【シンガポール出張−1】
浜田宏司

シンガポール・アート・ミュージアム(SAM)のファサードです。
実は、当初は昨年新しく開館したアートギャラリーに行くつもりが、タクシーの運転手が勘違いして訪問した施設ですが、棚から牡丹餅で、素晴らしい人達と出会う事が出来ました。

昔の小学校をリノベーションした瀟洒な佇まい

「TIME OF OTHERS」展開催中
昔の小学校をリノベーションした瀟洒な佇まいの美術館シンガポール・アート・ミュージアム(通称:SAM)は、シンガポールに於いて現代美術の普及に努めてきた美術館です。昨年話題となった国立のアートギャラリーの開館により、観客動員が落ち込んでいるようですが、シンガポールを訪問する際はぜひとも訪ねていただきたい美術館です。
今回偶然にも日本語でのガイドツアーに参加させていただき、日本からシンガポールに長期滞在されているボランティアガイドのチームの方々から貴重なシンガポールのアート事情をお伺いできたことが今回の出張の最大の収穫でした。
現在日本、シンガポール、オーストラリアのキュレイターが企画した展覧会「TIME OF OTHERS」が開催中で、東京での展覧会の後こちらに巡回してきたそうです。東京で見損なった展覧会を海外で見るとは。MOTでも見ておけば、展示空間が変わることによって、作品の見え方がどう変わるかを検証できたのにと、後悔しきりです。












【シンガポール出張-2】
今回の出張を決断した目的の一つが、マリーナ地区に昨年末登場した国立美術館 National Gallery Singapore(ナショナル・ギャラリー・シンガポール)の視察。

外観
最近グローバル経済とアートマーケットの共振性が様々な場面で論じられていますが、アジア圏においてはこのナショナル・ギャラリー・シンガポールと香港の “M+”(2019年開館予定)の計画が、今までにアジア圏に存在したの美術館のコンセプトやスケールを超えた枠組みでプログラムが組まれていることもあり話題を集めています。
場所は、Merlionから徒歩15分ぐらいの場所にある旧市庁舎と最高裁判所が入っていた歴史的建造物。これの二つの建築を巨大なガラスのアトリウムでつなぎ、美術館の機能をインストールし四年の歳月を経てリノベーションしたそうです。ですから、常設展示の部屋や吹き抜け空間に昔ながらの面影を残した内装がアジア諸国の巨匠の作品とされる近代絵画にマッチしていて、アジア版ルーブル美術館といった趣でしょうか?



さて、展示内容はといえば、まだ開館したばかりで展示内容が充実していないこともあり、肩すかし感があったことは否めません。まあ、何の先入観もなく、単純に東南アジアの近代絵画を鑑賞したいと思って鑑賞する分には、満足できる内容ではないでしょうか?
一刻も早く現代美術領域におけるコレクションを充実させていただきたいものです。









ナショナル・ギャラリーを訪れて、一つ得るものがありました。
それは40年代から60年代にかけての作品に、庶民の日常生活や家族をモチーフにした作品が非常に多く描いことに気づいたことです。このモチーフは韓国の美術館やアートフェアでも多く見かけます。推測するに、植民地時代及び戦禍の中で生き延びたアジアの人たちが、美術作品に対して「美しさ」とか「コンセプト」ではなく、本質的な部分で求めた平和に対する憧れを表しているのではないでしょうか?
いわゆる現代美術的な視点ではなく、こうした歴史的背景を踏まえた上で作品作品と対峙できたことは貴重な経験でした。
(はまだこうじ)
----------------------------
*画廊亭主敬白
<おはようございます。
申し訳ありませんが、今月のスタッフSの海外ネットサーフィンは、1月26日の締め切りに記事を間に合わせる事ができそうにありません。1日掲載日をズラしてください。
シンガポール・新澤>
亭主と社長はスタッフより一足先に帰国して、旅の疲れを癒し、今日はのんびりするかと思っていたところに、シンガポールのスタッフSから緊急SOS!
本日のブログで Art stage singapore のレポートを掲載する手はずだったのですが、どうも原稿どころじゃないらしい。
「終わりよければ全て良し」とはよく言ったもので、内実はどってんばったんの連続で、詳しくはスタッフSのレポートに譲りますが、ときの忘れもの海外遠征史上、最も波乱にとんだフェアでした。
出発時の大雪から始まり、作品輸送中の事故、作品破損、通訳のキャンセル、展示換え、その他、その他、ここでは書けない話も・・・
シンガポールの町のホームセンターで棚板や金具を買い求め、画材店で絵の具やボンドを探し、スタッフたちは東奔西走。幸い現地でギャラリーをやっているK氏の手厚い援助により何とか危機を乗り越えられました。
これで売上げがなかったら南極のスコット隊さながらの悲劇でした。
最後の一日は観光予定だったのですが、搬出、納品、集金等の後始末に追われてまだたいへんらしい。
ということで苦しいときの助っ人頼み。
強力助っ人浜田さんに泣きついて、浜田さんのfacebookから転載させていただきました。
最初から最後まで浜田さんにお世話になります、ありがとう。
●今日のお勧め作品はジョナス・メカスです。

ジョナス・メカス
「Nick Ray, Spring Street, New York. 1978」
1978 (Printed in 2013)
Archival inkjet prints
Image size: 34.0×22.8cm
Sheet size: 39.8×29.1cm
Ed.7 Signed
■ニコラス・レイ Nicholas(Nick) Ray(1911~1979)
アメリカ人映画監督。1950年代アメリカ映画の隠れた巨匠であり、ヌーヴェルヴァーグの作家たちから尊敬を受けた監督として知られる。代表作はジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」。
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浜田宏司

