スタッフSの海外ネットサーフィン No.59
「Again, again it all comes back to me in brief glimpses」
MMCA Seoul


 読者の皆様こんちにわ、2月ももう終わり、暦の上では春に近付きつつあるものの、折につけて寒さが吹き返す今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。流石にこの時期はシャツの上にセーターとジャケットを着込んでおります(シャツは変わらず半袖)スタッフSこと新澤です。

 本日の記事では、現在韓国・ソウルのMMCA(Museum of Modern and Contemporary Art/国立現代美術館)ソウル館で開催中のジョナス・メカス回顧展「Again, again it all comes back to me in brief glimpses」をご紹介します。

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20180226_mekas_mmca_seoul MMCAは1969年にソウルの景福宮内で開館し、1986年にソウル大公園に移転(現・国立現代美術館果川館)。分館として1998年に徳寿宮美術館(現・国立現代美術館徳寿宮館)を開館。2013年11月13日には、ソウル都心の景福宮近くに国立現代美術館ソウル館を開館させ、現在は忠清北道清州市に国立現代美術館清州館を建設中。これらの本館と3つの分館はそれぞれが異なる役割を明確にしており、大元の果川館は韓国の現代美術、徳寿宮館は20世紀初頭の韓国の近代美術、清州館は保管および修復を中心とする予定となっており、今回の回顧展が開催されているソウル館は、21世紀の今現在制作されている美術作品、およびメディアアートなど新しい形式の作品を取り扱っています。

 このソウル館で昨年11月から来月4日まで開催されている「Again, again it all comes back to me in brief glimpses」は、2015年に開催されたフィリップ・ガレル展に続く、現代映画史においてユニークな作品世界を生み出した作家監督の作品を展示として再構成することを目指した企画の第二弾で、実験映画の巨匠であるジョナス・メカスのアジア初の大規模回顧展です。

20180226_mekas_mmca_seoul2Installation view: Again, Again It All Comes Back to Me in Brief Glimpses, 2017
Courtesy: the artist

20180226_mekas_mmca_seoul4Installation view: Again, Again It All Comes Back to Me in Brief Glimpses, 2017
Courtesy: the artist

20180226_mekas_mmca_seoul3Jonas Mekas, Summer Manifesto, 2006
Courtesy: the artist

 展示内容はメカスの代名詞である映像日記を含む60余編のフィルムと40余編のビデオ作品、2000年代以後のインスタレーション作品は勿論、作者が創刊した『フィルムカルチャー』をはじめとする映画雑誌、各種書籍、写真などの資料まで網羅しています。



MMCA公式ページ(日本語)
展覧会紹介ページ(日本語)

 開催期間は残り1週間と僅かですが、今週中に韓国に行く予定がある方は、是非お出かけください。

そして韓国には行く予定がない方のための重要ニュース、埼玉県立近代美術館でメカスさんの映画の上映会が開催されます。
【特別イベント】上映会 ジョナス・メカス監督作品「ウォールデン」
ただいま開催中の「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展の出品者でもあるジョナス・メカスの代表作「ウォールデン」。自在のカメラワークと情感豊かな詩情に満ちた本作は、「日記映画」というジャンルを生み出した記念碑的作品であり、メカスが身を置いた1960年代のニューヨークのアートシーンのポートレートでもあります。
日時:3月2日 (金)、3日(土)、4日(日) 各 13:00~16:00 (12:30開場)
※各日、10:00から、1階総合案内・受付で入場整理券を配布します(1人あたり1枚まで)。
 12:30から、整理券の番号順に会場にお入りいただきます。
場所:埼玉県立近代美術館2階講堂
定員:100名 (当日先着順)、自由席/費用:無料

(しんざわ ゆう)

