スタッフSの細江英公展、飯沢耕太郎ギャラリートーク・レポート
読者の皆様こんにちは、この記事が公開される頃にはマイアミで四苦八苦しております、スタッフSこと新澤です。
今回レポートさせていただくのは、11月8日に開催した写真評論家の飯沢耕太郎先生と、先日「旭日重光章」を受賞された細江英公先生によるギャラリートークです。
トーク開始前に事務所で著作にサインする飯沢先生。
著名なお二人のギャラリートークということで多数の参加申し込みをいただきましたが、スペースの狭さ故に多くの方に涙を飲んでいただくことに。
お馴染み亭主の前語り。
今回の内容は先日の記事でも話題に挙げた1981年9月26日渋谷区松涛・ギャラリー方寸で開催した、シンポジウム瑛九第6回<細江英公フォトデッサン実技講座>について。
御年84ですがまだまだ矍鑠とされている細江先生。
飯沢先生が「細江さんが来られるか分からなかったので、トークの内容は一人語りと対談の二種類を想定していた」と打ち明けると、すかさず「じゃぁ自分は半分過ぎたところで帰るから両方やってよ」の切り替えし。
トークの内容は細江先生の生い立ちから飯沢先生が語り、そこに細江先生が補足される形で進行。
米沢生まれ、東京育ちの細江先生ですが、近所の神社を遊び場に木登り等は勿論、木を切ってしまって怒られたりと、大分腕白でいらしたご様子。お父上とその周囲が写真を嗜んでいたり、或いは写真屋であったりと子供の頃から何かと写真に縁があり、中学生になるまで神社の社務所での写真の語り合いに顔を出し、高校に上がる頃にはご自分でも撮影されるようになっていたそうです。また、大戦中は米沢へ疎開されていた細江先生ですが、この頃の体験が後の「鎌鼬」の構成に強く影響を与えていたり、後の実験映画「へそと原爆」(1960年)に活かされていたりと、とかく原体験というものが作家の成長と方向性に重要であることを教えていただきました。
トーク中の廊下。
部屋の入り口に座っているのは、細江先生の御子息で、自身も写真家の細江賢治先生。
階段はトーク開催中の社長の定位置になりつつあります。
この後も当時の在留米軍の家族宿舎だった「グラントハイツ」に英語の勉強がてら出向いた時に撮影した女児の作品《ポーディちゃん》が「富士フォトコンテスト」学生の部で最高賞を受賞したことでその気になり、元々は早稲田大学を目指していた(英語の勉強もそのためであり、結果弁論大会で優勝するほどに習熟)所を東京写真短期大学(現・東京工芸大学)に入学されたことや、そこで日本前衛美術の巨匠である瑛九からフォトグラム(瑛九自身はフォトデッサンと称する、印画紙に型紙等を置いて露光し、イメージを作る技法)を直伝されたこと、他にも瀧口修造や池田満寿夫など、その後の日本美術界を牽引した人物と知己を得て、頻繁に夜通し語り合ったことなど、一般にも知られていること飯沢先生が挙げていき、細江先生が当時の出来事や行動の裏側やご自身の所感を語ってくださるという、とても贅沢な一時間をご提供いただきました。
トーク後の集合写真。
細江先生には先日授与された旭日重光章を着けていただきました。
細江先生とときの忘れもの社長。
来場者に著書へのサインを頼まれる合間にビール片手に一休み。
3連続トークレポートの最後となる「スタッフSの植田実×今村創平ギャラリートークレポート」の公開は、12月22日(金)の予定です。3連続と言いつつ連続ではなくなってしまいましたが、今一度お付き合いいただければ幸いです。
(しんざわ ゆう)
◆<マイアミ速報>
<22時頃ホテルに戻ってきました。
着いてすぐ寝落ちしてしまい、報告メールが遅くなってしまいました。すみません。
今朝展示替えをし、正面の壁に野口さんのもう一点を掛けました。
今日は昨日に比べてだいぶ来場者が増え、昨日アートバーゼルマイアミのプレビューに行ってきたというお客様が多かったです。
夕方、葉栗さんの中品2点を購入された方、秋葉作品(F100号)を購入された方がそれぞれお見えになり、作品をお渡ししました。
昨日の帰り、変なタクシーに乗ってしまい懲りたので、今日初めてウーバーを使ってみました。
数分で車が来るし価格もタクシーより安いので、明日からも使おうと思います。
明日からマイアミも後半。
皆さんそろそろ疲れが溜まって来ているような感じです。
(12月8日14:53着 秋葉より)>

