スタッフMJの「アートフェア東京2024」参加レポート
2024年3月7日(木)~ 3月10日(月)まで東京国際フォーラムで開催されたART FAIR TOKYO 2024についてご報告いたします。
公式サイト: https://artfairtokyo.com/
出品作家:倉俣史朗、佐藤研吾、葉栗剛
今回最も設営に苦労したのが、佐藤研吾先生が今回のアートフェアのために制作してくださった立体作品《仮面と連担》(5台組)。
佐藤研吾《仮面と連担》
高さ170cmの鉄製作品は、動かすには1体ごとに2~3人の人出が必要です。当日は佐藤先生ご自身が2トントラックで会場に搬入してくださいました。佐藤先生の多才さに驚くスタッフ一同。
搬入のトラックを運転する佐藤研吾先生
葉栗剛先生の作品は、今回は約30cm~100cmの小中品が3体。最も小ぶりな〈男気〉《虚》を箱から取り出す際には、赤子を抱くかのような愛おしさを覚えます。
佐藤研吾先生の鉄の立体と葉栗先生の木彫、どちらも喧嘩しないような位置関係にスタッフ一同頭を悩ませますが、隆々とした広い背中とそれを覆うのびやかな紋々は必見!ということで、裏手にもぐるりと回りこめる配置に決定しました。
葉栗剛〈男気〉《煙》(左)と〈男気〉《虚》(右)
彩色はお弟子さんの長崎美希先生が担当されました。
それぞれに個性的な背中のタトゥー。柄については葉栗先生からは指定せず、長崎先生の感性にお任せしているのだとか。師弟の信頼関係によってできた作品です。
《倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier 4》も今回のアートフェアで初お披露目。平面作品なので、他の立体作品と比べ軽量で設置も楽勝!かと思いきや、立体作品と調和する位置が中々見つからず。。アルバイトの現役美大生Tさんによる素早い配置変更により、どうにかバランスのとれた位置関係に収まりました。深謝。
《倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier 4》と"Flower Vase #1302"(中央)


日付変わって3月7日(木)、アートフェア東京広しと言えども、佐藤研吾先生の《仮面と連担》のような鉄製の巨大立体物は類を見ないものでした。これは一体、、?と多くの人が戸惑いを浮かべながらブースに立ち寄ってくださいます。
作品コンセプトをご説明すると、皆さん興味深々とばかり聞いてくださいます。
《仮面と連担》上部には、黒い立方体のピンホールカメラが設置されおり、事前撮影した会場に展示している写真に驚かれる方も多くいらっしゃいました。
ピンホールカメラ内部。箱の背面に印画紙をセットし、正面に空けた小さな穴(ピンホール)から露光させて撮影します。

事前に撮影いただいた写真(〈窓はないわけではない〉シリーズ)と《連担のための仮面》
佐藤研吾先生は会期を通してブースに滞在、大変頼もしい存在でした。
会期中にピンホールカメラで撮影した写真は、会場の駐車場に停めた車の中で現像されています。
梅津元先生(左)と佐藤研吾先生、ファッションに注目!
スタッフ加畑(右端)とお客様
倉俣カイエは今回で4集目となりますが、いつもながら弩級のスケッチ再現度です。手描き作品と勘違いされる方も多く、シルクスクリーンであることをご説明すると一様に驚かれます。

スタッフ松下・加畑とお客様
ちなみに、今回ブースにもお越しになった倉俣史朗夫人・美恵子様によると、歴代カイエの中で最大の多色刷り作品《142. テーブルと引き出しダンス》(34色35度刷り!)のテーブルは、量産こそされていないものの試作品は作られていたそうです。
《倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier 4》より《142. テーブルと引き出しダンス》
後日倉俣美恵子様からお送りいただいたテーブルの試作品の写真(『室内 No.372』(工作社、1985年)より)。層ごとに色が異なるユニークで美しいテーブルです。量産化されていないのが残念、、!
葉栗作品は去年の2m作品のインパクトを覚えてくださっている方が多くいらっしゃいました。タトゥーのペインティングは本物の彫り師の方によるものですか?と度々お尋ねいただきましたが、こちらは葉栗先生のお弟子さんで木彫家の長崎美希先生が担当されていますのでご安心ください(笑)

道行く人々の注目を攫う葉栗作品。
葉栗先生と、長崎先生ご夫妻。
お客様と葉栗先生。
〈男気〉《天狗》のお面は着脱可能。その下からは意外にも微笑みを浮かべた穏やかな表情が現れ、雄々しい身体とのギャップに心打たれる方も多いです。葉栗先生曰く、以前は厳しい表情が多かったそうですが、身体の雄々しさ・威圧感とのバランスを取るため、最近では意識的に少し緩めた表情を作ることが多いのだそうです。
〈男気〉《天狗》、お面の下の優しい表情。
さて、私は今回アートフェア東京には初参加でしたが、他の国内外のフェアに比べ、日本の古美術の割合が高いということが印象的でした。日本の歴史が長く、昔から保存技術も高かったことの現れであるとも思いますが、一方で国内で近現代美術を扱うギャラリーが少なく、この分野が未成熟であることも示してるのかもしれないと感じました。ときの忘れものでは、今後も日本の近現代作家に注力し、この分野をもっと盛り上げていきたと決意を新たにしました。

以上、ART FAIR TOKYO 2024からのご報告でした。
ときの忘れものでは、今年中に佐藤研吾第3回個展を開催予定です。《仮面と連担》を見て興味を持たれた方は、是非こちらにもお立ち寄りください。
●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