JONAS MEKAS(ジョナス・メカス)
1922年12月24日リトアニアのセメニスキアイの農家に生まれる。1936年初めての詩集を出版。1940・42年ソ連軍(赤軍)、ナチス・ドイツのリトアニア占領。反ナチ新聞の発行が発覚し、強制収容所に送られる。1945年収容所を脱走、難民キャンプを転々とするが、マインツ大学で哲学を学ぶ。1949年ハンブルク港から出航、アメリカ・ブルックリンに移り住む。1950年様々な仕事をしながら、当時住んでいたウィリアムズバーグやリトアニア系移民を撮り始める。1954年『フィルム・カルチャー』誌を発行。1955年詩集「セメニスキウ・イディレス」第2版がヴィンカス・クレーヴ詩賞を受ける。1958年『ヴィレッジ・ヴォイス』誌に「ムービー・ジャーナル(映画日記)」を連載、後に出版(76年まで継続)。「ニュー・アメリカン・シネマ・グループ」の設立に協力、60年設立。1961年「フィルムメーカーズ・コーペラティブ(映画作家協同組合)」を組織。1964年「フィルムメーカ一ズ・シネマテーク」を組織。1965年『営倉』(1964年、68分)がヴェネツィア映画祭ドキュメンタリー部門で最優秀賞受賞。1968年ユダヤ博物館のフィルム・キュレーターを務める(~71年)。1969年アンソロジー・フィルム・アーカイブスの設立準備を開始。1971年夏、リトアニアを訪問。1975年ベルリン映画祭、ロンドン映画祭、アムステルダム映画祭参加。1983年アンソロジー・フィルム・アーカイブス設立計画アピールのために初来日。原美術館他で「アメリカ現代版画と写真展―ジョナス・メカスと26人の仲間たち」開催。初のシルクスクリーンによる版画を制作。1989年アンソロジー・フィルム・アーカイブス開館。1991年・96年来日。1999年パリ・ギャラリ・ドゥ・アニエスで「JONAS MEKAS―“this side of paradise”fragmentof an unfinished biography」展を開催。2000年「ジョナス・メカス映像展―[thisside of paradise]」が愛知芸術文化センター他で開催。

20180226_mekas_mmca_seoulジョナス・メカス Jonas MEKAS
"Andy Warhol at Montauk, 1971"

2000年
C-print
30.5×20.2cm
Ed.10
signed
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ときの忘れものの通常業務は平日の火曜~土曜日です。日曜、月曜、祝日はお問い合わせには返信できませんので、予めご了承ください。

◆埼玉県立近代美術館で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が開催されています。現代版画センターと「ときの忘れもの」についてはコチラをお読みください。
詳細な記録を収録した4分冊からなるカタログはお勧めです。ときの忘れもので扱っています。
会期:2018年1月16日(火)~3月25日(日)
埼玉チラシAY-O600現代版画センターは会員制による共同版元として1974年~1985年までの11年間に約80作家、700点のエディションを発表し、全国各地で展覧会、頒布会、オークション、講演会等を開催しました。本展では45作家、280点の作品と、機関誌等の資料、会場内に設置した三つのスライド画像によりその全軌跡を辿ります。

○<『版画の景色ー現代版画センターの軌跡』。圧倒的な情報量と未整理なまま投げ出された作品に、まともに歩けやしない。複製の海を表現しているのだろうか、だとしたら気が違っている。日曜日のほのぼのとした親子連れが景色に刷り込まれる!素晴らしい展示と印刷物です。
(20180218/soukimurA‏ さんのtwitterより)>

○<「版画の景色 現代版画センターの軌跡」at埼玉県立近代美術館 展示作、一番有名な人はウォーホルだろうがチラシはジョナス・メカスのものが一番減っていて売店の本もメカス関連が残り1冊だけだったのは、映画好きの行動としてはわかりやすいw資料コーナーで、片岡義男の鈴木英人推奨文を読み俺得
(20180218/Kakkine Sato / 佐藤柿杵さんのtwitterより)>

○<現代版画センター(1974-1985)の活動ドキュメント。斬新でユニークでカッコイイ作品が並ぶ。メイドイン日本のウォーホル作品を作ること、巨大地下空間や日本各地でその展示を開く流れで締めるあたり感慨深いです…
(20180220/sjwnさんのtwitterより)>

○<埼玉県立近代美術館の 版画の景色展行ってきました。磯崎新がよかった。やはり建築家が好きみたい。アンディ・ウォーホルのkiku柄で浴衣欲しいなー。チビ助はオランウータンで喜んでたけど。加山又造のレースと織柄に見惚れてきました。
(20180217/川浮くらげさんのtwitterより)>

○<埼玉県立近代美術館にて『版画の景色』を鑑賞。ウォーホールの菊の作品を観てみたかったので嬉しい。当時の地下での展示で観てみたかったなー。空間と作品はやはり作用すると思う。そうゆう意味では、ここでのアルミ板を背景にして展示しているのも素敵だったな。
(20180218/wattchu‏ さんのtwitterより)>

西岡文彦さんの連載エッセイ「現代版画センターという景色が始まりました(1月24日、2月14日、3月14日の全3回の予定です)。草創期の現代版画センターに参加された西岡さんが3月18日14時半~トークイベント「ウォーホルの版画ができるまでー現代版画センターの軌跡」に講師として登壇されます。

