11月3日(金、祝日)~11日(土)まで無休で開催する「小石川植物祭2023/命名~牧野富太郎へのオマージュ」には盛岡、福島、富山、東京、沖縄、スイスの作家たちに牧野富太郎の植物図鑑からインスピレーションを受けた作品を制作していただきました。
*当初参加予定だった「佐藤敬+アレクサンドラ・コヴァレヴァ(KASA)」は、作家の事情により出品できなくなりました。お詫びして訂正します。
本日はスイス在住の杉山幸一郎先生の新作とステートメントをご紹介します。



【作家ステートメント】

杉山幸一郎と言います。スイスの自然豊かな、アルプスの少女ハイジで有名な村から少し離れた街で建築設計、作品制作をしながら生活しています。2022年にatelier tsu(アトリエ ツ)という建築設計事務所を開き、スイスと日本でプロジェクトを行なっています。今回の企画展には≪Land & Water≫というシリーズを制作、出展します。

ここでは朝起きて窓を開け放ち、山の空気を吸い込んでから一日が始まります。普段行っている作業と言えば、≪描く、作る、書く≫という制作ループです。建築設計では、計画する場所にある物事の成り立ちをその都度見つけ出して、そこに新しい意味や価値を生み出していく作業をしています。作品制作にしても同じ原点に立ち、アウトプットは違えども、そこに差異はありません。

●出展物紹介 
シリーズ≪Land & Water≫


img01 Churの街
僕が住んでいるクールという街は、スイスアルプスの麓にある。街を鳥の目をもって眺めてみると、そこには荒々しくも緑豊かな山々があり、その谷間を縫うように川が流れ、まわりには草木が生い茂っている。周りを山に囲まれていると守られているようで心地よく、しかし時には畏れをも感じる。この大自然の中で人は小さく弱く、何かをコントロールしようとする姿勢自体が間違っているようにも思えてくる。

img02 Zervreila湖
さらに空高く舞い上がって辺りを見渡してみると、山の中腹に大きな湖がある。それは、かつて小さな村があったところにできたダムで、集落はそのまま下に沈んでいるそうだ。Zervreilaというその小さな村が犠牲になることで、近くの自治体は資源が豊かに潤った。

img03 Zervreila村
もし今、ダムの水を少しずつ抜いていったら、そこにはきっと小さな島々のように屋根が浮かび上がってくるのだろう。ふと、何かのために失われたものに、再び息を吹き込んでみたい気持ちが芽生えてくる。

見えない何かがまだ水の下に眠っているからこそ、思いを巡らせながら、物事に名を与え、特別な意味付けをすることもできる。わかりきれないものだからこそ、物事を真剣に眺め、考えていく。目を閉じてもなおそこに浮かび上がってくるもの。そんな散らばった島の間にいつも、出来事の兆しを見つけている。

こちらも参照ください。
“For The Architectural Innocent” 第10回「石の編みもの / 浮かび上がるカタチ」
https://architecturephoto.net/120960/

Land & Water Relief 01-aLand & Water Relief 01-b杉山幸一郎 "Land & Water Relief 01" 
2023年 リサイクルプラスチック、ワックス 
9.8x11.3x2.cm サインあり

IMG_7615杉山幸一郎 "Land & Water 11" 
2023年 水彩 
42.0x29.7cm  サインあり

IMG_7633杉山幸一郎 "Land & Water 12" 
2023年 水彩 
29.7x21.0cm サインあり

IMG_7627杉山幸一郎 "Land & Water 14" 
2023年 水彩 
29.7x21.0cm サインあり
Sold

IMG_7621杉山幸一郎 "Land & Water 15" 
2023年 水彩 
42.0x29.7cm サインあり

杉山幸一郎 SUGIYAMA Koichiro
日本大学、東京藝術大学大学院にて建築を学び、在学中にスイス連邦工科大学に留学。2014年から2021年までアトリエピーターズントー。現在、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で設計を教える傍ら、建築設計事務所atelier tsuを共同主宰。2022年1月ときの忘れものにて初個展「杉山幸一郎展スイスのかたち、日本のかたち」を開催、カタログを刊行。
世の中に満ち溢れているけれどなかなか気づくことができないものを見落とさないように、感受性の幅を広げようと日々努力しています。

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小石川植物祭2023/命名~牧野富太郎へのオマージュ
会期:2023年11月3日(金)~11月11日(土) ※会期中無休
会場:ときの忘れもの
参加作家:大塚理司、佐藤研吾杉山幸一郎戸村茂樹仁添まりな藤江民
作家在廊予定日:
11月3日(金、祝日)藤江民
11月5日(日)大塚理司(12:00~17:00ごろ)
11月11日(土)戸村茂樹

57_koishikawa_表面_s
文京区の小石川植物園で11月3日~5日に第二回小石川植物祭2023が開催されます。

●ときの忘れものの建築は阿部勤先生の設計です。
建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com 
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
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