シンガポール・アート・ミュージアム(SAM)のファサードです。
実は、当初は昨年新しく開館したアートギャラリーに行くつもりが、タクシーの運転手が勘違いして訪問した施設ですが、棚から牡丹餅で、素晴らしい人達と出会う事が出来ました。

昔の小学校をリノベーションした瀟洒な佇まい

「TIME OF OTHERS」展開催中
昔の小学校をリノベーションした瀟洒な佇まいの美術館シンガポール・アート・ミュージアム(通称:SAM)は、シンガポールに於いて現代美術の普及に努めてきた美術館です。昨年話題となった国立のアートギャラリーの開館により、観客動員が落ち込んでいるようですが、シンガポールを訪問する際はぜひとも訪ねていただきたい美術館です。
今回偶然にも日本語でのガイドツアーに参加させていただき、日本からシンガポールに長期滞在されているボランティアガイドのチームの方々から貴重なシンガポールのアート事情をお伺いできたことが今回の出張の最大の収穫でした。
現在日本、シンガポール、オーストラリアのキュレイターが企画した展覧会「TIME OF OTHERS」が開催中で、東京での展覧会の後こちらに巡回してきたそうです。東京で見損なった展覧会を海外で見るとは。MOTでも見ておけば、展示空間が変わることによって、作品の見え方がどう変わるかを検証できたのにと、後悔しきりです。












【シンガポール出張-2】
今回の出張を決断した目的の一つが、マリーナ地区に昨年末登場した国立美術館 National Gallery Singapore(ナショナル・ギャラリー・シンガポール)の視察。

外観
最近グローバル経済とアートマーケットの共振性が様々な場面で論じられていますが、アジア圏においてはこのナショナル・ギャラリー・シンガポールと香港の “M+”(2019年開館予定)の計画が、今までにアジア圏に存在したの美術館のコンセプトやスケールを超えた枠組みでプログラムが組まれていることもあり話題を集めています。
場所は、Merlionから徒歩15分ぐらいの場所にある旧市庁舎と最高裁判所が入っていた歴史的建造物。これの二つの建築を巨大なガラスのアトリウムでつなぎ、美術館の機能をインストールし四年の歳月を経てリノベーションしたそうです。ですから、常設展示の部屋や吹き抜け空間に昔ながらの面影を残した内装がアジア諸国の巨匠の作品とされる近代絵画にマッチしていて、アジア版ルーブル美術館といった趣でしょうか?



さて、展示内容はといえば、まだ開館したばかりで展示内容が充実していないこともあり、肩すかし感があったことは否めません。まあ、何の先入観もなく、単純に東南アジアの近代絵画を鑑賞したいと思って鑑賞する分には、満足できる内容ではないでしょうか?
一刻も早く現代美術領域におけるコレクションを充実させていただきたいものです。









ナショナル・ギャラリーを訪れて、一つ得るものがありました。
それは40年代から60年代にかけての作品に、庶民の日常生活や家族をモチーフにした作品が非常に多く描いことに気づいたことです。このモチーフは韓国の美術館やアートフェアでも多く見かけます。推測するに、植民地時代及び戦禍の中で生き延びたアジアの人たちが、美術作品に対して「美しさ」とか「コンセプト」ではなく、本質的な部分で求めた平和に対する憧れを表しているのではないでしょうか?
いわゆる現代美術的な視点ではなく、こうした歴史的背景を踏まえた上で作品作品と対峙できたことは貴重な経験でした。
(はまだこうじ)
----------------------------
*画廊亭主敬白
<おはようございます。
申し訳ありませんが、今月のスタッフSの海外ネットサーフィンは、1月26日の締め切りに記事を間に合わせる事ができそうにありません。1日掲載日をズラしてください。
シンガポール・新澤>
亭主と社長はスタッフより一足先に帰国して、旅の疲れを癒し、今日はのんびりするかと思っていたところに、シンガポールのスタッフSから緊急SOS!
本日のブログで Art stage singapore のレポートを掲載する手はずだったのですが、どうも原稿どころじゃないらしい。
「終わりよければ全て良し」とはよく言ったもので、内実はどってんばったんの連続で、詳しくはスタッフSのレポートに譲りますが、ときの忘れもの海外遠征史上、最も波乱にとんだフェアでした。
出発時の大雪から始まり、作品輸送中の事故、作品破損、通訳のキャンセル、展示換え、その他、その他、ここでは書けない話も・・・
シンガポールの町のホームセンターで棚板や金具を買い求め、画材店で絵の具やボンドを探し、スタッフたちは東奔西走。幸い現地でギャラリーをやっているK氏の手厚い援助により何とか危機を乗り越えられました。
これで売上げがなかったら南極のスコット隊さながらの悲劇でした。
最後の一日は観光予定だったのですが、搬出、納品、集金等の後始末に追われてまだたいへんらしい。
ということで苦しいときの助っ人頼み。
強力助っ人浜田さんに泣きついて、浜田さんのfacebookから転載させていただきました。
最初から最後まで浜田さんにお世話になります、ありがとう。
●今日のお勧め作品はジョナス・メカスです。

ジョナス・メカス
「Nick Ray, Spring Street, New York. 1978」
1978 (Printed in 2013)
Archival inkjet prints
Image size: 34.0×22.8cm
Sheet size: 39.8×29.1cm
Ed.7 Signed
■ニコラス・レイ Nicholas(Nick) Ray(1911~1979)
アメリカ人映画監督。1950年代アメリカ映画の隠れた巨匠であり、ヌーヴェルヴァーグの作家たちから尊敬を受けた監督として知られる。代表作はジェームス・ディーン主演の「理由なき反抗」。
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