光嶋裕介さんのエッセイ「身近な芸術としての版画について(1月28日ブログ)

荒井由泰さんのエッセイ「版画の景色―現代版画センターの軌跡展を見て(1月31日ブログ)

スタッフたちが見た「版画の景色」(2月4日ブログ)

毎日新聞2月7日夕刊の美術覧で「版画の景色 現代版画センターの軌跡」展が紹介されました。執筆は永田晶子さん、見出しに<「志」追った運動体>とあります。

倉垣光孝さんと浪漫堂のポスター(2月8日ブログ)

嶋﨑吉信さんのエッセイ~「紙にインクがのっている」その先のこと(2月12日ブログ)

大谷省吾さんのエッセイ~「版画の景色-現代版画センターの軌跡」はなぜ必見の展覧会なのか(2月16日ブログ)

塩野哲也さんの編集思考室シオング発行のWEBマガジン[ Colla:J(コラージ)]2018 2月号が展覧会を取材し、87~95ページにかけて特集しています。

○埼玉県立近代美術館の広報誌 ソカロ87号1983年のウォーホル全国展が紹介されています。

○同じく、同館の広報誌ソカロ88号には栗原敦さん(実践女子大学名誉教授)の特別寄稿「現代版画センター運動の傍らでー運動のはるかな精神について」が掲載されています。

現代版画センターエディション(番外)ジョナス・メカス「京子の7才の誕生日(オノ・ヨーコの愛娘)1970」
現代版画センターのエディション作品を展覧会が終了する3月25日まで毎日ご紹介します。
メカス「京子」シルクジョナス・メカス Jonas MEKAS
京子の7才の誕生日(オノ・ヨーコの愛娘)1970
1983年  
シルクスクリーン(刷り:岡部徳三)
36.5×24.0cm
Ed.75 サインあり
*現代版画センターとジョナス・メカス展実行委員会との共同エディション
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パンフレット_05
出品作家45名:靉嘔/安藤忠雄 /飯田善国/磯崎新/一原有徳/アンディ・ウォーホル/内間安瑆/瑛九/大沢昌助/岡本信治郎/小田襄/小野具定/オノサト・トシノブ/柏原えつとむ/加藤清之/加山又造/北川民次/木村光佑/木村茂/木村利三郎/草間彌生/駒井哲郎/島州一/菅井汲/澄川喜一/関根伸夫/高橋雅之/高柳裕/戸張孤雁/難波田龍起/野田哲也/林芳史/藤江民/舟越保武/堀浩哉 /堀内正和/本田眞吾/松本旻/宮脇愛子/ジョナス・メカス/元永定正/柳澤紀子/山口勝弘/吉田克朗/吉原英雄

●書籍のご案内
版画掌誌5号表紙600
版画掌誌第5号
オリジナル版画入り美術誌
ときの忘れもの 発行
特集1/ジョナス・メカス
特集2/日和崎尊夫
B4判変形(32.0×26.0cm) シルクスクリーン刷り
A版ーA : 限定15部 価格:120,000円(税別) 
A版ーB : 限定20部 価格:120,000円(税別)
B版 : 限定35部 価格:70,000円(税別)


TAKIGUCHI_3-4『瀧口修造展 III・IV 瀧口修造とマルセル・デュシャン』図録
2017年10月
ときの忘れもの 発行
92ページ
21.5x15.2cm
テキスト:瀧口修造(再録)、土渕信彦、工藤香澄
デザイン:北澤敏彦
掲載図版:65点
価格:2,500円(税別) *送料250円
*『瀧口修造展 I』及び『瀧口修造展 II』図録も好評発売中です。


安藤忠雄の奇跡安藤忠雄の奇跡 50の建築×50の証言
2017年11月
日経アーキテクチュア(編)
B5判、352ページ
価格:2,700円(税別) *送料:250円
ときの忘れもので扱っています。
亭主もインタビューを受け、1984年の版画制作始末を語りました。
日経アーキテクチュア編集長のコラム<建築家・安藤忠雄氏の言葉の力:第3回>で、出江寛先生、石山修武先生の次に紹介されています。
ときの忘れものでは1984年以来の安藤忠雄の版画、ドローイング作品をいつでもご覧になれます。


◆スタッフSの「海外ネットサーフィン」は毎月26日の更新です。

●ときの忘れものは昨年〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS に移転しました。TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531
20170707_abe06新天地の駒込界隈についてはWEBマガジン<コラージ12月号>をお読みください。18~24頁にときの忘れものが特集されています。
2018年から営業時間を19時まで延長します。
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。