ときの忘れものは「ART MIAMI 2017」に出展しています。
会期:2017年12月5日[火]~10日[日]
ブースナンバー:A428
◆埼玉県立近代美術館の広報紙 ZOCALO の12月-1月号が発行され、次回の企画展「版画の景色 現代版画センターの軌跡」が特集されています。館内で無料配布しているほか、HPからもご覧いただけます。
◆ときの忘れものは「WARHOL―underground america」を開催します。
会期=2017年12月12日[火]―12月28日[木] ※日・月・祝日休廊

1960年代を風靡したアングラという言葉は、「アンダーグラウンドシネマ」という映画の動向を指す言葉として使われ始めました。ハリウッドの商業映画とはまったく異なる映像美を目指したジョナス・メカスやアンディ・ウォーホルの映画をいちはやく日本に紹介したのが映画評論家の金坂健二でした。金坂は自身映像作家でもあり、また多くの写真作品も残しました。没後、忘れられつつある金坂ですが、彼の撮影したウォーホルのポートレートを展示するともに、著書や写真集で金坂の疾走した60~70年代を回顧します。
会期中毎日15時よりメカス映画「this side of paradise」を上映します
1960年代末から70年代始め、暗殺された大統領の未亡人ジャッキー・ケネディがモントークのウォーホルの別荘を借り、メカスに子供たちの家庭教師に頼む。週末にはウォーホルやピーター・ビアードが加わり、皆で過ごした夏の日々、ある時間、ある断片が作品には切り取られています。60~70年代のアメリカを象徴する映像作品です。(予約不要、料金500円はメカスさんのNYフィルム・アーカイブスに送金します)。
●書籍のご案内

『版画掌誌第5号』
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別)
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。
『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
ときの忘れもので扱っています。
国立新美術館で開催中の「安藤忠雄展―挑戦―」は20万人を突破、会期も残り僅かです(12月18日[月]まで)。
展覧会については「植田実のエッセイ」と「光嶋裕介のエッセイ」を、「番頭おだちのオープニング・レポート」と合わせ読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

読者の皆様こんにちは、この記事が公開される頃にはマイアミで四苦八苦しております、スタッフSこと新澤です。
今回レポートさせていただくのは、11月8日に開催した写真評論家の飯沢耕太郎先生と、先日「旭日重光章」を受賞された細江英公先生によるギャラリートークです。
トーク開始前に事務所で著作にサインする飯沢先生。
著名なお二人のギャラリートークということで多数の参加申し込みをいただきましたが、スペースの狭さ故に多くの方に涙を飲んでいただくことに。
お馴染み亭主の前語り。今回の内容は先日の記事でも話題に挙げた1981年9月26日渋谷区松涛・ギャラリー方寸で開催した、シンポジウム瑛九第6回<細江英公フォトデッサン実技講座>について。
御年84ですがまだまだ矍鑠とされている細江先生。飯沢先生が「細江さんが来られるか分からなかったので、トークの内容は一人語りと対談の二種類を想定していた」と打ち明けると、すかさず「じゃぁ自分は半分過ぎたところで帰るから両方やってよ」の切り替えし。
トークの内容は細江先生の生い立ちから飯沢先生が語り、そこに細江先生が補足される形で進行。
米沢生まれ、東京育ちの細江先生ですが、近所の神社を遊び場に木登り等は勿論、木を切ってしまって怒られたりと、大分腕白でいらしたご様子。お父上とその周囲が写真を嗜んでいたり、或いは写真屋であったりと子供の頃から何かと写真に縁があり、中学生になるまで神社の社務所での写真の語り合いに顔を出し、高校に上がる頃にはご自分でも撮影されるようになっていたそうです。また、大戦中は米沢へ疎開されていた細江先生ですが、この頃の体験が後の「鎌鼬」の構成に強く影響を与えていたり、後の実験映画「へそと原爆」(1960年)に活かされていたりと、とかく原体験というものが作家の成長と方向性に重要であることを教えていただきました。
トーク中の廊下。部屋の入り口に座っているのは、細江先生の御子息で、自身も写真家の細江賢治先生。
階段はトーク開催中の社長の定位置になりつつあります。
この後も当時の在留米軍の家族宿舎だった「グラントハイツ」に英語の勉強がてら出向いた時に撮影した女児の作品《ポーディちゃん》が「富士フォトコンテスト」学生の部で最高賞を受賞したことでその気になり、元々は早稲田大学を目指していた(英語の勉強もそのためであり、結果弁論大会で優勝するほどに習熟)所を東京写真短期大学(現・東京工芸大学)に入学されたことや、そこで日本前衛美術の巨匠である瑛九からフォトグラム(瑛九自身はフォトデッサンと称する、印画紙に型紙等を置いて露光し、イメージを作る技法)を直伝されたこと、他にも瀧口修造や池田満寿夫など、その後の日本美術界を牽引した人物と知己を得て、頻繁に夜通し語り合ったことなど、一般にも知られていること飯沢先生が挙げていき、細江先生が当時の出来事や行動の裏側やご自身の所感を語ってくださるという、とても贅沢な一時間をご提供いただきました。
トーク後の集合写真。細江先生には先日授与された旭日重光章を着けていただきました。
細江先生とときの忘れもの社長。来場者に著書へのサインを頼まれる合間にビール片手に一休み。
3連続トークレポートの最後となる「スタッフSの植田実×今村創平ギャラリートークレポート」の公開は、12月22日(金)の予定です。3連続と言いつつ連続ではなくなってしまいましたが、今一度お付き合いいただければ幸いです。
(しんざわ ゆう)
◆<マイアミ速報>
<22時頃ホテルに戻ってきました。
着いてすぐ寝落ちしてしまい、報告メールが遅くなってしまいました。すみません。
今朝展示替えをし、正面の壁に野口さんのもう一点を掛けました。
今日は昨日に比べてだいぶ来場者が増え、昨日アートバーゼルマイアミのプレビューに行ってきたというお客様が多かったです。
夕方、葉栗さんの中品2点を購入された方、秋葉作品(F100号)を購入された方がそれぞれお見えになり、作品をお渡ししました。
昨日の帰り、変なタクシーに乗ってしまい懲りたので、今日初めてウーバーを使ってみました。
数分で車が来るし価格もタクシーより安いので、明日からも使おうと思います。
明日からマイアミも後半。
皆さんそろそろ疲れが溜まって来ているような感じです。
(12月8日14:53着 秋葉より)>

