ピラネージに関する文献、資料は先日、4冊をご紹介しましたが、本日はさらに6冊をご紹介します。

●『みづゑ』No.845 美術出版社、1975年
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「ここではいわば、虚々実々の奥行きを展開する遠近法の機能が凍結されている」。
1975年の『みづゑ』には、美術評論家・岡田隆彦氏が「牢獄シリーズ」について記した文章「ピラネージの銅版画--牢獄として凍結された現実」が掲載されています。豊富な図版と共に10頁以上がピラネージに割かれている様子は、日本におけるピラネージの評価について知る手がかりになるのではないでしょうか。

●『ピラネージと古代ローマの壮麗』ピーター・マレー著、長尾重武訳、1990年
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こちらはイギリスの美術史・建築史家であるピーター・マレーが、ピラネージの古代ローマに対する情熱について綴ったエッセイ。ロンドン大学での特別講義(第3回目)の議事録を翻訳したもので、資料としてだけでなく、1冊の読み物として楽しめる内容です。

●『地中海学研究 XV』地中海学会、1992年
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東京大学の樺山紘一研究室に本部を置く「地中海学会」が発行した書籍内では、岡田哲史氏が「ロードリとピラネージの建築論」と題した論文を発表しています。岡田氏による桐敷真次郎氏との共著「ピラネージと『カンプス・マルティウス』」(1993年)とあわせてご注目ください。

●『メディアとしての建築 ピラネージからEXPO'70まで』菊池誠編、東京大学総合研究博物館、2005年
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こちらは東京大学の総合研究博物館で2005年に開催された展覧会のカタログ。ピラネージの建築版画といくつかの万国博覧会に関する資料が展示されたといいます。なお、東京大学の総合図書館では、現在も同館が所蔵する亀井文庫『ピラネージ版画集 Opere di Giovanni Battista Piranesi, Francesco Piranesi e d'altri 』全29巻(フィルマン・ ディド兄弟出版社, 1835-1839)のデジタルデータが公開されているようです

●『Piranesi: EARLY ARCHITECTURAL FANTASIES』Andrew Robison著、1986年
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続いては、数ある資料の中でもひときわ目をひくこちらの書籍。約29cm×30cmの大型で、ずっしりと重さのある同作には、豊富な図版はもちろん、ワシントン・ナショナル・ギャラリーの版画担当学芸員による充実の解説も掲載。腰を据えてじっくりとピラネージに向き合いたい方におすすめの一冊です。

●『ピラネージ』スザンナ・クラーク著、原島文世訳、2022年
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最後に「番外編」としてご紹介するのは、昨年2022年に発売されたこちらの書籍。
版画家ジャン=バティスタ・ピラネージから名前がとられたという幻想小説です。
英国の作家スザンナ・クラークによる16年ぶりの長篇作となる本作は、海に囲まれた巨大な建造物の中で孤独に暮らす主人公、その名も「ピラネージ」の物語。
世界幻想文学大賞、コスタ賞、ヒューゴー賞、ネビュラ賞にノミネートされ、英国では女性小説賞を受賞したといいます。展覧会後にページをめくり、ファンタジーの世界に身を浸してみるのはいかがでしょうか。

夏季休廊のお知らせ
画廊は8月13日[日] ~21日[月] お休みさせていただきます。
8月22日[火] より平常通り営業いたします。

「幻想の建築 ピラネージ展」
会期:2023年8月4日(金)~8月12日(土)*日曜・月曜・祝日休廊
ピラネージ展_案内状表120018世紀イタリアの建築家・版画家ジャン=バティスタ・ピラネージ(1720-1778)の《牢獄》シリーズ全16点(1761年ピラネージの原作、1961年Bracons-Duplessisによる復刻)を展示します。
本展については建築史家の戸田穣先生に第1回「ピラネージ『牢獄』1961年版」について、第2回「ピラネージの青春時代、そしてその原版の行方」についてご寄稿いただきました。
出品作品の詳細、価格については7月27日ブログをお読みください。




●ときの忘れものが販売しているジョナス・メカスの映像作品27点を収録した8枚組のボックスセット「JONAS MEKAS : DIARIES, NOTES & SKETCHES VOL. 1-8 (Blu-Ray版/DVD版)」が今年度の『ボローニャ復元映画祭(Il Cinema Ritrovato)』で「ベストボックスセット賞」を受賞しました。
映像フォーマット:Blu-Ray、リージョンフリー/DVD PAL、リージョンフリー
各作品の撮影形式:16mmフィルム、ビデオ
制作年:1963~2014年
合計再生時間:1,262分
価格:
Blu-Ray版:18,000円(税込)
DVD版:15,000円(税込)

商品の詳細は3月4日ブログをご参照ください。
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●ときの忘れものは2017年に青山から〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。阿部勤が設計した個人住宅だった空間で企画展の開催、版画のエディション、美術書の編集等を行なっています(WEBマガジン コラージ2017年12月号18~24頁の特集参照)。
JR及び南北線の駒込駅南口から徒歩約8分です。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 
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http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。*日・月・祝日は休廊