2024年3月7日(木)~ 3月10日(月)まで東京国際フォーラムで開催されたART FAIR TOKYO 2024についてご報告いたします。
公式サイト: https://artfairtokyo.com/
出品作家:倉俣史朗、佐藤研吾、葉栗剛
今回最も設営に苦労したのが、佐藤研吾先生が今回のアートフェアのために制作してくださった立体作品《仮面と連担》(5台組)。
佐藤研吾《仮面と連担》 高さ170cmの鉄製作品は、動かすには1体ごとに2~3人の人出が必要です。当日は佐藤先生ご自身が2トントラックで会場に搬入してくださいました。佐藤先生の多才さに驚くスタッフ一同。
搬入のトラックを運転する佐藤研吾先生葉栗剛先生の作品は、今回は約30cm~100cmの小中品が3体。最も小ぶりな〈男気〉《虚》を箱から取り出す際には、赤子を抱くかのような愛おしさを覚えます。
佐藤研吾先生の鉄の立体と葉栗先生の木彫、どちらも喧嘩しないような位置関係にスタッフ一同頭を悩ませますが、隆々とした広い背中とそれを覆うのびやかな紋々は必見!ということで、裏手にもぐるりと回りこめる配置に決定しました。

葉栗剛〈男気〉《煙》(左)と〈男気〉《虚》(右)
彩色はお弟子さんの長崎美希先生が担当されました。
それぞれに個性的な背中のタトゥー。柄については葉栗先生からは指定せず、長崎先生の感性にお任せしているのだとか。師弟の信頼関係によってできた作品です。《倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier 4》も今回のアートフェアで初お披露目。平面作品なので、他の立体作品と比べ軽量で設置も楽勝!かと思いきや、立体作品と調和する位置が中々見つからず。。アルバイトの現役美大生Tさんによる素早い配置変更により、どうにかバランスのとれた位置関係に収まりました。深謝。

《倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier 4》と"Flower Vase #1302"(中央)


日付変わって3月7日(木)、アートフェア東京広しと言えども、佐藤研吾先生の《仮面と連担》のような鉄製の巨大立体物は類を見ないものでした。これは一体、、?と多くの人が戸惑いを浮かべながらブースに立ち寄ってくださいます。

作品コンセプトをご説明すると、皆さん興味深々とばかり聞いてくださいます。
《仮面と連担》上部には、黒い立方体のピンホールカメラが設置されおり、事前撮影した会場に展示している写真に驚かれる方も多くいらっしゃいました。
ピンホールカメラ内部。箱の背面に印画紙をセットし、正面に空けた小さな穴(ピンホール)から露光させて撮影します。
事前に撮影いただいた写真(〈窓はないわけではない〉シリーズ)と《連担のための仮面》
佐藤研吾先生は会期を通してブースに滞在、大変頼もしい存在でした。
会期中にピンホールカメラで撮影した写真は、会場の駐車場に停めた車の中で現像されています。
梅津元先生(左)と佐藤研吾先生、ファッションに注目!
スタッフ加畑(右端)とお客様倉俣カイエは今回で4集目となりますが、いつもながら弩級のスケッチ再現度です。手描き作品と勘違いされる方も多く、シルクスクリーンであることをご説明すると一様に驚かれます。

スタッフ松下・加畑とお客様
ちなみに、今回ブースにもお越しになった倉俣史朗夫人・美恵子様によると、歴代カイエの中で最大の多色刷り作品《142. テーブルと引き出しダンス》(34色35度刷り!)のテーブルは、量産こそされていないものの試作品は作られていたそうです。
《倉俣史朗 Shiro Kuramata Cahier 4》より《142. テーブルと引き出しダンス》
後日倉俣美恵子様からお送りいただいたテーブルの試作品の写真(『室内 No.372』(工作社、1985年)より)。層ごとに色が異なるユニークで美しいテーブルです。量産化されていないのが残念、、!葉栗作品は去年の2m作品のインパクトを覚えてくださっている方が多くいらっしゃいました。タトゥーのペインティングは本物の彫り師の方によるものですか?と度々お尋ねいただきましたが、こちらは葉栗先生のお弟子さんで木彫家の長崎美希先生が担当されていますのでご安心ください(笑)

道行く人々の注目を攫う葉栗作品。
葉栗先生と、長崎先生ご夫妻。
お客様と葉栗先生。〈男気〉《天狗》のお面は着脱可能。その下からは意外にも微笑みを浮かべた穏やかな表情が現れ、雄々しい身体とのギャップに心打たれる方も多いです。葉栗先生曰く、以前は厳しい表情が多かったそうですが、身体の雄々しさ・威圧感とのバランスを取るため、最近では意識的に少し緩めた表情を作ることが多いのだそうです。
〈男気〉《天狗》、お面の下の優しい表情。さて、私は今回アートフェア東京には初参加でしたが、他の国内外のフェアに比べ、日本の古美術の割合が高いということが印象的でした。日本の歴史が長く、昔から保存技術も高かったことの現れであるとも思いますが、一方で国内で近現代美術を扱うギャラリーが少なく、この分野が未成熟であることも示してるのかもしれないと感じました。ときの忘れものでは、今後も日本の近現代作家に注力し、この分野をもっと盛り上げていきたと決意を新たにしました。

以上、ART FAIR TOKYO 2024からのご報告でした。
ときの忘れものでは、今年中に佐藤研吾第3回個展を開催予定です。《仮面と連担》を見て興味を持たれた方は、是非こちらにもお立ち寄りください。
●ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
〒113-0021 東京都文京区本駒込5丁目4の1 LAS CASAS
TEL: 03-6902-9530、FAX: 03-6902-9531 E-mail:info@tokinowasuremono.com
http://www.tokinowasuremono.com/
営業時間=火曜~土曜の平日11時~19時。日・月・祝日は休廊。
JR及び南北線の駒込駅南口から約8分です。

コメント