明日6月20日は世界難民の日です。
関根光才監督による短編映像『リスト:彼らが手にしていたもの(原題:What They Took With Them: a List)』をご紹介します。



Youtubeからどなたでも御覧になれる本作は、昨年2022年の「世界難民の日」に国連UNHCR協会・難民支援プロジェクトの一環として制作されたもの。

紛争や迫害によって故郷を追われた難民たちが、わずかな時間で何を持って逃げたのかが語られます。持ち出した「リスト」の中には、財布やスマホといった貴重品もあれば、美白クリームやロバと言った、意表をつかれるような項目も。

一つの詩を複数人が朗読する、というシンプルな映像ですが、生の証言や難民の物語をもとに書かれたという言葉たちに、想像力がぐっと押し広げられるような感覚を覚えます。また、冒頭から終始、実際の難民の方を映した映像や画像が映し出されていることにより「これは実際に起きていることなのだ」という切迫感も感じられました。

関根光才監督は映像の公開に際したインタビューで、下記のような言葉を発信されています。

〈日本で生きる私たちの多くは、「難民」ということに思いを近くすることはなかなか難しいかもしれません。しかし日本にも難民のひとびとは住んでいますし、とても困難な状況におかれています。また私たちが街ですれ違うひとびとの中には、かつて難民だった方々が含まれている可能性もあります。私たちの便利で平和な生活、あるいは無関心が、奥底のほうではそういった難民の方々を生み出している可能性すらあります。僕自身みなさんに何か言える立場ではなく、どうやってそういった方々やこの状況を省みて、何かできることがあるのか、僕自身これからも考え行動していきたいと思います。〉
「Q-pot.」ウェブサイトより)

入管法の改正に多くの反対意見があがるなか、難民の方々をめぐる状況が少しでも改善されていくことを願わずにはいられません。

▮作品情報
・タイトル:「リスト:彼らが手にしていたもの(原題:What They Took With Them: a List)」
・原作:ジェニファー・トクスヴィグ(Jenifer Toksvig)
・訳:松崎悠希
・監督:関根光才
・制作:KAIJU INC./KAIJU FILMS
・プロデューサー:岩上紘一郎、高野力哉、ワカマツ タダアキ、若菜蓮
・エグゼクティブ・プロデューサー:大岩良江、江守徹大
・キャスト:カトウシンスケ/Crystal Kay/坂巻有紗/サヘル・ローズ/鈴木亮平/TAO/May J./米本学仁/渡部豪太/渡辺真起子 ※五十音順
・パートナー:UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)/特定非営利活動法人 国連UNHCR協会
・協力:UNHCR駐日事務所

*関根光才さんについては「太陽の塔」に関連してご紹介したことがあります。

ジョナス・メカスの映像作品27点を収録した8枚組のボックスセット「JONAS MEKAS : DIARIES, NOTES & SKETCHES VOL. 1-8 (Blu-Ray版/DVD版)」を販売しています。
映像フォーマット:Blu-Ray、リージョンフリー/DVD PAL、リージョンフリー
各作品の撮影形式:16mmフィルム、ビデオ
制作年:1963~2014年
合計再生時間:1,262分
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●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
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