細江英公先生が亡くなられました(9月16日死去、91歳)。
私たちが現代版画センターをつくったのが1974年、初めて巡り会った作家のうち靉嘔先生と細江先生は瑛九らがつくったデモクラートの仲間でした。お二人はその後の50年間、ずっと私たちを支えてくださいました。
細江先生が初めて機関誌『画譜』に寄稿して下さったのは1974年5月「写真家からのお願い」と題したエッセイでした。
ブログで「細江英公」を検索すると600件を超します。全部はご紹介できないので、いくつか抜粋します。

●1981年9月26日「第6回 シンポジウム・瑛九<細江英公フォトデッサン実技講座>
会場:渋谷・ギャラリー方寸
1981年9月26日G方寸細江英公1
懐中電灯を手に瑛九のフォト・デッサン制作方法を語る細江先生(当時48歳)、右端の横縞シャツの少年は長男の細江賢治さん
1981年9月26日G方寸細江英公2瑛九直伝のフォト・デッサンの制作を公開講義


●2001年7月31日
「内間安瑆・俊子ご夫妻を偲ぶ会」於・青山金華飯店
内間安瑆_偲ぶ会_05左から瀬木慎一先生、細江英公先生、三木多聞先生、社長

細江先生がいつもおっしゃっていたのは、
「ワタヌキさん、人が集まったら必ず記念写真を撮りなさい、きちんとポーズをとってね」

細江先生の教えのおかげさまでたくさんの記念写真が残っています。

●2006年12月6日「草間彌生展
林洋子先生(現・兵庫県立美術館館長)のギャラリートークの最中に細江先生が予告もなく来廊され(林先生が思わずビビった)、トーク終了後に記念撮影。
一枚目は全員笑顔で、そして二枚目は細江先生の指示で全員が「目をつむる
20061206草間GT061202e集合写真

DSCF8480草間GT061202f眼をつむる

20061206草間GT061202i細江

細江先生は私たちの教師であり、また大事な顧客(パトロン)でもありました。
2008年10月「五味彬写真展 "Yellows 1.0"」と翌11月の「植田正治写真展ー砂丘劇場」は私たちが苦手だった写真分野に挑んだ企画展でしたが、五味、植田の代表作をためらうことなく購入してくださったのは細江先生でした。
かつては売れなかった瑛九も、草間彌生も買ってくださり、何度救われたことでしょうか。
細江コレクションだけで私たちの50年展が開催できます。

●2007年3月16日「細江英公『春本・浮世絵うつし』オリジナル・プリント展
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細江先生からオープニングパーティーでサプライズを用意していることを知らされ、舞踏家の小林嵯峨さんが階段で舞踏を見せてくださいました。急遽、ヨシダ・ヨシエさんとのトークも繰り広げられ、熱い夜となりました。

●2009年12月19日「細江英公写真展 新版・鎌鼬
ギャラリートークで参加者を撮る細江先生
20091219細江展カメラを向ける細江先生200912


●2010年10月13日「マン・レイと宮脇愛子展
磯崎新先生(中央)とカイ・ファルクマンさん(左、スウェーデン俳句協会会長、外交官)を撮る細江先生
20101013マンレイと宮脇展


●2011年2月25日「細江英公氏の文化功労者顕彰を祝う会」
20110225細江英公祝賀会社長新宿の京王プラザホテルで和服の細江英公先生と社長

記念写真の重要性を力説された細江先生の代表作でもある「1970年3月30日」もご紹介しましょう。
20171102
東北を舞台に舞踏家の土方巽を撮った《鎌鼬》で芸術選奨文部大臣賞を受賞された細江先生は関係者を招いて赤坂プリンスホテルでお礼の宴を開きます。細江先生の指示で、全員あらぬ方を見ていますが、ただひとり瀧口修造先生だけは指示に逆らって(というか無視して)カメラのレンズを見つめています。
後列左から、加藤郁乎横尾忠則高橋睦郎田中一光川仁宏種村季弘
前列左から、澁澤龍彦土方巽瀧口修造細江英公三好豊一郎

●2011年3月18日「細江英公写真展 写真絵巻とフレスコ画の時を越えた出会い~イタリア・ルッカ
P1090914

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2009年にイタリアの小都市ルッカにある16世紀に建てられたヴィラ・ボッティーニで「細江英公写真展」が開催されました。その展示風景を見せていただき、会場の光景に感銘を受けてプリントしていただいた写真展です。


●2013年6月7日「6月の画廊コレクション展~9人の作家たち
正装の細江先生がぶらりと来廊されたことがありました。
DSCF7290

社長「先生、どうしたんですか」
細江「いやね、根津美術館でオランド大統領のパーティがあってさ、さっき終わったんで歩いて君のところまで来たんだ。不思議なパーティでね、フランスだっていうのに、ワインも何も出ないんだ」
社長「えっ、それじゃあ何が出たんですか」
細江「ジュースと水だよ」
社長「わっ、お気の毒でした。それじゃあ、先日Tさんからいただいたワインがありますから、お出ししましょう」

前年体調を崩され、お医者さまからお酒は禁じられていたらしい細江先生、どうもそれが解除されたらしく、ぐいぐいとワインをめしあがる。
亭主「先生、そんなに飲んだら酔っぱらいちゃいますよ」
細江「そうお、でもさっきは何も出なかったからなあ(と大統領の招宴になおもご不満そう)」
ワインがそろそろ空っぽになり、お顔に赤みがさしてきたころ野田哲也先生が来廊されパチリ。


●2014年10月8日「細江英公写真展 -ガウディの宇宙-
CIMG6058展覧会には必ずカメラを持参され、展示風景をご自身で撮影されていました。この日も恒例の集合写真。


●2017年10月31日「細江英公写真展
青山から駒込に移転して初めての細江英公写真展のオープニングの記念写真。細江先生の指示で二階から三階への階段に上れるだけ上がっていただきました。   
細江展記念写真20171031

●2017年11月8日
「旭日重光章」を受章された細江先生と写真評論家の飯沢耕太郎先生のギャラリートーク。
胸には旭日重光章を着けていただきました。
20171108細江飯沢GT_13

●2019年11月2日「第2回久保貞次郎の会
ライトの自由学園明日館を見学し、目白駅前のレストラン ラ・ムジカで細江先生と栗田秀法先生の対談と会食を楽しみました。このときが最後の記念写真となりました。
2-28 第2部 集合写真

細江先生 50年間、ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈りいたします。

20240926184820_00001

1974年05月30日|細江英公「写真家からのお願い」
2011年03月10日|細江英公「写真絵巻とフレスコ画の時を越えた出会い~イタリア・ルッカ」
2014年10月12日|細江英公<「ガウディ」の肉体と霊性>
2022年07月06日|細江英公「仮説の証明」(再録)

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ときの忘れものの建築空間についてはWEBマガジン<コラージ2017年12月号18~24頁>に特集されています。
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