶋彰彦写真展 — 東京ラビリンス」
宮森展に続いて平嶋彰彦さんの初個展を開催しました。数年がかりで取り組んだエディションの刊行記念展で、平嶋彰彦さんの連載エッセイ「 ”東京ラビリンス”のあとさき 」、監修の大竹昭子さんの「東京上空に浮遊する幻の街 平嶋彰彦写真展に寄せて」、森山大道さんの「平嶋彰彦展~写真を支える多様なレイヤー」をお読みください。

無観客ギャラリートーク 平嶋彰彦さん・大竹昭子さん
撮影の瞬間だけマスクを外し、取材にいらした毎日新聞学芸部の高橋咲子さんを囲んで、右から二人目が平嶋彰彦さん。実は亭主も含め全員が毎日新聞社員・OBです。2020年唯一の同窓会(?)。
ネットではフルクサスの塩見允枝子先生の作品発表とエッセイの連載が予想を超える反響で、直接作品を見に来る方も。右から深野一朗さん、宮津大輔さん、お二人とも現代美術のコレクターとして著名です。応対する塩見作品担当の伊丹千春も完全武装。●2020年11月16日ー11月28日「倉俣史朗展 ―Shiro Kuramata Cahier 刊行記念展」
今年から2024年にかけてエディションする「倉俣史朗―Shiro Kuramata Cahier」(全6集、各集シルクスクリーン10点組)の1集・2集刊行記念展を3月に大阪のNii Fine Artsで、11月に銀座のギャラリーせいほうで、12月に銀座の蔦屋で開催していただきました。
各映像制作:WebマガジンColla:J 塩野哲也
左から大谷京子さん(石田了一工房)、田中譲さん(ギャラリーせいほう)、尾立副社長、植田実先生、倉俣美恵子さん、石田了一さん、社長、亭主●2020年12月11日ー12月26日「オディロン・ルドン展ー『聖アントワーヌの誘惑』」
最後はルドンの版画展。今年は駒井哲郎先生の生誕100年、ルドンの生誕180年の記念すべき年でした。駒井先生が敬愛したのがルドン、長谷川潔、恩地孝四郎、瀧口修造たちでした。厳しい一年でしたが『聖アントワーヌの誘惑』第三集などルドンの代表作で締められたのは画商として本望であります。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
昨年末、アフガニスタンで銃弾に倒れた中村哲医師のことがいつも頭にありました。
私たちの商売は平和で安全な社会だからこそ成り立ちます。
未曽有の災害ともいえるコロナウイルス禍でも、ペシャワール会の人々は営営とアフガニスタンの地に緑を復興しようと尽力されています。
「中村哲医師とペシャワール会を支援する頒布会」では、今年も毎月数点の作品を無償提供し、48点を頒布、435,680円全額をペシャワール会に送金しました。累計の送金額は3,499,736円となりました。参加してくださった皆さんには心より御礼申し上げます。
お世話になった皆さんが幾人も去って行かれました。
ご冥福をお祈りするとともに、いただいた御恩を忘れずにこれからも精進したいと思います。
奈良原一高 先生(1月19日)
堀川とんこう さん(3月28日)は故郷も同じ、高校も同じ、大学時代の県人寮の先輩でした。
秋山祐徳太子 先生(4月3日)
岡本信治郎 先生(4月8日)
菊畑茂久馬 先生(5月21日)
クリスト 氏(5月31日)
安齊重男 先生(8月13日)
鬼海弘雄 先生(10月19日)
照井栄 先生(11月8日)
池田龍雄 先生(11月30日)
都城市民会館(2020年3月解体完了)
時代の変わり目でしょうか、閉めた画廊も少なくないようです。
京橋のINAXギャラリー(LIXILギャラリー)、岩手のMORIOKA第一画廊についてはそれぞれブログで書きました。
亡き上田浩司さんが主宰したMORIOKA第一画廊の閉鎖はことのほかこたえました。
友達のゐぬ転校生われがふと迷ひ入りたる盛岡画廊
背伸びして爪先立ちて若きわれ画廊の会話を聴きてゐたりき
靉光を瑛九を見るうれしさに画廊の階段駆け上りし日
長身を折り曲げ語りかくるとき鼻濁音おほき盛岡ことば
上田さんのゐる心地せり中津川の風に吹かれて画廊に来れば
(上田さんを偲んでの吉田史子さんの短歌より)
画廊はただの物売りではない、そこに集う人たちの心を温め、純な心で作品と向き合う空間なのだということを身をもって教えてくれました。
今年一年、たいへんお世話になりました。
たくさんのご声援、ご愛顧、ご愛読をありがとうございました。
皆様、良いお年を!
●年末年始ご案内
2020年12月27日(日)~2021年1月4日(月)までは冬季休廊いたします。
新年の営業は1月5日(火)からです。
ブログは年中無休、毎日更新しますのでお楽しみください。
*2020年にブログに寄稿された50人の皆さんのご紹介は12月30日のブログをご参照ください。
●ときの忘れものは青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。
阿部勤設計の新しい空間はWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊。
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