私の駒井哲郎コレクション・その2~作品との出会い M.S.
<S氏コレクション 駒井哲郎PART II展>より
昨年と今年、コレクション展をさせて頂いているSです。
何か書いて欲しいと言われたのですが、作者にはその作品を作った時の発想や苦労話もあるのでしょうが、コレクターには好きな作品に出会った時の喜びや、作品を探すまでの苦労話しかありません。
昔のことを少し思い出して書いてみました。
1.《夕立》の原版、《化石(’48)》
十何年も前の週末、いまでもよく見つけたなと思うほど小さな新聞記事で駒井展を知りました。会期を見ると既に始まって一週間になる。週末だったので、あまり期待もせずに、新橋のギャラリーDというところに出掛けて見た。
普通のマンションの一室だったと思うが、ほとんどお客様もいない。しかし展示された作品を見ると、まるで、小さな美術館のようで、状態の良い初期作品がずらりと並んでいた。価格については、あまり覚えていないが、かなり高かったのかも知れない。資金のないコレクターには出会った運も生かせず、(これを不幸と言ったらしかられそうですが)良い作品が目の前にあっても何も出来ずにいました。
とりあえず、最初に目についた《夕立》の原版、価格がついてなかったので、非売なんだろうなと思いながら思いきって聞いてみた。「あの原版は売ってもらえるのですか?」しばらく間があって画廊主は「ちょっと聞いてきます」と階段を降りていった。10分くらいして戻ると「売っても良いと言っています。でも版画一点分ですが良いですか?」と申し訳なさそうに言っている。版画の原版は以前から安く見られていたのは知っていたが、駒井さんの原版がレイエされて関係者に出たのは反歌だけなのでは?と思っていたので、当然、版画一点分より高いものと思っていた。
(《夕立》の原版は2点並んで額装されており、色版に緑が残っていてとてもきれいでした。現在、展示されている形はその時のままです)
画廊主が言うには持ち主は下の階にいて、以前、駒井さんをたくさん持っていたが、売ってしまい、これが最後に残った一点だったとのこと。
そのあと、画廊主とゆっくり話していて、「他にどんな作品が好きですか」ということになり「初期の《化石》が好き」というと、思いがけず「ありますよ、今度お見せするので2~3日したら又、寄ってください」、との答え。
数日後、わくわくしながら行ってみると、出てきたのはなんとエディション1/20でした。海底のイメージや化石は後年くり返し出てくるのですが、最初のこの一点は20代の初々しさがよく出ていて、その中で一番好きな作品です。
ギャラリーDでのこの2点との出会いは、今回のコレクション展示の中でも特に思い出深いものになっています。(この作品はPART1に続き、今回も展示されていますので、前回来られなかった人にも、ぜひ、見て頂きたいと思っています)(つづく)


今回の展示風景


展示作品の詳細は出品リストをご覧ください。
******************
上掲のS氏のコレクションは非売ですが、壁面の後ろ(コピー室といっています)には、ときの忘れもののコレクションから販売できる駒井哲郎作品を展示していますので、そちらもぜひご覧になってください。

駒井哲郎「ミカレル」
1973年 銅版
21.2×10.0cm 限定60部 サインあり

駒井哲郎「恩地孝四郎頌」
1974年 アクアチント(亜鉛版)
20.7×10.0cm 限定55部 サインあり
こちらの作品の見積り請求、在庫確認はこちらから
◆ときの忘れものは、10月26日(火)~11月6日(土)「S氏コレクション 駒井哲郎PART II展」を開催しています(会期中無休)。

昨秋の第一回展では、同じ版から刷られた同じ作品を敢えて複数コレクションするという「コレクションの異端」ぶりで観る人を驚かせたS氏コレクションの二回目は「生命あるものへ」の視点を凝縮した30点を展観します。
画廊では駒井哲郎関連書籍、カタログも販売しています。
●『没後15年 銅版画の詩人 駒井哲郎回顧展』図録
●『福原コレクション 駒井哲郎作品展/未だ果てぬ夢のかたち-』図録
●『ときの忘れものアーカイブス vol.4/S氏コレクション駒井哲郎 PART I 展』
◆宮脇愛子の新作エディション『マン・レイへのオマージュ』

