ときの忘れもの 今月のお勧め
■2014年05月20日(火)  ジョン・ケージ "Fontana Mix (Light Grey)"
cage_01_Fontana-Mix.jpg 600×472 82Kジョン・ケージ
"Fontana Mix"(Light Grey)
1982
シルクスクリーン、紙フィルム4枚組
Image size: 50.0×70.0cm
Sheet size: 56.5×76.5cm
Ed.97
鉛筆サインあり
刷り:岡部徳三

今回ご紹介するのはジョン・ケージの作品です。
音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家とさまざまな貌をもつジョン・ミルトン・ケージ・ジュニア(John Milton Cage Jr.、1912年9月5日〜1992年8月12日)が制作した希少な版画作品は実は日本でつくられました。
プロデュースしたのは名人刷り師・岡部徳三さんです。
実験音楽家としてジョン・ケージは前衛芸術全体に大きな影響を与え、独特の音楽論や表現によって、音楽の定義をひろげた20世紀の巨人といっていいでしょう。「沈黙」をも含めたさまざまな素材を作品や演奏に用いており、代表的な作品に『4分33秒』があります。

岡部さんが刷ったこの作品、図版だけではよくわからないでしょう。
まるでジョン・ケージの楽譜のような複雑さですが、この作品は4つのパーツから成り立っています。

1)一番下側の紙(56.2×76.5cm)には、曲線が刷られています。
紙の上に3枚の透明なフィルムが重ねてあります。
それぞれサイズが違うので、セッティングの仕方で、絵柄が変化します。

2)大きいフィルム(56.5×76.0cm)には水玉が刷られています。
3)中サイズのフィルム(23.0×74.0cm)には格子縞が刷られています。
4)小サイズのフィルム(6.0×79.0cm)には直線が刷られています。

つまり、1)の紙と2)の大判フィルムはほぼ同じサイズですので、セッティングしても皆同じですが、
3)と4)はそれぞれ細長いので、セッティング(置き方)の仕方で、見え方が違ってくるわけです。
ジョン・ケージの音楽を思わせる版画作品です。


ジョン・ケージ John CAGE(1912-1992)
1912年アメリカ、ロサンゼルスに生まれる。ロサンゼルスのハイスクールを優秀な成績で卒業し、クレアモントのポモナ・カレッジに入学するが、学業に興味を失い渡欧の計画を立てる。1930年パリで建築家エルノ・ゴールドフィンガーに建築を学んだ後、マジョルカではじめて作曲を行なうが、当時の作品は現存しない。1931年にアメリカに戻り、ピアニストのリチャード・ビューリックに音楽を学ぶ。のちにヘンリー・カウエルの紹介でアルノルト・シェーンベルクに師事し、1934年から1937年にかけて南カリフォルニア大学のシェーンベルクのクラスで学んだ。音楽家、作曲家、詩人、思想家、キノコ研究家として知られる。「沈黙」をも含めたさまざまな素材を作品や演奏に用いるなど、実験音楽家として前衛芸術全体に影響を与え、独特の音楽論や表現によって音楽の定義をひろげた。

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