ときの忘れものは「ART MIAMI 2017」に出展しています。
会期:2017年12月5日[火]~10日[日]
ブースナンバー:A428
◆埼玉県立近代美術館の広報紙 ZOCALO の12月-1月号が発行され、次回の企画展「版画の景色 現代版画センターの軌跡」が特集されています。館内で無料配布しているほか、HPからもご覧いただけます。
◆ときの忘れものは「WARHOL―underground america」を開催します。
会期=2017年12月12日[火]―12月28日[木] ※日・月・祝日休廊

1960年代を風靡したアングラという言葉は、「アンダーグラウンドシネマ」という映画の動向を指す言葉として使われ始めました。ハリウッドの商業映画とはまったく異なる映像美を目指したジョナス・メカスやアンディ・ウォーホルの映画をいちはやく日本に紹介したのが映画評論家の金坂健二でした。金坂は自身映像作家でもあり、また多くの写真作品も残しました。没後、忘れられつつある金坂ですが、彼の撮影したウォーホルのポートレートを展示するともに、著書や写真集で金坂の疾走した60~70年代を回顧します。
会期中毎日15時よりメカス映画「this side of paradise」を上映します
1960年代末から70年代始め、暗殺された大統領の未亡人ジャッキー・ケネディがモントークのウォーホルの別荘を借り、メカスに子供たちの家庭教師に頼む。週末にはウォーホルやピーター・ビアードが加わり、皆で過ごした夏の日々、ある時間、ある断片が作品には切り取られています。60~70年代のアメリカを象徴する映像作品です。(予約不要、料金500円はメカスさんのNYフィルム・アーカイブスに送金します)。
●書籍のご案内

『版画掌誌第5号』
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別)
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)
『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。
『安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言』2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
ときの忘れもので扱っています。
国立新美術館で開催中の「安藤忠雄展―挑戦―」は20万人を突破、会期も残り僅かです(12月18日[月]まで)。
展覧会については「植田実のエッセイ」と「光嶋裕介のエッセイ」を、「番頭おだちのオープニング・レポート」と合わせ読みください。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。
●ときの忘れものは、〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました(詳しくは6月5日及び6月16日のブログ参照)。
電話番号と営業時間が変わりました。
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
営業時間=火曜~土曜の平日11時~18時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

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