画廊亭主が初めてNYに行き、ジョナス・メカスさんのアパートを訪ねたのは1983年6月でした。
このときの目的は先ずアンディ・ウォーホルとの契約でした。もめたらどうしようと案じる暇もなく、契約はあっという間にすみ、ウォーホルとランチをしたのですが写真の一枚も撮らなかった(というかカメラも持参しなかった)。「KIKU」3種類、「LOVE」3種類、総計1200枚もの版画にサインするには時間がかかるので、しばらくNY見物でもしてこいと言うわけで、夜のアパート訪問となりました。
42年前ですが、それからメカスさんが亡くなる2019年1月23日までの36年間、メカスさんを初めて日本に招き、版画7点(ジョナス・メカス映画美術館建設賛助エディション)をつくり、全国各地で展覧会をし、ハイエースに載せて、ホテル代を倹約して友人たちの家に居候してもらう貧乏旅行を重ねました。
泊めてもらった一人が先日訃報をお伝えした奈良の西田考作さんでした。
英語なんてまったくしゃべれない亭主。メカスさんとの仲を取り持ってくれたのがメカス日本日記の会の木下哲夫さんでした。
今回のアートフェアアジア福岡2025にはメカスさんの写真作品を出品します。
メカスさんは96歳での大往生でしたが、私たちの心には今も生き続けています。
ジョナス・メカス Jonas MEKAS
“Dallesandro (star of several of Warhol movies… carries John Kennedy jr., South Hampton beach. 1971”
1972年 (Printed in 1999)
Type-Cプリント
イメージサイズ:49.1×32.4cm
シートサイズ :50.7×40.7cm
Ed.10
サインあり
*ジョー・ダレッサンドロ(Joe Dallesandro, 1948年12月31日 – ) アンディ・ウォーホルに見出された俳優の一人。 これまで映画界でスターダムにのぼることは無かったが、20世紀アメリカのアンダーグラウンド映画では、おそらく最も有名な男性セックスシンボルであり、またゲイ文化におけるセックスシンボルでもあった。主役を演じた『トラッシュ』が『ローリング・ストーン』誌から1970年に「今年最高の映画」と絶賛されたことで、1970年代ニューヨークのアート・シーンにおける若者文化、性革命のスター的存在となった。自身がバイセクシャルであることを公言している。

1983年12月1日 原美術館(品川)にて、左から、靉嘔先生、綿貫不二夫、木下哲夫さん、ジョナス・メカスさん(60歳)
「アメリカ現代版画と写真展ージョナス・メカスと26人の仲間たちー」
会期:1983年12月2日~12月25日
会場:東京都品川区 原美術館
主催:アルカンシェール美術財団、ジョナス・メカス展実行委員会
協力:RYU、現代版画センター、イメージ・フォーラム
オープニング:12月1日
シンポジウム:12月10日、ジョナス・メカス、飯田善國、正津勉
ジョナス・メカス Jonas MEKAS
《ウーナ・メカス5才 猫とホリス(母)の前でヴァイオリンの稽古 1979》
1983年
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
53.0×37.5cm
Ed.75
サインあり
*ジョナス・メカス映画美術館建設賛助エディション
ジョナス・メカス Jonas MEKAS
《ヨーコ・オノ》
2009年
CIBA print
35.4×27.5cm
サインあり
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2005年10月31日 青山のとんかつ屋「まい泉」にて、新入社員の尾立麗子とジョナス・メカスさん(83歳)
以下、ギャラリー新人日記より抜粋
<今日は休日なのだが、ジョナス・メカスさんと夕食を一緒にすることになったと急に綿貫さんから連絡が入った。美味しい料理というフレーズに惹かれて行くことにした。メンバーは翻訳家の木下哲夫さんとメカスさん出演のCDを制作した阿部さん(今回も作品をお買い上げ戴いた)、綿貫さん、三浦さんと奥様の和子さん、そして私。豆腐料理を出してくれる「梅の花」に行くことになっていたのだが、メカスさんは豆腐が苦手だという。ここは日本だから日本料理がいいということで、しゃぶしゃぶ屋さん「紫波」に電話を入れるが満席。う~ん、日本料理・・・お寿司?とんかつ?・・・色々料理名を挙げ、とんかつ屋もいいね~というメカスさんのご要望にお答えし、「まい泉」に行くことに決まった。お座敷しか空いていなく、メカスさんは苦手だろうということで、少し待って腰掛席に案内してもらった。以前はお風呂屋さんだったそうだ。天井に面影がある。初めて逢った時は全く話さなかった日本語「乾杯」「ありがとう」を使っていた。一番大切な、その二つあいさつを・・・。メカスさんが食べたいという天ぷらとしゅうまいを注文し、熱燗を嗜んでいる。綿貫さんの質問を木下さんが翻訳し、メカスさんの返事を木下さんが翻訳する。木下さん大変そう!!私は相も変わらず黙っていた。メカスさんはお腹いっぱいだけど酒は飲めるよ、と言いいっぱい話してくれた。撮影は順調で、宿も最高だと。息子や娘の話もしてくださった。店を出て、「ありがとう。」と握手をした。また、2 shot Get!!
(オダチ レイコ)>
2005年10月31日 青山のとんかつ屋「まい泉」にて、左から尾立麗子、ジョナス・メカスさん、木下哲夫さん
◆【アートフェアアジア福岡2025】
ときの忘れものは、福岡で9月に開催される「ART FAIR ASIA FUKUOKA 2025」に出展いたします。
ときの忘れものは今年で30周年を迎えます。福岡では開廊当初から扱ってきた作家をいくつかのテーマに分けてご紹介いたします。
日本の近現代美術史に大きな足跡を残した瑛九のフォト・デッサンや版画、松本竣介の素描を展示します。
音楽・詩・美術・映画などの領域を飛び越えた芸術運動「フルクサス」からは、女性アーティスト・塩見允枝子の新作エディションをはじめ、虹の作家として知られる靉嘔や、「日記映画」の創始者ジョナス・メカスの作品もご覧いただきます。
「具体美術協会」で活躍した元永定正の版画もご紹介。
また、当方の柱である建築家の作品では、九州に多くの建築を遺した磯崎新の版画と、大阪万博で活躍中の佐藤研吾の立体を展示します。
【アートフェアアジア福岡2025】
会期:2025年9月26日(金)~ 9月28日(日)
VIP View: 9/25(木)※招待者のみ
一般公開: 9/26(金) 11:00 – 19:00
9/27(土) 11:00 – 19:00
9/28(日) 11:00 – 18:00
会場:マリンメッセ福岡 B館(福岡県福岡市博多区沖浜町2−1)
ブース番号: W01
出品作家:松本竣介、瑛九、瀧口修造、靉嘔、塩見允枝子、磯崎新、ジョナス・メカス、元永定正、佐藤研吾
●ときの忘れものの建築空間(阿部勤 設計)についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS ときの忘れもの
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
E-mail:info@tokinowasuremono.com
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。
ウォーホル「KIKU 1~3」と関根伸夫の「風景の象嵌」




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