マン・レイの折本仕立ての「回転扉(Pain Peint)」にインスパイアーされ、宮脇愛子がマン・レイへのオマージュとして制作した新作エディション、シルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き、限定25部)をぜひご購入ください。
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<S氏コレクション 駒井哲郎PART II展>より
昨年と今年、コレクション展をさせて頂いているSです。
何か書いて欲しいと言われたのですが、作者にはその作品を作った時の発想や苦労話もあるのでしょうが、コレクターには好きな作品に出会った時の喜びや、作品を探すまでの苦労話しかありません。
昔のことを少し思い出して書いてみました。
1.《夕立》の原版、《化石(’48)》
十何年も前の週末、いまでもよく見つけたなと思うほど小さな新聞記事で駒井展を知りました。会期を見ると既に始まって一週間になる。週末だったので、あまり期待もせずに、新橋のギャラリーDというところに出掛けて見た。
普通のマンションの一室だったと思うが、ほとんどお客様もいない。しかし展示された作品を見ると、まるで、小さな美術館のようで、状態の良い初期作品がずらりと並んでいた。価格については、あまり覚えていないが、かなり高かったのかも知れない。資金のないコレクターには出会った運も生かせず、(これを不幸と言ったらしかられそうですが)良い作品が目の前にあっても何も出来ずにいました。
とりあえず、最初に目についた《夕立》の原版、価格がついてなかったので、非売なんだろうなと思いながら思いきって聞いてみた。「あの原版は売ってもらえるのですか?」しばらく間があって画廊主は「ちょっと聞いてきます」と階段を降りていった。10分くらいして戻ると「売っても良いと言っています。でも版画一点分ですが良いですか?」と申し訳なさそうに言っている。版画の原版は以前から安く見られていたのは知っていたが、駒井さんの原版がレイエされて関係者に出たのは反歌だけなのでは?と思っていたので、当然、版画一点分より高いものと思っていた。
(《夕立》の原版は2点並んで額装されており、色版に緑が残っていてとてもきれいでした。現在、展示されている形はその時のままです)
画廊主が言うには持ち主は下の階にいて、以前、駒井さんをたくさん持っていたが、売ってしまい、これが最後に残った一点だったとのこと。
そのあと、画廊主とゆっくり話していて、「他にどんな作品が好きですか」ということになり「初期の《化石》が好き」というと、思いがけず「ありますよ、今度お見せするので2~3日したら又、寄ってください」、との答え。
数日後、わくわくしながら行ってみると、出てきたのはなんとエディション1/20でした。海底のイメージや化石は後年くり返し出てくるのですが、最初のこの一点は20代の初々しさがよく出ていて、その中で一番好きな作品です。
ギャラリーDでのこの2点との出会いは、今回のコレクション展示の中でも特に思い出深いものになっています。(この作品はPART1に続き、今回も展示されていますので、前回来られなかった人にも、ぜひ、見て頂きたいと思っています)(つづく)


今回の展示風景


展示作品の詳細は出品リストをご覧ください。
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上掲のS氏のコレクションは非売ですが、壁面の後ろ(コピー室といっています)には、ときの忘れもののコレクションから販売できる駒井哲郎作品を展示していますので、そちらもぜひご覧になってください。

駒井哲郎「ミカレル」
1973年 銅版
21.2×10.0cm 限定60部 サインあり

駒井哲郎「恩地孝四郎頌」
1974年 アクアチント(亜鉛版)
20.7×10.0cm 限定55部 サインあり
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◆ときの忘れものは、10月26日(火)~11月6日(土)「S氏コレクション 駒井哲郎PART II展」を開催しています(会期中無休)。

昨秋の第一回展では、同じ版から刷られた同じ作品を敢えて複数コレクションするという「コレクションの異端」ぶりで観る人を驚かせたS氏コレクションの二回目は「生命あるものへ」の視点を凝縮した30点を展観します。
画廊では駒井哲郎関連書籍、カタログも販売しています。
●『没後15年 銅版画の詩人 駒井哲郎回顧展』図録
●『福原コレクション 駒井哲郎作品展/未だ果てぬ夢のかたち-』図録
●『ときの忘れものアーカイブス vol.4/S氏コレクション駒井哲郎 PART I 展』
◆宮脇愛子の新作エディション『マン・レイへのオマージュ』

マン・レイの折本仕立ての「回転扉(Pain Peint)」にインスパイアーされ、宮脇愛子がマン・レイへのオマージュとして制作した新作エディション、シルクスクリーン入り小冊子『Hommage a Man Ray マン・レイへのオマージュ』(DVD付き、限定25部)をぜひご購入ください。
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